角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

遺産相続のため一族が集まった豪邸で殺人が! テンプレ展開に終始して盛り上がりイマイチ-『闇の影』

『闇の影』 竹河聖/1995年/274ページ 小曾根圭子は祖母の兄である柳沢泰造の遺産相続のため、他の親族と共に孤島に呼び集められた。圭子は島に向かう船の中で、得体の知れない黒いものを、目撃する。島に渡ってからも、それは続いた…。そして遺産をあてに…

「血の記憶」を辿り、教え子の死の真相を探る男。橋をわたればもう戻れない-『橋をわたる』

『橋をわたる』 伊島りすと/2003年/184ページ 時間給の高さに惹かれ、大学の夏休みの期間だけ、僕は塾講師のアルバイトをすることにした。担当する科目は小学校五年生の算数。文学部の僕にとって、彼らに算数を教えるのは至難の業だった。なんとか夏期講習…

30年前の事件とまったく同じ手口の猟奇殺人。果たして模倣犯か同一犯か…?-『COPY 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

『COPY 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』 内藤了/2018年/320ページ 鑑識官・三木と麗華の結婚式も束の間、比奈子らに事件に知らせが入った。心臓が刳り抜かれた2遺体が八王子の廃ビルで見つかったのだ。一昨日も日本橋で同様の3遺体が発見され、現場には血痕…

ホテルで続発する怪異は、天才女優が遺した戯曲の再現か…? 一気読み必至の傑作-『遺品』

『遺品』 若竹七海/1999年/368ページ 失業中の学芸員のわたしに、金沢のホテルの仕事が舞い込んだ。伝説的女優にして作家の曾根繭子が最後の時を過ごし、自殺した場所。彼女のパトロンだったホテルの創業者は、繭子にまつわる膨大なコレクションを遺してい…

過去を捨てたインディアンの末裔が、人体損壊大好きな邪悪霊と対決-『トリックスター』

『トリックスター(上)』 ムリアル・グレイ/1996年/321ページ カナダの静かなスキーリゾートで残虐な連続殺人事件が起きた。死体はどれも心臓が肛門に、ペニスが口に押し込まれていた…。インディアンの血を引くサムは、白人社会で白人の妻と共に平和に暮…

愛に狂わされつつも、純愛を貫き通した人々が辿る奇妙な運命-『愛の怪談』

『愛の怪談 現代ホラー傑作選第7集』 高橋克彦(編)/1999年/273ページ 歪んだ愛がこの世に産み落とした恐怖――。怪奇と幻想に潜む人間の“愛”に光を当てた異色のホラー傑作選。三橋一夫「駒形通り」香山滋「木乃伊の恋」城昌幸「道化役」梶尾真治「玲子の箱宇宙」澁澤…

超気まぐれヒロイン・黒井ミサの魅力。『エコエコアザラク』入門編+α-『魔女地獄』

『魔女地獄 ~古賀新一傑作集~』 古賀新一/1995年/407ページ 人間は所詮、運命には逆らえないもの…悪魔に魂を売った魔女黒井ミサのまわりで次々と起こる黒魔術の邪悪な事件。恐怖と不安に引きずり込むオカルト・ホラーコミックの傑作集。 (Amazon解説文よ…

「食と男と女」がテーマ。サラリと読める初心者向けホラーだが、えげつない一品も-『最後の晩餐』

『最後の晩餐』 新津きよみ/2014年/279ページ 以前生涯学習センターで男の料理講座の講師を務めた美由紀。帰りが遅くなった晩、真っ暗な夜道で講座の元受講生である年配の男に出逢う。ストーカー被害に怯える美由紀は、親切な申し出に甘えて自宅まで送って…

水怪が起こす連続死事件。生徒と教師が一丸となって怪異に対抗する青春ホラーミステリ-『水域 -転校生3-』

『水域(アクエリアス) -転校生3-』 森真沙子/1999年/301ページ かつて無数の死体が流れ着く異界の地であった下町・深川。歴史研究部に属し、深川に魅せられる咲子の周囲で、女生徒たちが次々に不可解な自殺を遂げる。事件を追う咲子は、送り主不明のCD‐ROM…

濃密なストーリー展開を読みやすく仕上げた、しっかりと怖面白いホラーミステリ-『ミノタウルス』

『ミノタウルス』 ささやななえこ/2001年/348ページ 殺人・行方不明者が相次ぐ名門ロスター家。調査に赴いたカードとジョーカーを見つめるロスター婦人の視線、仮面の男の視線―。表題作他「サラの遺言」「霊送りの島」収録。心の奥底を震わせる恐怖コミッ…

