角川ホラー文庫全部読む

ホラー小説のレビューブログ。全部読めるといいですね

★★★★

  他の作品とは一味違う、類稀なる恐怖をもたらしてくれる秀作。

傑作ショートショートと特撮ホラーが白眉。ボリュームたっぷりの恐怖万博開催!-『異形博覧会』

『異形博覧会 怪奇幻想短篇集』 井上雅彦/1994年/512ページ 劇場の幽霊。屍肉を掘り出す少女。孤島を覆いつくす蟹の群れ。仮面の食人鬼。サーカスの機械人形……。SFXを駆使したホラー・ムーヴィーや怪獣映画の洗礼を受けた現代の異色作家による、ビザールで…

原稿に書かれた怪異“崩れ顔の女”が編集者を襲う! エピソードゼロとしては完璧な逸品-『忌木のマジナイ』

『忌木のマジナイ 作家・那々木悠志郎、最初の事件』 阿泉来堂/2021年/336ページ ホラー作家、那々木悠志郎の担当編集となった久瀬古都美は、彼が初めて体験したという怪異譚を題材にした未発表原稿を読むことに。そこに書かれていたのは、心霊現象に懐疑…

見ると必ず死ぬ“呪夢”が伝染する…! ホラーの王道を秘伝技で調理した快作-『夢詣』

『夢詣』 雨宮酔/2025年/368ページ 第45回横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞受賞作! その悪夢、見れば、死ぬ――”順番”が来るまでに、解呪の鍵を探し出せ。 「もうすぐ私が御血をいただける順番です」“死に至る夢”を見ると訴えていた女性と老人が突然死し…

今は亡き愛猫に出会える喫茶店と連続放火事件の噂が交差する…!-『ホーンテッド・キャンパス 秋の猫は緋の色』

『ホーンテッド・キャンパス 秋の猫は緋の色』 櫛木理宇/2019年/304ページ 大学祭前。キャンパス内は浮かれた空気だが、オカルト研究会には相変わらず恐怖の依頼が。「彼女の体の痣が、人面瘡になってしゃべり出した」-ほか、頻発する放火現場に現れる猫と…

パワフル怪異“黒女”が因習村の人々をミンチと化す。どんでん返しはおとなしいがゴア度は強化!-『ぬばたまの黒女』

『ぬばたまの黒女(くろめ)』 阿泉来堂/2021年/320ページ 神出鬼没のホラー作家にして怪異譚蒐集家・那々木悠志郎再び登場!生まれ故郷の村が近隣の町に吸収合併されると知り、十二年ぶりに道東地方の寒村、皆方村を訪れた井邑陽介。妊娠中で情緒不安定の妻…

最恐=最強。コワすぎ&死にすぎの近距離パワー型幽霊屋敷が登場!-『最恐の幽霊屋敷』

『最恐の幽霊屋敷』 大島清昭/2025年/368ページ 転落が止まらない、 ジェットコースター級の事故物件ホラー長篇! 「最恐の幽霊屋敷」という触れ込みで貸し出されている物件がある――。幽霊を信じない探偵・獏田夢久(ばくたゆめひさ)は、屋敷で相次ぐ不審死…

実地取材と文献調査で“幽霊が現れる理由”を解き明かす特濃ノンフィクション-『【完全版】日本の幽霊事件 封印された裏歴史』

『【完全版】日本の幽霊事件 封印された裏歴史』 小池壮彦/2025年/368ページ 谷中霊園、日暮里駅、神田・お玉が池、神田~隅田川、東中野~中野一丁目、宮ケ瀬ダム、観音崎、群馬県&埼玉県・神流湖、秋葉原、面影橋、姿見の橋、歌舞伎町、品川橋~天王洲…

遺志を継いだゾク編始動。タマミ大暴れの表題作&隠れた逸品「影姫」を収録-『ゾク こわい本1 赤んぼ少女』

『ゾク こわい本1 赤んぼ少女』 楳図かずお/2025年/384ページ 楳図かずおの恐怖と妄想の世界へようこそ。 ある夫妻が暮らす洋館の屋根裏に幽閉され、隠された存在であったタマミ。そんな中、施設から引き取られた実の娘がやってきた。幸せそうで無邪気な美…

ついに“真の奇跡”が登場! 予想外のスケールで信仰と人の進化を描く異色作-『バチカン奇跡調査官 終末の聖母』

『バチカン奇跡調査官 終末の聖母(ディー・ゲリトニクス)』 藤木稟/2013年/512ページ バチカンで法王選挙が行われる最中、美貌の天才科学者・平賀と古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルトは、有名彫刻家の作品の除幕式に出席するため、メキシコのグア…

艶のあるタッチと緻密な表現に唸る。原作に勝るとも劣らない理想のコミック-『お江戸ふしぎ噺 あやし』

『お江戸ふしぎ噺 あやし』 宮部みゆき(原作)、皇なつき(作画)/2021年/208ページ 江戸の長屋に住む少女“おえん”に料理屋での奉公話が舞い込んだ。話がまとまりかけていたところ、約束は突然反故にされる。醜女を嫌った料理屋が、代わりに器量のいい娘を雇…

