角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。読んだ上で、おすすめしたい作品は全力で推します。

★★★★

蠱惑の幻想作家が紡ぎ出す、耽美と恐怖の世界に酔う。匠の短編集-『夜叉の舌』

『夜叉の舌』 赤江瀑/1996年/323ページ 近江の町はずれで、黙々と刀剣の鞘づくりに打ち込む若き見習い職人・平河友威と、彼を見守り、その運命を導びき続ける一匹の赤い蜘蛛。両者の間に秘められた、妖しく摩訶不思議な出逢いとは。(表題作)夢幻、霊魂、死…

ミミズに「ありがとう」のメッセージ! 駄洒落とグロに満ちたタチの悪い短編集-『ミミズからの伝言』

『ミミズからの伝言』 田中啓文/2010年/293ページ 夫が健康食品用にミミズの養殖を始めたために、“ミミズっち”と揶揄され会社も解雇された倫子。その秘密をばらしたのは同僚の清美だった。ある日、清美に倫子からの携帯メールが届く。“近況報告でーす”とい…

歪みに歪んだ家族像の怖さ。いい意味で「スッキリしないもやもや感」の連続-『角の生えた帽子』

『角の生えた帽子』 宇佐美まこと/2020年/320ページ 何度も同じような悪夢を見る。それはさまざまな女をいたぶり殺すことでエクスタシーを覚えるという夢だ。ある日、その夢と同じ殺人事件が起こっていると知る。犯人として報じられたのは、自分と同じ顔を…

濃密な心理描写が怪異以上に怖い。怪奇に取り込まれた人々の放つ妖しい輝き-『るんびにの子供』

『るんびにの子供』 宇佐美まこと/2020年/256ページ 近づくのを禁止された池で、4人の園児たちは水から上がってくる少女を茫然と見つめていた。後にその女の子を園でも見かけるようになり…(「るんびにの子供」)。ヒモ生活を追い出され悪事の果て古家に辿り…