角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。

淡々と起きる怪異、爆速で恋仲になる前田敦子と成宮寛貴…ファスト映画小説の極み-『クロユリ団地』

『クロユリ団地』 脚本:加藤淳也・三宅隆太、ノベライズ:堀江純子/2013年/197ページ 介護福祉士を目指す二宮明日香は、引っ越してきたばかりのクロユリ団地でミノル少年と出会う。その晩、隣室からのノイズに苛立った明日香は、学校でクロユリ団地の悪い…

男女の心理的駆け引きは、傍から見れば恐怖にもなり得る。トレンディな香り濃厚なサイコホラー-『金曜日の女』

『恐怖小説集 金曜日の女』 森瑤子/1996年/234ページ 自分を捨てた男からの電話を、何年も電話の前で待ち続ける女。婚礼の前日、出会ったばかりの男と駆け落ちを企てる女。女たちの胸の奥底に渦巻く出口のない想いがえぐり出される。森瑤子の遺した傑作サ…

人の心を縛る呪いは怨霊よりも恐ろしい。「再読率100%」は伊達じゃない-『予言の島』

『予言の島』 澤村伊智/2021年/352ページ 初読はミステリ、二度目はホラー。この島の謎に、あなたもきっと囚われる。 瀬戸内海の霧久井島は、かつて一世を風靡した霊能者・宇津木幽子が最後の予言を残した場所。二十年後《霊魂六つが冥府へ堕つる》という―…

食品偽装、家族の認知症、早すぎた埋葬…恐怖の質が生々しすぎる厭話シリーズ第4弾-『忌談4』

『忌談4』 福澤徹三/2015年/208ページ 誰もが知る有名ブランドショップで封印された怪異(「九つの御守り」)。凄惨な事故現場、押し潰された車体から発見されたのは(「手」)。吐き気を催す食品偽装の実態(「よだれ肉と注水牛肉」)。SMバーで知りあった女の…

頼もしくもわかりやすい仲間が続々集合。オーソドックスな異世界冒険譚になったが物足りなさは否めない-『戦争大臣Ⅱ 天鵞絨の死』

『戦争大臣Ⅱ 天鵞絨の死(ベルベット・デス)』 遠藤徹/2011年/269ページ 叛乱組織「蟻」のリーダー、フレイムは寛一の恋人・つみきだった。彼女の一言で自分を取り戻し、現実に戻った寛一。本の世界と呼応するように歪む世界を前にして、寛一はスナークとし…

「死体を溶かして証拠隠滅」という定番ネタに真正面から取り組むと…? 犯罪心理を情感たっぷりに描くサスペンス短編集-『人間溶解』

『自選恐怖小説集 人間溶解』 森村誠一/1997年/327ページ 粘着力を帯びた不気味な液体はしきりに瘴気を立ちのべていた…。究極の「完全犯罪」を目論む表題作『人間溶解』をはじめ、突然の侵入者に怯える主婦の心理を覗く『行きずりの殺意』。“少女”に取り憑…

シリーズ中ではヌルめの入門編だが、エグい話も粒ぞろい。生々しい家族の悪意に慄然-『無惨百物語 ておくれ』

『無惨百物語 ておくれ』 黒木あるじ/2015年/288ページ 火葬場の煙をビニール袋に入れて遊ぶ幼い息子。特種清掃員の自宅を訪れた老人の霊。最終便のバスに乗ると決まって現れる和服姿の母に似た女…。この世ならざるモノに出会い、常識では理解不可能な事象…

伝説のオカルト廃墟スポット「山の牧場」後日談を含む、建物にまつわる実話怪談-『怪談狩り 禍々しい家』

『怪談狩り 禍々しい家』 中山市朗/2017年/256ページ 怪奇蒐集家・中山市朗が狩り集めた戦慄の建物怪談。人の気配がない角部屋から聞こえる妙に大きな生活音、引っ越し先で見つけた不気味なビデオテープ、誰もいない子ども部屋で突然鳴りだすおもちゃの音…

うしろ、うしろ、うしろ、うしろ、うしろ、うしろ、うしろ、うしろ-『うしろ』

『うしろ』 倉阪鬼一郎/2007年/365ページ それは奇妙なマンションだった。女性専用で、セキュリティは万全、一見何の問題も無いように見える。だが、常に観察していれば気づくだろう、ここでは妙に人が入れ替わることに。そして、出て行く者の顔は必ず恐怖…

作中ギミック全てが不発、唐突に迎える納得いかないラスト。すがすがしいまでの失敗作-『そして、またひとり…』

『そして、またひとり…』 幸森軍也/1999年/253ページ 百瀬貴彦、百瀬の妻・朋美、薬袋和久、八木沢延明の4人は大学時代同じサークルに属していた。卒業後10年ぶりの再会を機に家族連れでキャンプへ出かけることになるが、なれない地理での検問による迂回や…

ワンアイデアで読ませるパワー型バカ短編。面白さはともかくホラーとは程遠い-『穴らしきものに入る』

『穴らしきものに入る』 国広正人/2011年/248ページ ホースの穴に指を突っ込んだら、全身がするりと中に入ってしまった。それからというもの、ソバを食べる同僚の口の中、ドーナツ、つり革など、穴に入れば入るほど充実感にあふれ、仕事ははかどり、みんな…

B級展開の端々からほとばしる凄み。異形への偏愛に満ちたパルプな短編集-『跫音』

『自選恐怖小説集 跫音』 山田風太郎/1995年/348ページ 推理・活劇・官能そして、恐怖……。現代エンターテインメント小説に多大な影響を与えた著者の自選恐怖小説集。運命共同体に身を委ねた人間の心理を描く『三十人の三時間』をはじめ、愛する男性の不可…