角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

★★

  それなりに楽しめたが、個人的な好みとは微妙に外れていた作品。

微妙な回をノベライズされても微妙な小説にしかならないという自明の理-『世にも奇妙な物語 小説の特別編 赤』

『世にも奇妙な物語 小説の特別編 赤(グール)』 武井彩、旺季志ずか、相沢友子/2003年/245ページ 「こんなはずじゃなかったのに…」子供の世話に明け暮れる日常の中、人生の選択を後悔する主婦・明子。ある時、パソコンの画面上に見つけた見慣れぬアイコン…

2001年に書かれた暴走するAI小説。もっと景気よく暴走してくれ!-『あなたの待つ場所』

『あなたの待つ場所』 幸森軍也/2001年/361ページ 永田培朗は大学時代の友人・柳原、桐島と設立したソフトハウス「プロメテウス」でプログラマをしていた。企業相手のメンテナンスを日常業務としていたが、最大の目標は、自己適応能力と自己複製能力を兼ね…

珍作「夜汽車の男」が光るが、4編中3編がコメディなのはバランス的にちょっと…-『世にも奇妙な物語 小説の特別編 遺留品』

『世にも奇妙な物語 小説の特別編 遺留品』 勝栄、中村樹基、橋部敦子、山内健司/2002年/254ページ さえないサラリーマン・井上が、社用で訪れたのは、町全体でお笑いをする奇妙な町だった「おかしなまち」。不慮の事故で右腕を失った天才ピアニスト。復活…

歴史上のお偉いさんより市井のシリアルキラーのほうが興味沸くよねという話-『美しき惨殺者たち』

『美しき惨殺者たち』 桐生操/1999年/258ページ 人は時として途轍も無く残酷になれる。それは、どんな時代でも変わらない。血を求め、肉を刻み、魂を欲しがった“惨殺者”たち。大量虐殺、猟奇殺人、人肉嗜食など欲望のおもむくままに残忍な行為を犯す。神を…

アイデア自体は悪くないが、もっと面白くなりそうな「もったいなさ」が…-『世にも奇妙な物語 小説の特別編 悲鳴』

『世にも奇妙な物語 小説の特別編 悲鳴』 旺季志ずか、中村樹基、落合正幸/2002年/282ページ 素敵な恋に憧れる理沙が迷い込んだドラマのような世界とは…!?「ドラマティックシンドローム」。犯罪被害者の遺族が加害者に仇討ちをするTV番組、仇討ちショ…

ドラマ版では気にならないツッコミどころが目立ってしまうノベライズ-『世にも奇妙な物語 小説の特別編 再生』

『世にも奇妙な物語 小説の特別編 再生』 大野敏哉、高山直也、中村樹基、鈴木勝秀、落合正幸/2001年/282ページ 「友達登録」携帯電話に届いた不思議なメールに従い友達登録をした小百合。友達が沢山できはじめたのだが…。「株式男」一攫千金を夢見て株に…

最初の一編だけでじゅうぶんな玉石混淆オムニバス-『世にも奇妙な物語 小説の特別編』

『世にも奇妙な物語 小説の特別編』 鈴木勝秀、落合正幸、君塚良一、中村樹基、星護、相沢友子/2000年/318ページ 旅客機が雪山に墜落。生き残った美砂たち五人が山小屋で体験した恐怖の一夜とは…(雪山)。ある日、討ち入りを迷う大石内蔵助の足元に落ちて…

特攻カラスが人体を貫く! 予想は裏切らず期待は裏切る凡作-『死の鳥』

『死の鳥』 白土勉/2013年/326ページ 気鋭の動物行動学者でカラスを専門とする美紀のもとを、捜査一課の刑事・松岡が訪れる。住宅内で夫婦が白骨死体で発見された事件で、生き残った娘が「カラスに喰い殺された」と証言したらしい。あり得ないと否定する美…

思ってたのと違う! サスペンス展開重視の地味過ぎる超能力モノ-『扉のない部屋』

『扉のない部屋』 スティーヴン・ギャラガー/1994年/364ページ スイスの製薬研究所が極秘に開発した新薬“EPL”。イギリス人の青年ジムは、ある事故をきっかけに実験段階のEPLを注射されてしまった。その日からジムの身体と精神に恐ろしい異変が起こる。決し…

顔見せと設定紹介で終わってしまう第1巻。本領発揮は次巻で…-『モノノケ杜の百鬼夜行』

『モノノケ杜の百鬼夜行』 蒼月海里/2020年/208ページ 東京都台東区御森。またの名をモノノケ杜と呼び、御神木に巫女が嫁入りしたという伝説があった。その末裔の百目木一華は常世の者と心を交わし妖怪と暮らす少年。同じクラスに転校してきた藤谷潤は森に…

