角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

アンソロジー

恐ろしき妖術師に物悲しき奇術師、読者を惑わす作家という魔術師たちの饗宴-『魔術師 異形アンソロジー タロット・ボックスⅡ』

『魔術師 異形アンソロジー タロット・ボックスⅡ』 井上雅彦(編)/2001年/419ページ たった今、貴方は絵札を引き当てた。これは〈魔術師〉の絵札……。と、そう言って、「博士」は、長い指で、一枚を宙に翳す。アルカナ・ナンバー「Ⅰ」、これがすべての魔術の始ま…

そびえたつ象徴、破滅の凶兆…アンソロジーの名手が編む13本の恐怖-『塔の物語 異形アンソロジー タロット・ボックスⅠ』

『塔の物語 異形アンソロジー タロット・ボックスⅠ』 井上雅彦(編)/2000年/305ページ 私は、今ここに、少年の日の密かなる愉しみを再現しようとしているのかもしれない。タロット・カードを創ろうというのである。テラー博士よろしく、オムニバスの物語を…

人気作家集合のお祭り感と、最悪の読後感を両立するアンソロジー-『二十の悪夢』

『二十の悪夢 角川ホラー文庫創刊20周年記念アンソロジー』 小林泰三、恒川光太郎、藤木稟、朱川湊人、岩井志麻子、平山夢明/2013年/253ページ あらゆる恐怖を生み出し続けてきた角川ホラー文庫の創刊20周年を祝し、ホラーの名手たちが集結。“20”が導く新…

ここ30年の現代ホラーを象徴するかのような、バラエティに富んだ恐怖が揃う!-『七つのカップ 現代ホラー小説傑作集』

『七つのカップ 現代ホラー小説傑作集』 朝宮運河(編)/2023年/320ページ 現代ホラー小説30年の至宝を一挙収録。新世紀ホラーシーンへ! 『影牢 現代ホラー小説傑作集』に続く2010年代を中心に発表された傑作ホラー短編7選。小野不由美の“営繕かるかや怪異譚…

愉しませる以上に怖がらせることに注力した、本格志向のホラーが揃う!-『影牢 現代ホラー小説傑作集』

『影牢 現代ホラー小説傑作集』 朝宮運河(編)/2023年/336ページ ホラー界をリードする作家らの代表作ばかりを収録したオールタイムベスト 『七つのカップ 現代ホラー小説傑作集』と対をなす傑作ホラー短編8選。大都会の暗い水の不気味さを描く鈴木光司の「…

単なるホラーの枠に留まらない、バラエティに富んだ短編が集結-『日本ホラー小説大賞≪短編賞≫集成2』

『日本ホラー小説大賞≪短編賞≫集成2』 吉岡暁、曽根圭介、雀野日名子、田辺青蛙、朱雀門出、国広正人/2023年/368ページ 《大賞》では測れない規格外の怖さ、ここに集結。 日本ホラー小説大賞、角川ホラー文庫の歴史を彩る名作たちがまとめて読める! 町会館…

文句なしの傑作揃い。せっかくなら解説も読みたかったところだが…-『日本ホラー小説大賞≪短編賞≫集成1』

『日本ホラー小説大賞≪短編賞≫集成1』 小林泰三、沙藤一樹、朱川湊人、森山東、あせごのまん/2023年/400ページ ホラー小説の礎を支えた《短編賞》。これを読まなきゃホラーは語れない! 1994年から2011年まで日本ホラー小説大賞に設けられていた《短編賞》…

語り手をも飲み込む“百物語”の怪異。劇中の怪談も愉しいホラーアンソロジー-『闇夜に怪を語れば』

『闇夜に怪を語れば 百物語ホラー傑作選』 東雅夫(編)/2005年/340ページ 月のない晩、一堂に会した人々が百筋の灯心に火をともし、怪異を語り合っては、一話ごとに灯心を一筋ずつ消してゆく。やがて百話満了した真闇のただなかで、必ずや怪しい出来事が起…

統一感は無いもののクオリティは一定以上。短編欲は満たしてくれる一冊-『見知らぬ私』

『見知らぬ私』 綾辻行人、鎌田敏夫、鷺沢萠、篠田節子、清水義範、高橋克彦、松本侑子、森真沙子/1994年/230ページ 私は誰? まだ知らぬ私の扉が、ゆっくりと開かれていく…。人間にとってもっとも不思議な自分自身。その胸の奥底を揺さぶり、うち震わす、…

