角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

シリーズ

怪人VS明智の対決路線のはしり。そのトリック大胆不敵!-『蜘蛛男 江戸川乱歩ベストセレクション⑧』

『蜘蛛男 江戸川乱歩ベストセレクション⑧』 江戸川乱歩/2009年/326ページ 妹が失踪したと、絹枝という女が犯罪学の権威・畔柳博士を訪ねてきた。折しも博士は、とある会社の怪しい従業員募集の新聞広告に犯罪の匂いを感じていた。絹枝の話では、妹・芳枝は…

地球滅亡! 異形化した新人類が理性と尊厳を脅かす、楳図印の終末SF-『こわい本2 異形』

『こわい本2 異形』 楳図かずお/2021年/352ページ 天才・楳図かずおの珠玉の恐怖シリーズ『こわい本』。充実の巻末企画付き! 「笑い仮面」では太陽の黒点の異常によって焼け野が原になる地上で生き延びるためにアリのような新人類が誕生する。これは「進化…

超能力犯罪VS探偵事務所。ようやく話が動き始めたところで打ち切りに…-『流星事件2』

『流星事件2』 面出明美/2013年/218ページ 16年前、突如飛来した謎の局地的流星群の影響で、数多の超能力者が日本に誕生。そして現在。表向きは平凡な業務をこなす「海堂探偵事務所」には、強い超能力を持つ若者が集っていた。実は彼等は「メテオ・バース…

「シリーズ最恐」は伊達じゃない圧倒的怪異も登場。相変わらずの安定した読み応え-『ホーンテッド・キャンパス 雨のち雪月夜』

『ホーンテッド・キャンパス 雨のち雪月夜』 櫛木理宇/2014年/352ページ 草食男子大学生、森司に訪れた試練。それは簿記の試験と、美少女こよみへの片想いを妨害する昔なじみ(男)。彼に翻弄されつつも、こよみへのクリスマスプレゼントを買うため、森司は…

学院で連続する奇跡と殺人。世界設定の深さと広さにいきなり圧倒されるシリーズ第1作-『バチカン奇跡調査官 黒の学院』

『バチカン奇跡調査官 黒の学院』 藤木稟/2010年/512ページ 天才科学者の平賀と、古文書・暗号解読のエキスパート、ロベルト。2人は良き相棒にして、バチカン所属の『奇跡調査官』──世界中の奇跡の真偽を調査し判別する、秘密調査官だ。修道院と、併設す…

受け継がれる意志と断ち切られる呪い。最終巻にふさわしいグランドフィナーレ-『BURN 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

『BURN 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子(上)』 内藤了/2019年/336ページ 数々の殺人の果てにテロをたくらむ組織「CBET」が狙っているのは、センターにかくまわれている天才的プロファイラー・中島保の技術。それ以外にも、彼らの求めるものがセンターに揃って…

心の伏魔殿に鬼が棲む! 魔に魅入られた人々の救いがたき末路-『拝み屋怪談 鬼神の岩戸』

『拝み屋怪談 鬼神の岩戸』 郷内心瞳/2018年/288ページ 都内で起こった幽霊騒動。女性霊能師に解決を要請された現役拝み屋の著者は、自身の過去を見つめざるを得ない状況にすげなく断ってしまう。しかし、現地で現れ続けているという紫色のワンピースを着…

ホラー要素皆無、既視感だらけの地味超能力ウォーズ-『流星事件』

『流星事件』 面出明美/2013年/280ページ 某年3月末日。突如、日本列島上空に巨大流星群が飛来した。直後、日本全土に正体不明の衝撃波を与え、流星はすべて消滅。混乱の中、人々は自らの身に特殊能力が宿ったことを知る―。そして「流星事件」と呼ばれる異…

味が無くなるまでしゃぶり尽くされた白塗りブリーフ男児の出がらしに涙-『呪怨 ザ・ファイナル』

『呪怨 ザ・ファイナル』 堀江純子/2015年/194ページ シティホテルで働く生野麻衣には、2歳年下の妹・結衣がいる。臨時教員として働く小学校で担任になれたと喜んでいた結衣が突然失踪した。妹が不登校の生徒「佐伯俊雄」を気にかけていたのを知った麻衣は…

被害者を手厚く葬る「エンゼルケア殺人事件」。矛盾する犯人像をベテラン刑事の勘が暴く!-『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2≪怪物≫』

『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book2≪怪物≫』 阿泉来堂/2023年/237ページ 『ナキメサマ』『贋物霊媒師』の著者の新境地。古書を巡る猟奇犯罪を追う! 先のグレゴール・キラー事件から二か月。その功績を認められ、刑事課強行犯係特別事案対策班(通…

