角川ホラー文庫全部読む

ホラー小説のレビューブログ。全部読めるといいですね

角川ホラー文庫

最初から最後まで悪ふざけを通す問題作「くくしがるば」収録。このテンションで170ページ!?-『おがみむし』

『おがみむし』 遠藤徹/2009年/211ページ 「これが恋というものなのだ」。男はわたしの心臓を丸呑みにして、得意そうに言った。虜になったわたしは、11名の女と共に男の僕となった。ところが13番目にやってきた少女だけは違っていた。なぜなら彼女は……

血の繋がっていない弟が、聖剣で姉を護るナイトに進化する伝奇ホラー-『たたらの辻に…』

『たたらの辻に…』 ささやななえこ/2001年/372ページ 「たたらの辻にまいつきそうろう―。」“たたらの辻”には何かが集う…。 急死した祖母の家で、二人暮しを始めた義理の姉弟の道子と清美。かつて"たたら場"だった祖母の家で、道子の身を次々と怪異が襲うー…

ホームレスの遺体をゴミ処理場に遺棄する連続事件。犯人の“真の意図”を見抜くカギとは…?-『DOUBT 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』

『DOUBT 東京駅おもてうら交番・堀北恵平』 内藤了/2021年/304ページ 新人女性警察官・恵平は、最後の研修のため警察学校へ。このまま卒業して一人前にやっていけるのか、焦る恵平。一方、青年刑事の平野は、清掃工場のゴミ集積プールで複数の遺体を発見す…

音楽という魔法に魅入られた少年少女の、時空を越えた愛の奇跡。良作だがホラーじゃなさ過ぎる…!-『ピアノ・レッスン』

『ピアノ・レッスン』 林巧/2007年/362ページ あの人は美しかった。この世のものとは、思えぬほどに――。憂いにみちた目をした、たおやかな少女と出会った一人の少年。彼もまた、心に孤独と哀しみを湛えていた。その日から、引き裂かれた恋人達の時間が、少…

偏奇なる異形小説家が腕を振るう、圧倒的ボリュームの短編&ショートショート30編!-『恐怖館主人』

『恐怖館主人 怪奇幻想短篇集異形博覧会Ⅱ』 井上雅彦/1996年/500ページ 蝋人形館の妖物。夜歩く木馬。ハイウェイを疾走する屍体。人狼の密かな欲望。不死者のパノラマ視……。ホラー・ムーヴィーや怪獣特撮映画の洗礼を受けた現代の異色作家によるビザールで…

殺された妻と娘の仇を討つため、平凡な男が復讐を誓う。どこまでも遣る瀬無く不毛な異色サスペンス-『復讐執行人』

『復讐執行人』 大石圭/2005年/320ページ 香月健太は33歳。3つ下の妻と5歳と6歳の娘たちと4人で横浜市郊外の住宅街に暮らし、大手家電メーカーの横浜営業所にサービスエンジニアとして勤務している。平凡でありきたりの毎日だったが、香月健太は心の底から…

新開発の人工血液に隠された陰謀に、下町育ちの熱血救命士が立ち向かう。人情溢れる医療ミステリ-『ゴールデン・ブラッド』

『ゴールデン・ブラッド』 内藤了/2024年/336ページ 東京五輪プレマラソンで大規模な爆破テロが発生。救急救命士の向井圭吾は地獄絵図と化した現場で救助活動にあたる。新開発の万能血液により多くの命が救われるが、その矢先、開発に関わった病院で圭吾の…

屍に群がる忌まわしき蝶。旧家で起きる怪死事件…。因習村×館モノミステリのハイブリッド!-『死か翅の貪る家』

『死か翅の貪る家』 織部泰助/2026年/320ページ 羽搏きが、死を連れて来る。因習渦巻く村で若手探偵作家が遭遇した恐怖。 若手作家の出雲秋泰は、福岡県某市翅賀村の奇妙な噂を聞く。その村の“死か翅蝶”は己の鱗粉がついた者を呪い殺すというのだ……。好奇…

次々と発見される異常死体の謎に法医学者が挑む。境界性人格障害はあまり関係ナシ-『境界性人格犯罪』

『境界性人格犯罪』 和田はつ子/2001年/282ページ 新宿御苑の桜の下から発見された白骨死体。検死をした田代ゆり子は、その死体から赤い色素が浮き出ていることに気づいた。数日後、ゆり子は、顔面だけが白骨化した女性の死体を、偶然見つける。相次いで発…

グロっと爽やか、作者の持ち味が存分に発揮された奇譚集-『百舌鳥魔先生のアトリエ』

『百舌鳥魔(もずま)先生のアトリエ』 小林泰三/2014年/352ページ 「あなた、百舌鳥魔先生は本当に凄いのよ!」妻が始めた習い事は、前例のない芸術らしい。言葉では説明できないので、とにかく見てほしいという。翌日、家に帰ると、妻がペットの熱帯魚を刺…

『弟切草』は実話だった!? 作者をも巻き込む殺人海外ツアー&黒社会の陰謀!-『寄生木』

『寄生木』 長坂秀佳/2000年/483ページ 新作ホラー小説の構想に悩む作家の元に、ある電話がかかってくる。小説「弟切草」の登場人物『松平直樹』と名乗るその男は、作家に「その小説を書くのは止めてください。ストーリー通りに人が殺される!〈ヒトラーの…

脳手術で人類を次のステージへ! マッドドクター(母親)に手術された姉妹が世界の真実を見る…!-『恐怖』

『恐怖』 北野勇作/2010年/219ページ 戦前の16ミリ・フィルムの中に出現した白い光を目撃した姉妹・みゆきとかおり。17年後、死への誘惑に取り憑かれてしまった姉・みゆきは失踪する。姉の行方を追うかおりは、禁断の脳実験を繰り返す母親・悦子と再会。美…

