角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。読んだ上で、おすすめしたい作品は全力で推します。

アンソロジー

芥川、鴎外、太宰、漱石…「現代ホラー」と呼んでいいのか悩む文豪揃いのアンソロジー-『森の聲』

『森の聲 現代ホラー傑作選第5集』 内田康夫(編)/1995年/290ページ 数々の名作を生んだ十一人の巨匠が、混迷の時代に神火を灯す森羅万象の世界。収録作品芥川龍之介「妖婆」石川淳「灰色のマント」泉鏡花「化鳥」折口信夫「神の嫁」川端康成「片腕」小泉八雲「青柳の…

小説・エッセイ・評論・コミック、古今東西の髪の毛にまつわる恐怖がぞわりと集う-『黒髪に恨みは深く』

『黒髪に恨みは深く 髪の毛ホラー傑作選』 東雅夫(選)/2006年/347ページ 髪は神に通ずる―古来、毛髪には玄妙不可思議な力が宿ると考えられてきた。豊かに波うつ女性の黒髪は、エロチックな美の象徴となり、恐るべき妄念の化身ともなって、多くの怪談やホラ…

ミステリの重鎮が集うアンソロジー。恐怖度薄めでも掘り出しもの多数-『悪夢十夜』

『悪夢十夜 現代ホラー傑作選第4集』 夏樹静子(編)/1993年/322ページ 闇夜をますます深くする十の悪夢。古今の名作の中から選びぬかれた、逸品揃いの恐怖小説集。 収録作品 赤川次郎「私だけの境界線」 江戸川乱歩「恐ろしき錯誤」 木々高太郎「文学少女」 小池…

ホラー漫画史を語るには外せない、巨匠ぞろいのアンソロジー。「聖なる恐怖」って何?-『HOLY』

『HOLY ホラーコミック傑作選 第1集』 手塚治虫、美内すずえ、諸星大二郎、日野日出志、丸尾末広、内田春菊、花輪和一、永井豪、萩尾望都/1993年/377ページ 日本を代表する九人の巨匠たちが紡ぎ出す、「聖なる恐怖」。名作中の名作を厳選した待望のコミッ…

村上龍のカラーがよく出たセレクト。ホラーの印象薄めな作家陣だがクオリティは高い-『魔法の水』

『魔法の水 現代ホラー傑作選第2集』 村上龍(編)/1993年/250ページ 現在を呼吸する九人の作家によって切り拓かれる、魅力的で怖ろしい九つの物語。 収録作品 村上春樹「鏡」 山田詠美「桔梗」 連城三紀彦「ひと夏の肌」 椎名誠「箱の中」 原田宗典「飢え…

やや古典的な怪談が目立つアンソロジー。遠野(とおの)物語のダジャレ…ってコト!?-『十の物語』

『十(とお)の物語 現代ホラー傑作選第3集』 高橋克彦(編)/1993年/281ページ 現代怪奇小説の第一人者が、独自の恐怖観を持って選び出した本当に怖い話。 収録作品 山田風太郎「人間華」 山村正夫「魔性の猫」 三橋一夫「角姫」 夢野久作「卵」 岡本綺堂「…

そうそうたるメンバーの純文学系ホラーアンソロジー。オールタイムベスト級の傑作も-『それぞれの夜』

『それぞれの夜 現代ホラー傑作選第1集』 遠藤周作(選)/1993年/283ページ 戦後の文学を築き上げた十人が織りなす、幻想と恐怖の宇宙。珠玉の十篇を収録。 収録作品 高橋克彦「遠い記憶」 三浦哲郎「楕円形の故郷」 黒井千次「音」 河野多恵子「雪」 澁澤…

豪華メンバーながら寄せ集め感が強いアンソロジー。栗本薫は掘り出し物-『悪夢』

『悪夢』 夢枕獏、栗本薫、赤川次郎、竹河聖/1995年/212ページ 夢か現実か。現実の世界に非日常が入りこむ時、そこには無限の闇が…。四人の作家による、四つの恐怖。豪華メンバーで贈る、ファンには絶対見逃せないホラー・アンソロジー。 (「BOOK」データベ…

過去への想い、過去からの想いに縄縛される恐怖。傑作揃いの稀有なオリジナルアンソロジー-『かなわぬ想い』

『かなわぬ想い―惨劇で祝う五つの記念日』 今邑彩、小池真理子、篠田節子、服部まゆみ、坂東眞砂子/1994年/292ページ 今邑 彩・小池真理子・篠田節子・服部まゆみ・坂東眞砂子あの日を境に、私の運命の歯車は、ずるずると狂い始めてしまった…!! 記念日をテ…

十にまつわる十一編のアンソロジーだが、タイトルに「十」って入っているだけでいいの!?-『十の恐怖』

『十の恐怖』 常盤朱美、森真沙子、井上雅彦、五代ゆう、篠田真由美、飯野文彦、斎藤肇、小林泰三、朝松健、竹河聖、赤川次郎/2002年/265ページ 十、それは恐怖の境界値。 十代最後の日、可愛いドレスを着た少女が友也を迎えに来る--赤川次郎「十代最後…

相変わらずの良セレクション。ホラーアンソロジーのスタンダードとしてもお勧め-『恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション』

『恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション』 朝宮運河・編/2021年/286ページ ショッキングな幕切れで知られる竹本健治の「恐怖」を筆頭に、ノスタルジックな毒を味わえる宇佐美まことの図書館奇譚「夏休みのケイカク」、現代人の罪と罰を描いた恒川光太郎…

冒頭数作はとっつきにくいものの、 テーマの進化を年代順に追う構成が珠玉のアンソロジー-『フランケンシュタインの子供』

『フランケンシュタインの子供』 風間賢二・編/1995年/370ページ 名作「フランケンシュタイン」の後、人造人間をモチーフとした様々な形の小説が誕生した。死者を蘇らせること、人間を創造することにとり憑かれてしまった者の苦悩と狂気に満ちた運命の数々…

ベストセレクションの名にふさわしい珠玉のセレクト。拾い物が必ず見つかる-『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』

『再生 角川ホラー文庫ベストセレクション』 朝宮運河・編/2021年/336ページ 1993年4月の創刊以来、わが国のホラー・エンターテインメントとともに歩んできた無二の文庫レーベル、角川ホラー文庫。その膨大な遺産の中から、時代を超えて読み継がれる名作を…