設定を一新したリブート版『呪怨』。一新しなくてよかった-『呪怨 終わりの始まり』

『呪怨 終わりの始まり』 大石圭/2014年/316ページ 臨時教員ながら学級担任として自分のクラスを受け持つことになった生野結衣。夢を叶え、喜びを噛みしめる結衣だが、クラスには不登校を続ける生徒―佐伯俊雄がいた。電話でも連絡がつかず、不吉な予感を覚…

ツボを押さえた展開ながら、キャラ造形は昭和な猟奇犯罪モノ-『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1≪変身≫』

『バベルの古書 猟奇犯罪プロファイル Book1≪変身≫』 阿泉来堂/2023年/275ページ 第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞読者賞受賞作家の新境地! 札幌市近郊の町、荏原市で発生した女子大生殺人事件。遺体の首と両手は切断されて持ち去られ、現場にはフランツ…

理不尽が生む孤独が理不尽な惨劇を起こす…。それにしてもこの霊能者はヒドいな!-『呪怨 黒い少女』

『呪怨 黒い少女』 大石圭/2009年/157ページ 看護師の裕子は、芙季絵という少女の担当を任されてから、奇妙な体験をするようになる。そして検査の結果、芙季絵の体内に「腫瘍」が発見される…。生まれてくることのできなかった者の怨みが少女を蝕み、やがて…

陰惨すぎて逆に心地よい「バスケババア」誕生秘話-『呪怨 白い老女』

『呪怨 白い老女』 大石圭/2009年/179ページ ある家で、司法試験に落ちた息子が家族5人を次々と惨殺し、自らも首を吊って死んだ。死ぬ瞬間を彼が録音したカセットテープには、彼の声とともに少女の不気味な声が録音されていた。それは、あかねが小学生の頃…

世界に広がる憎悪の輪! 伽椰子のパワフルさを久々堪能できる好編-『呪怨 パンデミック』

『呪怨 パンデミック』 大石圭/2007年/332ページ 住宅街の一角にひっそりと建つ幽霊屋敷として有名な「ある家」。その家に足を踏み入れた者たちは次々と謎の死や失踪を遂げていた。そこではかつて伽椰子という女性が夫に惨殺され、当時6歳だった長男の俊雄…

アメリカ人がジャパニーズ怨霊の呪いで大量死。焼き直し感がどうしても漂う-『THE JUON/呪怨 ハリウッド版 呪怨』

『THE JUON/呪怨 ハリウッド版 呪怨』 大石圭/2005年/293ページ ビジネスマンのマシューは妻のジェニファーと軽度の痴呆がある母親エマを連れて日本の企業に赴任してくる。彼らは郊外の日本建築の一軒家を借りて新生活をスタートさせるが、ジェニファーは…

早すぎるマンネリ化、明らかなパワーダウンを感じる残念続編-『呪怨2』

『呪怨2』 大石圭/2003年/288ページ その家に関わった者は、行方不明になるか悲惨な死を遂げると言われる「呪われた家」。ホラークィーンの異名をとる女優の原瀬京子は、その家を取材するテレビの特番に出演した日の夜、交通事故に遭う。運転していた婚約…

Jホラー界で二番目くらいに有名なパワフル呪殺ヒロイン・伽椰子の誕生を描く秀逸ノベライズ-『呪怨』

『呪怨』 大石圭/2003年/314ページ 老人介護のボランティアをしている仁科理佳は、寝たきりの老婆・幸枝の様子を見てきて欲しいと頼まれる。郊外の住宅地にあるその家の中は、悪臭が漂い、ゴミが散乱していた。理佳が人の気配を感じて二階に上がるとガムテ…

作家と編集の絆が生死を超越した存在に打ち勝つ、闇のクリエイター賛歌!-『奇奇奇譚編集部 怪鳥の丘』

『奇奇奇譚編集部 怪鳥の丘』 木犀あこ/2018年/288ページ 霊が見えるホラー作家・熊野惣介は、担当編集者の善知鳥の異動話を耳にしてしまう。善知鳥本人からの説明がないまま、ふたりはいつもの心霊取材へ。廃墟の水族館に現れる巨大未確認生物や、温泉に…

その都市伝説の呪いは拡散する…! ホラー小説の金字塔に真正面から挑んだ傑作ミステリ-『ずうのめ人形』

『ずうのめ人形』 澤村伊智/2018年/464ページ 不審死を遂げたライターが遺した謎の原稿。オカルト雑誌で働く藤間は後輩の岩田からそれを託され、作中の都市伝説「ずうのめ人形」に心惹かれていく。そんな中「早く原稿を読み終えてくれ」と催促してきた岩田…