マイナスの気を絶って神に近づこう! 後半大失速するプロパガンダホラー-『ボルネオホテル』

『ボルネオホテル』 景山民夫/1993年/330ページ 小さな島に建つ古いホテルに泊まり合わせることになった九人の男女。吹き荒れる嵐が橋を奪い、通信の手段もない。館は完全に外界から閉ざされてしまった。――そして、最悪の夜が始まった。邪悪な霊が、プール…

学校の怪談としてパーフェクトな1冊。前作主人公の驚くべき真実も…-『真夜中の時間割 -転校生2-』

『真夜中の時間割 -転校生2-』 森真沙子/1995年/281ページ 桜の花の咲き乱れるころ、新卒の国語教師として都内の名門高校に赴任してきた萩尾圭子。学校という閉ざされた空間の中で、不可思議な出来事が圭子を襲う。春の校庭で、初夏の教室で、修学旅行で、…

顔をくりぬいてご飯を詰めるどんぶり村の奇習が蘇る!? 強引でパワフルなバカホラー-『夜葬』

『夜葬』 最東対地/2016年/288ページ ある山間の寒村に伝わる風習。この村では、死者からくりぬいた顔を地蔵にはめ込んで弔う。くりぬかれた穴には白米を盛り、親族で食べわけるという。この事から、顔を抜かれた死者は“どんぶりさん”と呼ばれた―。スマホ…

無自覚な悪意の厭らしさを突き付ける漆黒短編集。これは怖い-『夢に抱かれて見る闇は』

『夢に抱かれて見る闇は』 岡部えつ/2018年/272ページ 男を初めて部屋に上げるときは、かなりの勇気がいる。もしこの男に、見えてしまったら。もうすぐ40歳の真千子の部屋には、かつての恋人の骸骨が立っている。暗闇の中、知り合ったばかりの男の愛撫に感…

転校性が遭遇する、5つの学校の5つの怪異。眩しくも残酷な青春学園ホラーの傑作-『転校生』

『転校生』 森真沙子/1993年/215ページ 音楽室に鳴り響くピアノの旋律が、惨劇の真相を教えてくれた。図書室の貸し出しカードは死への招待状。理化室で出会ったあの人は伝言ダイヤルに仕掛けられた闇の迷路に消えていった。美貌の転校生をめぐって、5つの…

各地の山に遍在する「白い服の女」の存在自体が怖い-『怪談狩り 山の足音』

『怪談狩り 山の足音』 中山市朗/2022年/256ページ 実家の改築工事の最中、次々に発覚する家の奇妙な造りと、2つ目の仏壇の謎が恐ろしい「家の整理」。TV番組のため、都内の心霊スポットを訪れた撮影スタッフが遭遇した怪異と後日談に戦慄する「心霊動…

怖くはないがオチは秀逸。じつに赤川次郎らしい短編集-『さよならをもう一度』

『自選恐怖小説集 さよならをもう一度』 赤川次郎/1994年/270ページ 夕闇の教会に現れた若い女。死を冒涜するかのような彼女の告白が、神父の心を乱す―。愛しい人をとり戻すために、彼女が犠牲にしたものは?許されぬ恋への執着、成功への欲望、幼い憧れ、…

原作とはまったく異なるテレビ版。展開は悪くないが間延び感アリ-『着信アリ テレビドラマ版』

『着信アリ テレビドラマ版』 大石哲也/高山直也(脚本)、蒔田陽平(ノベライズ)、秋元康(原作)/2005年/302ページ 未来の自分から、携帯電話に「死の着信」を受けた人間が、次々と死亡するという怪事件が発生する。その謎を追う雑誌記者・由美は、自分の母…

ゾンビの群れを蹴散らしながら、鉄オタ少年は憧れの列車と共に征く-『死霊列車』

『死霊列車』 北上秋彦/2008年/454ページ 東京と出雲市で発生したダーズ(致死的急性狂犬病症候群)が感染爆発、死者1800万人と推定され、政府の主要機関が札幌に移された。ダーズは人を咬むことによって鼠算式に患者を増殖させ、発病後の死亡率は限りなく10…

せっかくの面白くなりそうな題材も、適当かつ投げっぱなしのラストで台無し-『着信アリ Final』

『着信アリ Final』 秋元康/2006年/216ページ 修学旅行で韓国に行くことになった安城高校2年C組。草間えみりはネットで知り合った韓国の男友達アンジヌと会えることを楽しみにしながらも、小学校からの幼馴染みでクラスメートの松田明日香が参加できなかっ…

