角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

2025-01-01から1年間の記事一覧

盛り上がり過ぎて霊も退散! ホラー作家8名による実録百物語-『文藝百物語』

『文藝百物語』 東雅夫(編)/2001年/306ページ 黄昏時。根津の路地裏に佇む古びた旅館。迷路のような廊下を辿り、ある一室に赴く八つの人影。結界が張りめぐらされ、蝋燭が灯されたその部屋で、彼らは深まる夜のなか、次々と怪異体験を語り始める。百話を完…

吸血鬼の主と忠実な執事の、愛憎渦巻く関係性にスポットを当てた耽美ホラー-『夜の紅薔薇 ヴェネツィア・ヴァンパイア・サーガ』

『夜の紅薔薇 ヴェネツィア・ヴァンパイア・サーガ』 篠田真由美/2019年/301ページ 世界が災厄に見舞われた後のヴェネツィアで、少年ヒカルは不思議な力を持つ美少年と出会った。菫色の眸を持つ彼の名はアナスタシオ――闇の聖天使。彼は300年の時を生き…

穢れた水の都を守護る吸血美青年と、天照らす力を持つ少年の邂逅!-『闇の聖天使 ヴェネツィア・ヴァンパイア・サーガ』

『闇の聖天使 ヴェネツィア・ヴァンパイア・サーガ』 篠田真由美/2018年/336ページ 1999年、世界は数々の怪奇現象に見舞われていた。東京直下大地震を生き延びた少年ヒカルは、ヴェネツィアに流れ着く。瀕死の彼を救ったのは、アラブ系らしい彫り深い…

三代目・明智小五郎(と小林老人)が数々のアダルティな事件に挑む。人命失われ過ぎで名探偵感が…-『乱歩R』

『乱歩R』 江戸川乱歩(原作)、保志一蔵(ノベライズ)/2004年/350ページ 日本ミステリー界に金字塔を打ち立てた江戸川乱歩の世界が現代によみがえる!名探偵の才能を受け継いだ三代目・明智小五郎が、幼なじみの堀越刑事や初代明智小五郎の助手・小林少年だ…

社会派ミステリ作家の自選集。やや時代は感じるが読みごたえはじゅうぶん-『枕に足音が聞える』

『枕に足音が聞える 自選恐怖小説集』 森村誠一/1998年/309ページ 霧の中に響く、腐れ橋を渡る妖しい足音……。罪に戦(おのの)く人間の脅えを映す表題作『枕に足音が聞える』をはじめ、家族の団欒に突如“寄生”した老婆の行動を覗く『連鎖寄生眷属』、暗黒の…

強盗で人生逆転を狙う、日陰者の青年ふたり。惨く虚しい顛末を淡々と描く-『あの夜にあったこと』

『あの夜にあったこと』 大石圭/2012年/384ページ 21歳の優也は、幼なじみの啓太と共に派遣従業員として工場で働いている。異様な愛情を注いでくる母を拒絶しきれない優也。金持ちに敵愾心を抱く父に育てられた啓太。鬱屈した思いを抱えた2人は、裕福な…

映画版の監督・鶴田法男自身を語り手に据え、モキュメンタリー感を増した大胆ノベライズ-『POV~呪われたフィルム~ 赤いコートの女』

『POV~呪われたフィルム~ 赤いコートの女』 鶴田法男、酒巻浩史/2012年/248ページ ある番組に送り主不明の動画が送られてきたことをきっかけに、2人の若手人気女優のまわりで次々怪現象が起きる。そして番組ディレクターが謎の失踪。のこされた映像に映…

説明無用の大傑作長編+レンズ・覗き趣味炸裂の中編をカップリング-『孤島の鬼』

『孤島の鬼』 江戸川乱歩/2000年/413ページ 自宅の密室で恋人を刺殺された蓑浦金之助は、彼女が残した謎の系図を手に、死の真相に迫る。何かに導かれるように向かった孤島で金之助を待ち受けていたのは、想像を絶する恐怖だった―。妖気漂う筆致で事件を生…

次元を越え、読み手にも届く永遠の呪い。甘く鈍く重い痛みが胸を穿つ-『少女禁区』

『少女禁区』 伴名練/2010年/173ページ 15歳の「私」の主人は、数百年に1度といわれる呪詛の才を持つ、驕慢な美少女。「お前が私の玩具になれ。死ぬまで私を楽しませろ」親殺しの噂もあるその少女は、彼のひとがたに釘を打ち、あらゆる呪詛を用いて、少…