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早すぎるマンネリ化、明らかなパワーダウンを感じる残念続編-『呪怨2』

『呪怨2』

大石圭/2003年/288ページ

その家に関わった者は、行方不明になるか悲惨な死を遂げると言われる「呪われた家」。ホラークィーンの異名をとる女優の原瀬京子は、その家を取材するテレビの特番に出演した日の夜、交通事故に遭う。運転していた婚約者は意識不明の重体となり、自分もまた重傷を負い流産してしまう。しかし、それは彼女が体験する未曾有の恐怖の、ほんの始まりに過ぎなかった…。前作を遙かに凌ぐ、究極の悪夢!映画完全ノベライズ版。

(「BOOK」データベースより)

 

 ホラー女優の原瀬京子(映画版では酒井法子)は例の「呪われた家」でのロケの帰り、交通事故に遭って流産し、婚約者も意識不明となる。そのロケに参加したスタッフやタレントも次々と怪死を遂げた。“白塗りの顔の子供”が自分の腹に手を当てる幻覚を見た京子は、流産したはずの自分が再び“何か”を身ごもっていることを知る…。

 

 ノベライズ版は前作と同じく、映画版でシャッフルされていた時系列が整理されておりわかりやすくなっている。結末部分は袋とじになっているものの、大まかな展開自体は映画版と同じである。ぶっちゃけ本作は(映像的にはともかく、ストーリー的には)前作『呪怨』の出来の悪い焼き直しで、そこに新しい恐怖体験はあまり感じられない。伽椰子はその理不尽さがコワいのであって、彼女側の視点を綿密に描くことは恐怖感を薄れさせるだけではないか? という気がする。伽椰子に殺された人が幽霊となってヒロインを手助けする展開はどう考えても不要だし、ガソリン担いで呪われた家に向かうクライマックスも既視感バリバリだし…。あと中盤にいきなり出てきて特に意味無く死んだ千春のエピソードも存在意義がよくわからない。

 伽椰子に関する新事実が明らかになるわけでもないし(あの恥ずかしいスクラップブックをやたら人に見せたがるのはどういう性癖なのか)、俊雄もほったらかされたポケモンのようにその辺をウロウロしているだけだし、前作を知っていればいるほど物足りない微妙な続編と言わざるを得ない。

★★☆(2.5)

 

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