ナチスゾンビ満載のUボート浮上! カリブの楽園が地獄へと変わる-『ナイト・ボート』

『ナイト・ボート』 ロバート・R・マキャモン/1993年/397ページ ブードゥーの祈りが聞こえるカリブ海。海の底の墓場から「夜の船」がよみがえる。それはかつて闘いに敗れたUボートだ。中からは無気味な物音がもれている。なにものかが潜んでいる。生物なの…

前作の怨霊より強いヤツを出したはずが盛り上がりゼロ。台湾行く必要ある?-『着信アリ2』

『着信アリ2』 秋元康/2004年/209ページ 久しぶりに恋人の尚人に会うため、彼のアルバイト先の中華料理店へ向かった保育士の杏子は、そこで薄気味悪い着メロを耳にする。それは、1年前、人々を恐怖に陥れた“死の予告電話”のメロディだった。まもなく尚人の…

怪奇や恐怖ではなく“奇妙”な味の短編を揃えた名アンソロジー。文豪たちの意外な作品も-『奇妙な味の菜館』

『奇妙な味の菜館 現代ホラー傑作選第6集』 阿刀田高(編)/1996年/395ページ こってりとした奇妙な味わい。逸品揃いの恐怖のメニューを、とくとご賞味あれ。収録作品志賀直哉「剃刀」芥川龍之介「さまよえる猶太人」横溝正史「あかずの間」結城昌治「惨事」中島敦「…

逃れられない死の予告電話。生放送で呪殺シーンを全国中継するテレビマンの鑑!-『着信アリ』

『着信アリ』 秋元康/2003年/246ページ 由美が気乗りしないまま参加した合コンの席で、陽子の携帯電話が聞き覚えのない着信音で鳴った。液晶には「着信アリ」の文字。メッセージを確認すると、陽子の悲鳴のような叫び声が録音されていて、着信履歴には2日…

未発売ゲームの雰囲気をしっかり味わえるノベライズ。続編を匂わせる終わり方だが…-『うしろ 死神と白の聖女。』

『うしろ 死神と白の聖女。』 後藤リウ/2015年/257ページ 死神・宇城霊一郎との眷属契約を破って魂狩りの手伝いをやめてしまった七名子。もう死神には関わるまいと心に決めた矢先、同級生とともに奇妙な事件に遭遇してしまう…。七名子のまわりで次々とおこ…

幽霊との結婚披露宴で行われる、最後にして最大の詐欺の行く末は?-『幽霊詐欺師ミチヲ3 時計仕掛けのファンタスマゴリア』

『幽霊詐欺師ミチヲ3 時計仕掛けのファンタスマゴリア』 黒史郎/2012年/346ページ サカキとのゲームに大勝利を収めてしまったミチヲの背中に、めでたく戻ってきたマミコ。その愛情アピールは激しさを増し、今や披露宴を夢見る乙女となっていた。そんな中、…

怒涛の新キャラと設定追加で飽きずに読めるが、これ次巻で完結するの!?-『うしろ 放課後の王国。』

『うしろ 放課後の王国。』 後藤リウ/2015年/248ページ 謎だらけの死神・宇城霊一郎の眷属になった高校生の七名子。死神の手伝いは不本意だが、隙をついて魂狩りを阻止しようと心に決め、うしろと行動を共にする日々だ。他の死神チームとも知り合い、うし…

創られた“人魚”の遺体はマッドサイエンティストの仕業か? 謎の組織も登場し物語はスケールアップ-『MIX 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

『MIX 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』 内藤了/2017年/320ページ 湖で発見された、上半身が少女、下半身が魚の謎の遺体。「死神女史」の検死で、身体変異に関する驚くべき事実が判明する。そして八王子西署には人事異動の波が訪れていた。新人とのやり取りに…

『妖怪ウォッチ』制作会社による幻の未発売作品がなぜか小説化-『うしろ ふきげんな死神。』

『うしろ ふきげんな死神。』 後藤リウ/2014年/224ページ 「おまえの命と引き換えに、願いをひとつ叶えてやろう」高校生の西崎七名子が校舎の屋上で出会ったのは、ふつうの人には見えないはずの「死神」だった。うしろ―宇城霊一郎と名乗るその死神は、不思…

新シリーズとのコラボ回も含んだスピンオフ短編集。都築&忍の話はやはり面白い-『幽落町おばけ駄菓子屋 異話 夢四夜』

『幽落町おばけ駄菓子屋 異話 夢四夜』 蒼月海里/2017年/208ページ 優しかった飼い主が亡くなり、保健所に連れて行かれそうになって家から逃げだした、一匹の黒猫。街をさまよい大怪我を負った猫の命を救ったのは“水脈”と名乗る美しい人だった。「幽落町」…