小粋で無惨で艶やかな、江戸の香り色濃く漂う珠玉の短編集-『あやし』

『あやし』 宮部みゆき/2007年/352ページ 美しいお千代を妬み、神社の梅の木に大凶のおみくじを結びつけながら、その凶運を願うおえん。実際にお千代が不幸な死に方をして…(「梅の雨降る」)。お義母さまにとりついていた鬼は、穢れの化身だった。近づく…

傑作選の名に恥じないラインナップ。ドライでリリカルな二大(?)作家の競演-『Wi-Fi幽霊』

『Wi-Fi幽霊 乙一・山白朝子ホラー傑作選』 乙一、山白朝子(著) 千街晶之(編) /2025年/448ページ 「夏と花火と私の死体」で驚嘆すべき才能としてデビューした乙一。山白朝子は怪談専門誌デビューの怪談作家。2人の作品に共通するのは「戦慄と郷愁」だ。父…

あかずめは人を閉じ込めて殺す。気づいた時にはもう遅い、悪意に満ちた呪いの正体は…-『あかずめの匣』

『あかずめの匣』 滝川さり/2025年/336ページ この呪い、回避不可能。あなた自身が「条件」を解き明かす、新感覚ホラー! その怪異は人を閉じ込めて殺す。すべての真実をあなたは解き明かせるか。 冠村には“窒息の家”と呼ばれる廃墟があり、「あかずめ」と…

特典コミックも収録したボーナストラック。必読のエピローグも収録した真の完結巻-『妖琦庵夜話 千の波 万の波』

『妖琦庵夜話 千の波 万の波』 榎田ユウリ/2023年/224ページ 東京下町にひっそり立つ妖琦庵。そこは妖人茶道家・洗足伊織の茶室だ。“管狐”の夷、“小豆とぎ”のマメとともに、穏やかな日々を過ごす伊織のもとへ、久しぶりに刑事の脇坂がやってきた。元水泳選…

すべての過去と確執に決着をつける最終エピソード。瞳が最後に映したものは-『妖琦庵夜話 ラスト・シーン』

『妖琦庵夜話 ラスト・シーン』 榎田ユウリ/2021年/288ページ 「ゲームをしよう。兄は守る。弟は奪う」父親である<鵺>に残酷なゲームを強いられる伊織。勝利条件は、弟で<鬼>の青目から、小鳩ひろむを守り抜くことだ。だが、刑事の脇坂は意識不明のま…

悪霊ゲットで商売する霊能カップルを“現実のしがらみ”という恐怖が襲う!-『ウラミズ』

『ウラミズ』 佐島佑/2013年/306ページ 怪しい健康食品会社に勤める真城は霊が視えてしまう特殊体質。気味の悪い霊の出現と毎日の仕事にウンザリしていた。そんなある日に出会った早音は、なんと霊を水入りのペットボトルに封じる不思議な力を持っていた。…

沖縄バカンス特別編かと思いきや、シリーズ随一の凶悪事件が発生!-『妖琦庵夜話 誰が麒麟を鳴かせるか』

『妖琦庵夜話 誰が麒麟を鳴かせるか』 榎田ユウリ/2019年/352ページ ヒトと僅かに異なる存在、妖人。SNSで妖人差別発言を繰り返していた男が殺された。遺体には、刃物で刻まれた謎のメッセージ。刑事の脇坂は、被害者と関わりのあった妖人団体を訪ね、…

悪人を眠らせ始末する連続殺人。遺体に詰められた小豆は何を語る?-『妖琦庵夜話 花闇の来訪者』

『妖琦庵夜話 花闇の来訪者』 榎田ユウリ/2017年/352ページ ヒトと僅かに異なる存在、妖人。美貌と毒舌の妖人茶道家・洗足伊織は、「家族」との平穏をなにより愛していた。最近は“小豆とぎ”のマメが、食堂でボランティアを始め、心身ともに成長中だ。そん…

怪談10話+αが語られる百物語回&正統派オカルト探偵回を収録した充実の巻-『ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語』

『ホーンテッド・キャンパス 夏と花火と百物語』 櫛木理宇/2018年/320ページ 夏休み。草食系大学生の森司は、オカルト研究会の皆と、セレブなマンションのラウンジで花火大会を見ることに。片想いのこよみの隣に座り、リア充すぎる状況だけど、真の目的は…

穢れなき少年の“目覚め”に優しき一言を。レギュラー陣の深掘り巻-『妖琦庵夜話 グッドナイトベイビー』

『妖琦庵夜話 グッドナイトベイビー』 榎田ユウリ/2016年/352ページ 茶室・妖琦庵の主は、隻眼にして美貌の洗足伊織。ヒトと僅かに違うDNAを持つ妖人だ。家令の夷、家事手伝いのマメと共に静かに暮らしていたが、“鬼”の属性を持つ青目にマメが襲われて…

