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アメリカ人がジャパニーズ怨霊の呪いで大量死。焼き直し感がどうしても漂う-『THE JUON/呪怨 ハリウッド版 呪怨』

『THE JUON/呪怨 ハリウッド版 呪怨』

大石圭/2005年/293ページ

ビジネスマンのマシューは妻のジェニファーと軽度の痴呆がある母親エマを連れて日本の企業に赴任してくる。彼らは郊外の日本建築の一軒家を借りて新生活をスタートさせるが、ジェニファーは日本での暮らしと慣れない介護に悩むようになる。そんなある日、東京の国際大学で福祉を学ぶカレンは授業の一環としてエマの様子を看に行くことになるが…。世界中を震撼させた史上最大の恐怖を完全小説化。

(「BOOK」データベースより)

 

 日本に赴任してきたアメリカ人一家が「呪われた家」に住んでしまったおかげで、周囲のアメリカ人がどんどん死んでいくというストーリーは原作を知っているとどうしても無理やり感がある。「伽椰子が憧れていたのは50代の白人男性ピーター」という変更点もあるが、そうなると旦那が嫉妬のあまり伽椰子を殺害した、という設定にも無理が出てくる(俊雄はどう見ても白人とのハーフには見えない)。

 映画版『JUON』はなまじ大筋が元の『呪怨』と同じなだけに(監督も同じ清水崇)、作者の大石圭も書きにくかったのではなかろうか。原作に忠実なのは評価点ではあるのだが、これがノベライズになると焼き直し感だけが強くなってしまう。「日本にやって来た外国人あるある」の部分は取材の結果なのかリアリティがあり面白いが、これは恐怖には特につながらないと思う。

★★(2.0)

 

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