愛に狂わされつつも、純愛を貫き通した人々が辿る奇妙な運命-『愛の怪談』

『愛の怪談 現代ホラー傑作選第7集』 高橋克彦(編)/1999年/273ページ 歪んだ愛がこの世に産み落とした恐怖――。怪奇と幻想に潜む人間の“愛”に光を当てた異色のホラー傑作選。三橋一夫「駒形通り」香山滋「木乃伊の恋」城昌幸「道化役」梶尾真治「玲子の箱宇宙」澁澤…

怪奇や恐怖ではなく“奇妙”な味の短編を揃えた名アンソロジー。文豪たちの意外な作品も-『奇妙な味の菜館』

『奇妙な味の菜館 現代ホラー傑作選第6集』 阿刀田高(編)/1996年/395ページ こってりとした奇妙な味わい。逸品揃いの恐怖のメニューを、とくとご賞味あれ。収録作品志賀直哉「剃刀」芥川龍之介「さまよえる猶太人」横溝正史「あかずの間」結城昌治「惨事」中島敦「…

曲者ホラー漫画家の怪演・狂演! パルプ感に満ちた楽しい1冊-『HOLYⅡ』

『HOLYⅡ ホラーコミック傑作選 第3集』 犬木加奈子、御茶漬海苔、風忍、谷間夢路、日野日出志/1996年/405ページ 日常と非日常が交錯する暗闇で、心の奥底に宿る残忍さと凶暴さが顔をのぞかせる…。狂気をはらみ、よこしまな計略を鮮烈に描くホラーコミック…

意外な巨匠たちの怪奇作品。菊地秀行の趣味全開、懐かし系コミックアンソロジー-『闇の画廊』

『闇の画廊 ホラーコミック傑作選第2集』 菊地秀行(選)/1996年/325ページ 闇に蠢く狂気と絶望、そして悲惨…。八人の巨匠が描くダーク・ギャラリー!! 時空を超えて、いま甦る傑作恐怖コミック集。〈収録作品〉関谷ひさし「恐怖の幻視人間ムーズ」武内つなよし…

芥川、鴎外、太宰、漱石…「現代ホラー」と呼んでいいのか悩む文豪揃いのアンソロジー-『森の聲』

『森の聲 現代ホラー傑作選第5集』 内田康夫(編)/1995年/290ページ 数々の名作を生んだ十一人の巨匠が、混迷の時代に神火を灯す森羅万象の世界。収録作品芥川龍之介「妖婆」石川淳「灰色のマント」泉鏡花「化鳥」折口信夫「神の嫁」川端康成「片腕」小泉八雲「青柳の…

小説・エッセイ・評論・コミック、古今東西の髪の毛にまつわる恐怖がぞわりと集う-『黒髪に恨みは深く』

『黒髪に恨みは深く 髪の毛ホラー傑作選』 東雅夫(編)/2006年/347ページ 髪は神に通ずる―古来、毛髪には玄妙不可思議な力が宿ると考えられてきた。豊かに波うつ女性の黒髪は、エロチックな美の象徴となり、恐るべき妄念の化身ともなって、多くの怪談やホラ…

ミステリの重鎮が集うアンソロジー。恐怖度薄めでも掘り出しもの多数-『悪夢十夜』

『悪夢十夜 現代ホラー傑作選第4集』 夏樹静子(編)/1993年/322ページ 闇夜をますます深くする十の悪夢。古今の名作の中から選びぬかれた、逸品揃いの恐怖小説集。 収録作品 赤川次郎「私だけの境界線」 江戸川乱歩「恐ろしき錯誤」 木々高太郎「文学少女」 小池…

ホラー漫画史を語るには外せない、巨匠ぞろいのアンソロジー。「聖なる恐怖」って何?-『HOLY』

『HOLY ホラーコミック傑作選 第1集』 手塚治虫、美内すずえ、諸星大二郎、日野日出志、丸尾末広、内田春菊、花輪和一、永井豪、萩尾望都/1993年/377ページ 日本を代表する九人の巨匠たちが紡ぎ出す、「聖なる恐怖」。名作中の名作を厳選した待望のコミッ…