霧に覆われた事件の真相がテンポよく明らかになっていくSFアクション-『キリノセカイ Ⅱ.報復のサガ』

『キリノセカイ Ⅱ.報復のサガ』 湖山真(原作:平沼正樹)/2013年/347ページ 仙堂とミアは鏡子の壊れたオルゴールから小さなリングを発見する。それには重大な情報が秘められており、ふたりはさらに霧の世界の真相に巻き込まれていく。一方、東京の霧の底…

オーディオドラマのノベライズ。原作を聴けばいいような気がしないでもない-『キリノセカイ Ⅰ.キオクの鍵』

『キリノセカイ Ⅰ.キオクの鍵』 湖山真(原作:平沼正樹)/2013年/275ページ 突然、東京は原因不明の濃霧に覆われた。人々が視界を奪われたまま8年が過ぎたある冬の夜、タクシー運転手の仙堂は何者かに追われる少女ミアと出会う。仙堂は元刑事の勘に従っ…

霊能者様のおかげで娘が助かりました! というだけの話をどう楽しめというのか-『霊能者』

『霊能者』 髙橋三千綱/1993年/373ページ 心理学者の川島はロサンゼルスの霊能者から五歳の娘亜里の危険を予感させる不吉な霊視を受けた―。その直後、亜里の突然の失踪を知った川島は急遽帰国し、その行方を追うが…。闇の世界に引き込まれた少女救出のため…

ミッドサマーに起きた猟奇殺人事件と、女子高に潜むカルトの恐るべき真相-『聖女の肉』

『聖女の肉』 和田はつ子/2007年/215ページ ミドサマー・イヴに起きた第一の殺人。首を切断され、逆さに吊された少女の胃の中から中世ヨーロッパの祭典でよく飲まれた祝杯ラムズ・ウールの原料が発見された。第二の殺人では、死体の前に聖スウィズンを奉る…

B級、そしてエロチック。荒唐無稽なパルプホラーが集う驚異の部屋-『デス・ルーム』

『デス・ルーム』 行川渉(著)、デニス・バルトーク(原案)/2009年/184ページ 封印され、行方知れずとなった伝説の恐怖映画『ヒステリア』…。撮影された、通称「DEAD HOUSE」と呼ばれるセットは、まだウルトラ・スタジオのどこかに実在しているとい…

100リツイートされないと脳味噌が融ける! 相変わらずの近距離パワー型ナスティホラー-『#拡散忌望』

『#拡散忌望』 最東対地/2017年/320ページ ある高校の生徒達の噂。“ドロリンチョ@MW779”このアカウントからのツイートには要注意。晒された人は、頭の中身がどろどろに溶けて噴き出すんだって―。その噂は本当だった!晒された者はメッセージを拡散せよ。失…

古典的な怪談ネタをトレンディなファンタジックホラーに昇華した中編-『白い少女』

『白い少女』 桂千穂/1995年/178ページ うだつのあがらない新進カメラマンの正彦が、踏切事故の現場で出会った不思議な少女・裕美子。彼女を写真に撮るうちに、雅彦は写真家として成功していく。しかしその代償として雅彦に課せられた運命とは……?少女の妖…

夫婦間の歪んだ愛情を煽情的に描く短編集。エロ無し回のほうが面白いかも-『甘い監獄』

『甘い監獄』 大石圭/2014年/320ページ お見合いで知った双葉に惹かれる慶太。双葉によって嗜虐性に目覚めた慶太は、出会った日から彼女に陵辱の限りを尽くす。結婚して2ヶ月後、その夜がくるまでは…(「いじめたくなる女」)。「夫婦交換をしてみない?」結…

超能力はおろか「黄泉の国」まで実在する世界観を、勢いだけで押し通した怪作刑事ドラマ-『ケイゾク/Beautiful Dreamer 完全版』

『ケイゾク/Beautiful Dreamer 完全版』 西荻弓絵(ノベライズ:橋爪敬子)/2002年/200ページ 迷宮入り事件ケイゾク調査の専門部署「警視庁捜査一課弐係」に、あの天才女性キャリア・柴田純が係長になって還ってきた!十五年前の海難事故の生存者たちが“厄神島…

美しき少年殺人鬼が、己の人生に向き合うまでを描くSM官能小説-『名前のない殺人鬼』

『名前のない殺人鬼』 大石圭/2022年/288ページ 僕は周りの人たちにシュンと呼ばれている。でも、この国の戸籍にそんな名前の人物はいない。だから人を殺しても構わない。僕は名前のない殺人鬼なのだ――。 弁護士の李子からの依頼に従い、嗜虐的な趣味をも…

