角川ホラー文庫全部読む

ホラー小説のレビューブログ。全部読めるといいですね

★★★★

  他の作品とは一味違う、類稀なる恐怖をもたらしてくれる秀作。

新開発の人工血液に隠された陰謀に、下町育ちの熱血救命士が立ち向かう。人情溢れる医療ミステリ-『ゴールデン・ブラッド』

『ゴールデン・ブラッド』 内藤了/2024年/336ページ 東京五輪プレマラソンで大規模な爆破テロが発生。救急救命士の向井圭吾は地獄絵図と化した現場で救助活動にあたる。新開発の万能血液により多くの命が救われるが、その矢先、開発に関わった病院で圭吾の…

グロっと爽やか、作者の持ち味が存分に発揮された奇譚集-『百舌鳥魔先生のアトリエ』

『百舌鳥魔(もずま)先生のアトリエ』 小林泰三/2014年/352ページ 「あなた、百舌鳥魔先生は本当に凄いのよ!」妻が始めた習い事は、前例のない芸術らしい。言葉では説明できないので、とにかく見てほしいという。翌日、家に帰ると、妻がペットの熱帯魚を刺…

不思議な道具を巡る6つの物語が、滅びと再生の壮大なファンタジー世界でひとつになる…!-『箱庭の巡礼者たち』

『箱庭の巡礼者たち』 恒川光太郎/2026年/416ページ これぞ恒川ワールドの神髄!六つの世界の物語が一つに繋がる一大幻想奇譚。 ある夜、少年は優しい吸血鬼を連れ、竜が棲む王国を出た。祖母の遺志を継ぎ、この世界と繋がる無数の別世界を冒険するために。…

乱歩、鏡花、荷風、芥川…。文豪たちが誘なう幻想の魔都!-『東京怪奇地図』

『東京怪奇地図』 森真沙子/2001年/230ページ そっちに行ってはいけない。燃え上がる磔の女、水底に引きずりこまれる男、神隠しの無闇坂。鮮烈なヴィジョンが宵闇の中に浮かび上がる。乱歩、鏡花、荷風、龍之介…が、幻視した物語が時間を逆流し今ここに甦…

隠れキリシタンの地にキリスト降臨の奇跡。神父コンビがついに日本へ!-『バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達』

『バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達』 藤木稟/2015年/400ページ 熊本・天草において、真夏日に大雪が観測され、天空に忽然と巨大な十字架が浮かび上がった。時期を同じくして近隣の海で遭難した海洋冒険家は、こう語ったというー「美しい黒髪の天使に救…

さよなら粘膜ワールド。戦争の狂熱は去り、バトンは次代へと託される-『粘膜大戦』

『粘膜大戦』 飴村行/2026年/317ページ 大戦下、各地の戦況が膠着し、苦境を強いられる帝国陸軍。起死回生を図るべく軍部が画策したのは、占領下にある東南アジアの小国ナムールの王族アロ族のマテル姫に一斉蜂起の号令をかけさせることだった。だがそれに…

謎が解けるたび事態が悪化。戦地よりもグロテスクな、どろどろの欲望渦巻く怪事件!-『粘膜探偵』

『粘膜探偵』 飴村行/2018年/320ページ 戦時下の帝都。14歳の鉄児は憧れの特別少年警邏隊に入隊した直後、先輩のとばっちりを受け謹慎処分となってしまう。汚名返上に燃える彼は、巷で噂の保険金殺人事件を解決するため独自調査に乗り出すが…。軍部の思惑…

労働環境の実態は怪異より怖い!? 教師ドラマとしても読みごたえじゅうぶんな快作-『廃校教師』

『廃校教師』 三浦晴海/2025年/336ページ 先生、あなたはどこから来たのですか? 長時間勤務、休日返上の部活指導、保護者からのクレーム、無気力な教師……現代の学校問題をすべて抱える市立中学で、衆人環視の中、体育教師が変死した。あり得ないほど首が伸…

本当に醜いのは誰なのか? ‟異形”の傑作「妖怪百人会」収録!-『ゾク こわい本9 森の闇/猫目小僧2』

『ゾク こわい本9 森の闇/猫目小僧2』 楳図かずお/2026年/352ページ 楳図かずお自身が監修したシリーズ、「猫目小僧」第2弾! 汚れた心を持つ人間たちを、心に合った醜い姿に作り替える。醜い姿で嫌われてきた妖怪たちの企みを防ぐべく奔走する猫目小僧が…

傑作ショートショートと特撮ホラーが白眉。ボリュームたっぷりの恐怖万博開催!-『異形博覧会』

『異形博覧会 怪奇幻想短篇集』 井上雅彦/1994年/512ページ 劇場の幽霊。屍肉を掘り出す少女。孤島を覆いつくす蟹の群れ。仮面の食人鬼。サーカスの機械人形……。SFXを駆使したホラー・ムーヴィーや怪獣映画の洗礼を受けた現代の異色作家による、ビザールで…