最凶怪談「八甲田山」にまつわるエピソードは興味深いが全体的にはややパンチ不足-『怪談狩り 葬儀猫』

『怪談狩り 葬儀猫』 中山市朗/2023年/256ページ 怪異蒐集家が厳選して語り継ぐ、本当に怖い怪談実話集。 コロナ禍の町で、異様な格好の男を目撃した主婦の体験が不思議な「面布」。引っ越したばかりの地で、近所で立て続けに起きた不幸と、その共通点に震…

常世をも凌駕するホラークリエイターの意地と矜持を見よ!-『奇奇奇譚編集部 幽霊取材は命がけ』

『奇奇奇譚編集部 幽霊取材は命がけ』 木犀あこ/2018年/228ページ 霊が見えるホラー作家の熊野惣介は、怪奇小説雑誌『奇奇奇譚』での連載を目指して、担当編集者の善知烏とネタ探しを続けていた。フィクションの存在のはずの怪人、さびれた大観音像の内部…

『リング』の続編という高いハードルを越え、シリーズを神話と化した医学SF-『らせん』

『らせん』 鈴木光司/2000年/432ページ 幼い息子を海で亡くした監察医の安藤は、謎の死を遂げた友人・高山竜司の解剖を担当した。冠動脈から正体不明の肉腫が発見され、遺体からはみ出た新聞紙に書かれた数字は、ある言葉を暗示していた。…「リング」とは?…

厨二妄想の少女が実体化! 実話怪談の域を超えた「拝み屋怪談」としか言い表せない一編-『拝み屋怪談 来たるべき災禍』

『拝み屋怪談 来たるべき災禍』 郷内心瞳/2017年/352ページ 虚実の境が見えなくなってしまった時、人にとってあらゆるものが、怪異となり得る危険を孕んでしまう―。現役拝み屋が体験した現世のこととも悪夢とも知れない恐るべき怪異。すべては20年以上前、…

執念深きヘビのうらみ! ヘビ少女にヘビおばさんが美少女の首筋を這いまわる!-『こわい本1 蛇』

『こわい本1 蛇』 楳図かずお/2021年/320ページ 幸せに暮らしていた沼田家の姉妹を、突然の悲劇が襲った。姉が、手足が動かなくなる原因不明の病に倒れたのだ。献身的に看病する妹だったが、姉の奇怪な行動に不審を抱き、姉の正体は蛇で、自分を殺そうとし…

刑事と検死官、仕事に誇り持つ2人が夫婦として暮らした数カ月。必読のスピンオフ-『サークル 猟奇犯罪捜査官・厚田巌夫』

『サークル 猟奇犯罪捜査官・厚田巌夫』 内藤了/2018年/256ページ ある事件を経て新婚生活をスタートさせた厚田巌夫と石上妙子。警察官一家惨殺事件が発生、二人は駆け出し刑事と新鋭検死官というそれぞれの立場から事件に向き合うことになった。妙子のお…

浮世と常世の境界で結ばれる友情。通算17巻に及ぶシリーズの大団円!-『華舞鬼町おばけ写真館 祭りばやしと光の絆』

『華舞鬼町おばけ写真館 祭りばやしと光の絆』 蒼月海里/2019年/208ページ 浮世と常世の境界にある不思議な町・華舞鬼町。住人のアヤカシたちは那由多の写真のおかげで浮世との繋がりを強く持っていた。貧乏神のクロ助は、富むものを衰退、劣化させてしま…

福の神になりたい貧乏神を相棒に、人助けで徳を積む新展開-『華舞鬼町おばけ写真館 消えた臨港線と缶入りドロップ』

『華舞鬼町おばけ写真館 消えた臨港線と缶入りドロップ』 蒼月海里/2019年/208ページ 異能を持つ祖父の形見のカメラは、過去の風景を写し那由多を華舞鬼町へと連れていってくれた。カメラが壊れてからは移動できずにいたが、姉のアドバイスで道祖神を祀る…

別離、邂逅、決戦、和解…最終巻っぽい展開盛りだくさんのイベント巻-『華舞鬼町おばけ写真館 夜の語り部とふっくらカルメ焼き』

『華舞鬼町おばけ写真館 夜の語り部とふっくらカルメ焼き』 蒼月海里/2019年/208ページ 「虚路は、人から忘れられそうになったら姿を現す」なぜなら忘れられるとその概念が消えてしまうから、と狭間堂から説明を受ける那由多。一方、浮世と華舞鬼町では拍…

新人作家&ドS編集者の心霊取材。創作者の胸を打つ意外なほどの熱さに痺れる-『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』

『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』 木犀あこ/2017年/240ページ 霊の見える新人ホラー作家の熊野惣介は、怪奇小説雑誌『奇奇奇譚』の編集者・善知鳥とともに、新作のネタを探していた。心霊スポットを取材するなかで、姿はさまざまだが、同じ不…