人魚誘拐事件が暴きだす、旧き因習と現代の病理!-『妖琦庵夜話 人魚を喰らう者』

『妖琦庵夜話 人魚を喰らう者』 榎田ユウリ/2014年/320ページ 都内某所にひっそりと佇む茶屋『妖琦庵』。その主、洗足伊織は目を見張る美貌の持ち主だが、非常に偏屈な毒舌家でもある。『人間』と『妖人』を見分ける能力を持つ伊織のもとへ、正月早々、警…

件(くだん)を自称する占い師の殺害。瞳が映す“空蝉”の真実とは-『妖琦庵夜話 空蝉の少年』

『妖琦庵夜話 空蝉の少年』 榎田ユウリ/2013年/320ページ 妖怪のDNAを持つ存在、「妖人」。茶室「妖琦庵」の主・洗足伊織は、すば抜けた美貌と洞察力を持つ妖人だ。人間と妖人とを見分けるその力で、警視庁妖人対策本部、略してY対の捜査に協力してい…

よくある“妖怪探偵”モノながら、チープさを感じさせない巧みな設定と構成に唸る-『妖琦庵夜話 その探偵、人にあらず』

『妖琦庵夜話 その探偵、人にあらず』 榎田ユウリ/2013年/320ページ 突如発見された「妖怪」のDNA。それを持つ存在は「妖人」と呼ばれる。お茶室「妖琦庵」の主、洗足伊織は、明晰な頭脳を持つ隻眼の美青年。口が悪くヒネクレ気味だが、人間と妖人を見…

京極夏彦のホラー文庫初お目見えは、哀切に満ちたミステリ歌舞伎-『狐花 葉不見冥府路行』

『狐花 葉不見冥府路行(はもみずにあのよのみちゆき)』 京極夏彦/2024年/272ページ 美しき死人は誰が為に現れたのか。 作事奉行の娘・雪乃の前に現れた、この世のものとは思えない美しさを持つ萩之介。彼岸花の着物を纏う彼は、”この世に居る筈のない男”だ…

「らしさ」を出しつつストレートな怖さを追求する、ホラーマエストロ6人の競演-『慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー』

『慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー』 有栖川有栖、北沢陶、背筋、櫛木理宇、貴志祐介、恩田陸/2024年/336ページ 主役級にこわおもしろいホラー、6作品! 角川ホラー文庫30周年を記念し、最大の恐怖を詰め込んだアンソロジー、待望の第3弾。有栖川有栖×霧…

連続バラバラ殺人の‟欠片”から完成したパズルが、ただ1つの真実を指し示す…!-『PUZZLE 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』

『PUZZLE 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』 内藤了/2020年/336ページ 年の瀬が迫り、慌ただしくなる東京駅。新人女性警察官の恵平は、置き引き犯からスーツケースを押収する。中には切断された男性の胸部がー翌日から、都内各所で遺体の一部が次々に発見…

因習村で埋蔵金探し! 襲い来る悪意と人の業をかき消す青春模様-『ホーンテッド・キャンパス 墓守は笑わない』

『ホーンテッド・キャンパス 墓守は笑わない』 櫛木理宇/2018年/304ページ 「宝探しに行こう!」黒沼部長の号令で、キャンピングカーを借り山間の集落へ旅にでた、オカルト研究会一同。草食系大学生の森司は、片想いのこよみと狭い車内でドキドキの連続。…

ジュブナイル調の爽やかさすらあるホラーミステリだが、細部の描写は本当に怖い!-『呪脈の街』

『呪脈の街』 荒川悠衛門/2024年/304ページ ”泣き女”は、全てを知っている――。街に渦巻く怨念の正体とは。 一葉(ひとは)には母と2人だけの秘密があった。正体不明の異形――「泣き女」が見えるのだ。危害を及ぼすでもなくただ街を徘徊するだけの彼女たちと生…

自分を変える「おまじない」がケガレを呼ぶ。洒落怖な雰囲気漂う佳作-『檻降り騙り』

『檻降り騙り』 木古おうみ/2024年/256ページ 『領怪神犯』木古おうみが贈る、極上の浸食系ホラー開幕! 「読みからおはりや、書く遊ばせたまえ、降りおりて、語りかたりましませ」 学校で、居酒屋で、読み聞かせボランティアで、各所で囁かれるその"おまじ…

収まりきらない恐怖とアイデア! 8つの▢を巡る連作集-『ここにひとつの▢がある』

『ここにひとつの▢(はこ)がある』 梨/2024年/256ページ この■を持っていると、恐ろしいことが起きる。 フリマアプリで、「カシル様専用」として箱を出品すると、必ず落札される――。ある学校で流行っていたちょっとしたお小遣い稼ぎ。しかし、これにはある…