村上龍のカラーがよく出たセレクト。ホラーの印象薄めな作家陣だがクオリティは高い-『魔法の水』

『魔法の水 現代ホラー傑作選第2集』 村上龍(編)/1993年/250ページ 現在を呼吸する九人の作家によって切り拓かれる、魅力的で怖ろしい九つの物語。 収録作品 村上春樹「鏡」 山田詠美「桔梗」 連城三紀彦「ひと夏の肌」 椎名誠「箱の中」 原田宗典「飢え…

やや古典的な怪談が目立つアンソロジー。遠野(とおの)物語のダジャレ…ってコト!?-『十の物語』

『十(とお)の物語 現代ホラー傑作選第3集』 高橋克彦(編)/1993年/281ページ 現代怪奇小説の第一人者が、独自の恐怖観を持って選び出した本当に怖い話。 収録作品 山田風太郎「人間華」 山村正夫「魔性の猫」 三橋一夫「角姫」 夢野久作「卵」 岡本綺堂「…

そうそうたるメンバーの純文学系ホラーアンソロジー。オールタイムベスト級の傑作も-『それぞれの夜』

『それぞれの夜 現代ホラー傑作選第1集』 遠藤周作(選)/1993年/283ページ 戦後の文学を築き上げた十人が織りなす、幻想と恐怖の宇宙。珠玉の十篇を収録。 収録作品 高橋克彦「遠い記憶」 三浦哲郎「楕円形の故郷」 黒井千次「音」 河野多恵子「雪」 澁澤…

豪華メンバーながら寄せ集め感が強いアンソロジー。栗本薫は掘り出し物-『悪夢』

『悪夢』 夢枕獏、栗本薫、赤川次郎、竹河聖/1995年/212ページ 夢か現実か。現実の世界に非日常が入りこむ時、そこには無限の闇が…。四人の作家による、四つの恐怖。豪華メンバーで贈る、ファンには絶対見逃せないホラー・アンソロジー。 (「BOOK」データベ…

過去への想い、過去からの想いに縄縛される恐怖。傑作揃いの稀有なオリジナルアンソロジー-『かなわぬ想い』

『かなわぬ想い―惨劇で祝う五つの記念日』 今邑彩、小池真理子、篠田節子、服部まゆみ、坂東眞砂子/1994年/292ページ 今邑 彩・小池真理子・篠田節子・服部まゆみ・坂東眞砂子あの日を境に、私の運命の歯車は、ずるずると狂い始めてしまった…!! 記念日をテ…

十にまつわる十一編のアンソロジーだが、タイトルに「十」って入っているだけでいいの!?-『十の恐怖』

『十の恐怖』 常盤朱美、森真沙子、井上雅彦、五代ゆう、篠田真由美、飯野文彦、斎藤肇、小林泰三、朝松健、竹河聖、赤川次郎/2002年/265ページ 十、それは恐怖の境界値。 十代最後の日、可愛いドレスを着た少女が友也を迎えに来る--赤川次郎「十代最後…

相変わらずの良セレクション。ホラーアンソロジーのスタンダードとしてもお勧め-『恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション』

『恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション』 朝宮運河(編)/2021年/286ページ ショッキングな幕切れで知られる竹本健治の「恐怖」を筆頭に、ノスタルジックな毒を味わえる宇佐美まことの図書館奇譚「夏休みのケイカク」、現代人の罪と罰を描いた恒川光太郎…

冒頭数作はとっつきにくいものの、 テーマの進化を年代順に追う構成が珠玉のアンソロジー-『フランケンシュタインの子供』

『フランケンシュタインの子供』 風間賢二・編/1995年/370ページ 名作「フランケンシュタイン」の後、人造人間をモチーフとした様々な形の小説が誕生した。死者を蘇らせること、人間を創造することにとり憑かれてしまった者の苦悩と狂気に満ちた運命の数々…

ベストセレクションの名にふさわしい珠玉のセレクト。拾い物が必ず見つかる-『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』

『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』 朝宮運河・編/2021年/336ページ 1993年4月の創刊以来、わが国のホラー・エンターテインメントとともに歩んできた無二の文庫レーベル、角川ホラー文庫。その膨大な遺産の中から、時代を超えて読み継がれる名作を…