原稿に書かれた怪異“崩れ顔の女”が編集者を襲う! エピソードゼロとしては完璧な逸品-『忌木のマジナイ』

『忌木のマジナイ 作家・那々木悠志郎、最初の事件』 阿泉来堂/2021年/336ページ ホラー作家、那々木悠志郎の担当編集となった久瀬古都美は、彼が初めて体験したという怪異譚を題材にした未発表原稿を読むことに。そこに書かれていたのは、心霊現象に懐疑…

見ると必ず死ぬ“呪夢”が伝染する…! ホラーの王道展開を秘伝のタレで調理した快作-『夢詣』

『夢詣』 雨宮酔/2025年/368ページ 第45回横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞受賞作! その悪夢、見れば、死ぬ――”順番”が来るまでに、解呪の鍵を探し出せ。 「もうすぐ私が御血をいただける順番です」“死に至る夢”を見ると訴えていた女性と老人が突然死し…

今は亡き愛猫に出会える喫茶店と連続放火事件の噂が交差する…!-『ホーンテッド・キャンパス 秋の猫は緋の色』

『ホーンテッド・キャンパス 秋の猫は緋の色』 櫛木理宇/2019年/304ページ 大学祭前。キャンパス内は浮かれた空気だが、オカルト研究会には相変わらず恐怖の依頼が。「彼女の体の痣が、人面瘡になってしゃべり出した」-ほか、頻発する放火現場に現れる猫と…

パワフル怪異“黒女”が因習村の人々をミンチと化す。どんでん返しはおとなしいがゴア度は強化!-『ぬばたまの黒女』

『ぬばたまの黒女(くろめ)』 阿泉来堂/2021年/320ページ 神出鬼没のホラー作家にして怪異譚蒐集家・那々木悠志郎再び登場!生まれ故郷の村が近隣の町に吸収合併されると知り、十二年ぶりに道東地方の寒村、皆方村を訪れた井邑陽介。妊娠中で情緒不安定の妻…

最恐=最強。コワすぎ&死にすぎの近距離パワー型幽霊屋敷が登場!-『最恐の幽霊屋敷』

『最恐の幽霊屋敷』 大島清昭/2025年/368ページ 転落が止まらない、 ジェットコースター級の事故物件ホラー長篇! 「最恐の幽霊屋敷」という触れ込みで貸し出されている物件がある――。幽霊を信じない探偵・獏田夢久(ばくたゆめひさ)は、屋敷で相次ぐ不審死…

実地取材と文献調査で“幽霊が現れる理由”を解き明かす特濃ノンフィクション-『【完全版】日本の幽霊事件 封印された裏歴史』

『【完全版】日本の幽霊事件 封印された裏歴史』 小池壮彦/2025年/368ページ 谷中霊園、日暮里駅、神田・お玉が池、神田~隅田川、東中野~中野一丁目、宮ケ瀬ダム、観音崎、群馬県&埼玉県・神流湖、秋葉原、面影橋、姿見の橋、歌舞伎町、品川橋~天王洲…

遺志を継いだゾク編始動。タマミ大暴れの表題作&隠れた逸品「影姫」を収録-『ゾク こわい本1 赤んぼ少女』

『ゾク こわい本1 赤んぼ少女』 楳図かずお/2025年/384ページ 楳図かずおの恐怖と妄想の世界へようこそ。 ある夫妻が暮らす洋館の屋根裏に幽閉され、隠された存在であったタマミ。そんな中、施設から引き取られた実の娘がやってきた。幸せそうで無邪気な美…

ついに“真の奇跡”が登場! 予想外のスケールで信仰と人の進化を描く異色作-『バチカン奇跡調査官 終末の聖母』

『バチカン奇跡調査官 終末の聖母(ディー・ゲリトニクス)』 藤木稟/2013年/512ページ バチカンで法王選挙が行われる最中、美貌の天才科学者・平賀と古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルトは、有名彫刻家の作品の除幕式に出席するため、メキシコのグア…

艶のあるタッチと緻密な表現に唸る。原作に勝るとも劣らない理想のコミック-『お江戸ふしぎ噺 あやし』

『お江戸ふしぎ噺 あやし』 宮部みゆき(原作)、皇なつき(作画)/2021年/208ページ 江戸の長屋に住む少女“おえん”に料理屋での奉公話が舞い込んだ。話がまとまりかけていたところ、約束は突然反故にされる。醜女を嫌った料理屋が、代わりに器量のいい娘を雇…

小粋で無惨で艶やかな、江戸の香り色濃く漂う珠玉の短編集-『あやし』

『あやし』 宮部みゆき/2007年/352ページ 美しいお千代を妬み、神社の梅の木に大凶のおみくじを結びつけながら、その凶運を願うおえん。実際にお千代が不幸な死に方をして…(「梅の雨降る」)。お義母さまにとりついていた鬼は、穢れの化身だった。近づく…