ホラー要素皆無、既視感だらけの地味超能力ウォーズ-『流星事件』

『流星事件』 面出明美/2013年/280ページ 某年3月末日。突如、日本列島上空に巨大流星群が飛来した。直後、日本全土に正体不明の衝撃波を与え、流星はすべて消滅。混乱の中、人々は自らの身に特殊能力が宿ったことを知る―。そして「流星事件」と呼ばれる異…

味が無くなるまでしゃぶり尽くされた白塗りブリーフ男児の出がらしに涙-『呪怨 ザ・ファイナル』

『呪怨 ザ・ファイナル』 堀江純子/2015年/194ページ シティホテルで働く生野麻衣には、2歳年下の妹・結衣がいる。臨時教員として働く小学校で担任になれたと喜んでいた結衣が突然失踪した。妹が不登校の生徒「佐伯俊雄」を気にかけていたのを知った麻衣は…

設定を一新したリブート版『呪怨』。一新しなくてよかった-『呪怨 終わりの始まり』

『呪怨 終わりの始まり』 大石圭/2014年/316ページ 臨時教員ながら学級担任として自分のクラスを受け持つことになった生野結衣。夢を叶え、喜びを噛みしめる結衣だが、クラスには不登校を続ける生徒―佐伯俊雄がいた。電話でも連絡がつかず、不吉な予感を覚…

官能的な薫りに誘われるまま殺人を犯す、大石作品お馴染みのド変態ハンサム繁盛記-『殺人調香師』

『殺人調香師』 大石圭/2011年/400ページ 柏木はハンサムな若き調香師。彼の調合する香水を求め、店には多くの婦人たちが訪れる。だが柏木には大きな秘密があった。彼は調香師にして―連続殺人鬼。命を失ってから数時間にわたって皮膚から立ちのぼる『その…

冒頭の“洒落怖”な雰囲気は抜群ながら、ゲーム的展開がリアリティを削ぐ凡作-『ハラサキ』

『ハラサキ』 野城亮/2017年/208ページ 百崎日向には幼少期の記憶がほとんどない。覚えているのは夕陽に照らされる雪景色だけだった。結婚が決まり、腹裂きの都市伝説が残る、故郷の竹之山温泉に向かう電車の中で日向は気を失う。目覚めるとそこは異世界の…

アメリカ人がジャパニーズ怨霊の呪いで大量死。焼き直し感がどうしても漂う-『THE JUON/呪怨 ハリウッド版 呪怨』

『THE JUON/呪怨 ハリウッド版 呪怨』 大石圭/2005年/293ページ ビジネスマンのマシューは妻のジェニファーと軽度の痴呆がある母親エマを連れて日本の企業に赴任してくる。彼らは郊外の日本建築の一軒家を借りて新生活をスタートさせるが、ジェニファーは…

恐怖のバイオ昆虫と伝奇ミステリの食い合わせはイマイチな結果に…-『虫送り』

『虫送り』 和田はつ子/2000年/305ページ 北海道、井戸無村。そこでは生物農薬として使っていたてんとう虫が異常繁殖を始め、川魚を集団で襲うという怪現象が起きていた。そしてこの現象に疑問を持った人間が次々と怪死を遂げる。一方札幌では、虫の死骸と…

早すぎるマンネリ化、明らかなパワーダウンを感じる残念続編-『呪怨2』

『呪怨2』 大石圭/2003年/288ページ その家に関わった者は、行方不明になるか悲惨な死を遂げると言われる「呪われた家」。ホラークィーンの異名をとる女優の原瀬京子は、その家を取材するテレビの特番に出演した日の夜、交通事故に遭う。運転していた婚約…

「女たちの愛と狂気」という新鮮味のないテーマを、新鮮味がないままに描くノベライズ-『ラブ サイコ 角川ホラーシネマ』

『ラブ サイコ 角川ホラーシネマ』 著:小川秀夫 原案:岡嶋寛人/2006年/173ページ …愛がすべてと信じる恋愛依存症のあなたに…愛が見えなくなった恋愛恐怖症のあなたに…そして、自らの愛に狂気を感じるあなたに…。女たちの愛と狂気をテーマに、愛の中に潜…

魔性の瞳が秘められた憎悪を暴く。全体的な説得力不足が惜しい一作-『私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。』

『私のクラスの生徒が、一晩で24人死にました。』 日向奈くらら/2017年/320ページ 二年C組の問題の多さには、呆れますね―教頭の言葉が突き刺さる。また私のクラスの生徒が行方不明になった。これでもう4人だ。私はその失踪にあの子が関係しているのではな…