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シリーズ初期作のミステリ要素はノベライズとも相性良し-『ソウ2 ―SAW2』

『ソウ2 ―SAW2』

行川渉(著)、ダーレン・リン・バウズマン、リー・ワネル(原案)/2005年/218ページ

ある猟奇殺人事件の捜査にあたっていた刑事エリック。その陰惨極まる殺人現場を目にした彼の頭を、ひとつの名前がよぎる。「ジグソウ」。複数の犠牲者を出し、あらゆる人々を恐怖のどん底に突き落とした、史上類を見ない狂気の殺人者。今回の事件は、ジグソウが仕掛けた新たな「ゲーム」なのか?全世界で大ヒットの話題作、ついに続編登場。

(「BOOK」データベースより)

 

 個人的にはシリーズ最高傑作である『2』を忠実にノベライズ化。『3』以降はグロテスクさがエスカレートする一方、ミステリ的な要素が薄れ気味で、本作くらいの塩梅がちょうどいい気がする。ノベライズとしてはキャラクターごとに切り替わる主観視点、テンポのよいカット(章)割り、章ごとに表示される「残り時間」…といった特徴を前作から引き継いでいる。ジグソウ視点の章が「わたし」と「ワタシ」の2種類あるのは…まあ、ネタを知っている人には納得だろうが、少々露骨過ぎるか。
 今回のジグソウのターゲットは横暴かつ暴力的な刑事・エリック。ゲームに集められたのはエリックによって逮捕された人々で、さらにエリックの息子・ダニエルも参加者の中にいた。ダニエルの素性が明らかになれば、エリックに恨みを持つ連中が何をするかわかったものではない。ジグソウを確保したエリックと警官たちは、デスゲーム現場を中継するモニターを見ながら焦りを募らせるのだが…。前作から比べると登場人物もデスゲームの種類も大幅に増え、予算が増えた順当なパワーアップ版といった感じ。

★★★(3.0)

 

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