傑作選の名に恥じないラインナップ。ドライでリリカルな二大(?)作家の競演-『Wi-Fi幽霊』

『Wi-Fi幽霊 乙一・山白朝子ホラー傑作選』 乙一、山白朝子(著) 千街晶之(編) /2025年/448ページ 「夏と花火と私の死体」で驚嘆すべき才能としてデビューした乙一。山白朝子は怪談専門誌デビューの怪談作家。2人の作品に共通するのは「戦慄と郷愁」だ。父…

あかずめは人を閉じ込めて殺す。気づいた時にはもう遅い、悪意に満ちた呪いの正体は…-『あかずめの匣』

『あかずめの匣』 滝川さり/2025年/336ページ この呪い、回避不可能。あなた自身が「条件」を解き明かす、新感覚ホラー! その怪異は人を閉じ込めて殺す。すべての真実をあなたは解き明かせるか。 冠村には“窒息の家”と呼ばれる廃墟があり、「あかずめ」と…

特典コミックも収録したボーナストラック。必読のエピローグも収録した真の完結巻-『妖琦庵夜話 千の波 万の波』

『妖琦庵夜話 千の波 万の波』 榎田ユウリ/2023年/224ページ 東京下町にひっそり立つ妖琦庵。そこは妖人茶道家・洗足伊織の茶室だ。“管狐”の夷、“小豆とぎ”のマメとともに、穏やかな日々を過ごす伊織のもとへ、久しぶりに刑事の脇坂がやってきた。元水泳選…

すべての過去と確執に決着をつける最終エピソード。瞳が最後に映したものは-『妖琦庵夜話 ラスト・シーン』

『妖琦庵夜話 ラスト・シーン』 榎田ユウリ/2021年/288ページ 「ゲームをしよう。兄は守る。弟は奪う」父親である<鵺>に残酷なゲームを強いられる伊織。勝利条件は、弟で<鬼>の青目から、小鳩ひろむを守り抜くことだ。だが、刑事の脇坂は意識不明のま…

悪霊ゲットで商売する霊能カップルを“現実のしがらみ”という恐怖が襲う!-『ウラミズ』

『ウラミズ』 佐島佑/2013年/306ページ 怪しい健康食品会社に勤める真城は霊が視えてしまう特殊体質。気味の悪い霊の出現と毎日の仕事にウンザリしていた。そんなある日に出会った早音は、なんと霊を水入りのペットボトルに封じる不思議な力を持っていた。…

沖縄バカンス特別編かと思いきや、シリーズ随一の凶悪事件が発生!-『妖琦庵夜話 誰が麒麟を鳴かせるか』

『妖琦庵夜話 誰が麒麟を鳴かせるか』 榎田ユウリ/2019年/352ページ ヒトと僅かに異なる存在、妖人。SNSで妖人差別発言を繰り返していた男が殺された。遺体には、刃物で刻まれた謎のメッセージ。刑事の脇坂は、被害者と関わりのあった妖人団体を訪ね、…

悪人を眠らせ始末する連続殺人。遺体に詰められた小豆は何を語る?-『妖琦庵夜話 花闇の来訪者』

『妖琦庵夜話 花闇の来訪者』 榎田ユウリ/2017年/352ページ ヒトと僅かに異なる存在、妖人。美貌と毒舌の妖人茶道家・洗足伊織は、「家族」との平穏をなにより愛していた。最近は“小豆とぎ”のマメが、食堂でボランティアを始め、心身ともに成長中だ。そん…

怪談10話+αが語られる百物語回&正統派オカルト探偵回を収録した充実の巻-『ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語』

『ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語』 櫛木理宇/2018年/320ページ 夏休み。草食系大学生の森司は、オカルト研究会の皆と、セレブなマンションのラウンジで花火大会を見ることに。片想いのこよみの隣に座り、リア充すぎる状況だけど、真の目的は…

穢れなき少年の“目覚め”に優しき一言を。レギュラー陣の深掘り巻-『妖琦庵夜話 グッドナイトベイビー』

『妖琦庵夜話 グッドナイトベイビー』 榎田ユウリ/2016年/352ページ 茶室・妖琦庵の主は、隻眼にして美貌の洗足伊織。ヒトと僅かに違うDNAを持つ妖人だ。家令の夷、家事手伝いのマメと共に静かに暮らしていたが、“鬼”の属性を持つ青目にマメが襲われて…

人魚誘拐事件が暴きだす、旧き因習と現代の病理!-『妖琦庵夜話 人魚を喰らう者』

『妖琦庵夜話 人魚を喰らう者』 榎田ユウリ/2014年/320ページ 都内某所にひっそりと佇む茶屋『妖琦庵』。その主、洗足伊織は目を見張る美貌の持ち主だが、非常に偏屈な毒舌家でもある。『人間』と『妖人』を見分ける能力を持つ伊織のもとへ、正月早々、警…