寒村の因習が、人の業が兇鬼を生む。岩井志麻子が書くもうひとつの「津山三十人殺し」-『夜啼きの森』

『夜啼きの森』 岩井志麻子/2004年/306ページ 暗黒の森の中で銃声とともにこだまするうめき声。「来た。鬼が来たんじゃ」。昭和十三年、岡山県北部で起こった伝説の「三十三人殺傷事件」。おとなしく、「利発でええ子」だったはずの辰男は、なぜ前代未聞の…

禁忌のレシピから不老長寿の“魔女のスープ”を再現!? シリーズの世界観を広げる短編集-『バチカン奇跡調査官 独房の探偵』

『バチカン奇跡調査官 独房の探偵』 藤木稟/2015年/336ページ 悪魔のごとき頭脳を危険視され、わずか13歳にして特殊房に収監されている少年、ローレン・ディルーカ。ある日、彼のもとを国家治安警察の人間が訪れる。血も流れず、凶器もない密室殺人事件…

昏くも鮮烈な犯人像が強烈な表題作、奇人探偵・河津三郎「幽鬼の塔」、乱歩らしからぬ佳品「木馬は廻る」等収録-『暗黒星』

『暗黒星』 江戸川乱歩/1994年/448ページ 奇人資産家・伊志田鉄造の一家を血の惨劇が襲う。化物屋敷のような洋館で、一人また一人と犠牲者は増え、遂には犯人を追う明智小五郎も凶弾に倒れてしまう。事件の裏に秘められた一家の真実とは?怪奇ロマンあふれ…

ケータイ生中継殺人発生! 犯人はケータイそのもの…なのか!?-『ケータイ』

『ケータイ』 吉村達也/1999年/287ページ 「いたいっ!いたいよー!やだ、死にたくなーい!」16歳の高校生・関口葉月のケータイに真夜中かかってきた電話は、ナイフで刺し殺される同級生の大絶叫!女子中高生に標的を絞り、断末魔の叫び声を携帯電話越し…

明智小五郎も精神的敗北しかけた、前代未聞の異常犯人出現!-『化人幻戯』

『化人幻戯』 江戸川乱歩/1994年/387ページ 美貌の元候爵夫人に想いを寄せる二人の青年。その一人がある日、断崖から墜落死した。自殺か、他殺か? 混迷する捜査の中、残る一人も密室で死体となって発見された――。殺人犯罪の奥に潜む人間の狂気を浮き彫り…

霊能チャンネルが訪れた廃墟に壮絶な悪意が潜む。最高傑作巻を更新し続ける好シリーズ-『ホーンテッド・キャンパス 夜を視る、星を撒く』

『ホーンテッド・キャンパス 夜を視る、星を撒く』 櫛木理宇/2019年/320ページ オカ研に芸能人がやってきた!アイドル系美少年の彼は、テレビ番組でも活躍する大人気霊能者。しかし力が落ち、引退を決意しているという。最後と決めた心霊番組の収録を手伝…

屋根裏に潜む殺人者志願、獣性を宿す人間豹――。明智小五郎が人の心の闇に挑む!-『屋根裏の散歩者』

『屋根裏の散歩者』 江戸川乱歩/1994年/405ページ 世の中の全てに興味を失ってしまった男が見つけた、最後の楽しみ。それは屋根裏を歩きまわり、人間が決して他人に見せることのない醜態をのぞき見ることだった。このみだらな快楽の虜となった男は遂に、完…

豪華メンバーが集うアンソロジー。恐怖度薄めだが作家性は満喫できるハズ-『ゆがんだ闇』

『ゆがんだ闇』 小池真理子、鈴木光司、篠田節子、坂東眞砂子、小林泰三、瀬名秀明/1998年/349ページ 脳細胞までも凍らす、恐怖の連続…… ホラー・シーンに新たな局面を拓いた作家6人が、それぞれの“怖さ”を突きつめ、書きこんだホラー小説の競作。あなたは…

不思議な道具を巡る6つの物語が、滅びと再生の壮大なファンタジー世界でひとつになる…!-『箱庭の巡礼者たち』

『箱庭の巡礼者たち』 恒川光太郎/2026年/416ページ これぞ恒川ワールドの神髄!六つの世界の物語が一つに繋がる一大幻想奇譚。 ある夜、少年は優しい吸血鬼を連れ、竜が棲む王国を出た。祖母の遺志を継ぎ、この世界と繋がる無数の別世界を冒険するために。…

無数のゼロが浮かぶ樹海の悪夢。実はあの珍作の続編だがテイストは異なる-『樹海』

『樹海』 吉村達也/2003年/374ページ 高校二年生の村木ルイは、暗い森をさまよう夢に繰り返し悩まされていた。その悪夢には結末がない。記憶を失うほどの凄まじい恐怖体験が原因のため、ルイの深層心理が最後を見ることを拒んでいるのだ。唯一の手がかりは…

精神潜入捜査で猟奇殺人犯を追え! 実写系アドベンチャーゲームのノベライズ-『es エス』

『es エス』 高島健一(原作)、鈴木俊介(著)/2001年/286ページ それは、20年前に起きた大量虐殺事件のリバイバルなのか?進行中の連続猟奇殺人事件を調査する刑事・日下部清竹は、犯人と目される人物に襲われ、意識不明の状態に陥る。人の意識にアクセス…

死んだ息子が隠し通していた秘密とは? オカルトとミステリを見事に融合させたモダンホラー-『ポゼッション』

『ポゼッション』 ピーター・ジェイムズ/1993年/490ページ アレックスは、著作権代理店を営むキャリアウーマン。息子が死んだ。旅行先での突然の事故だった。その日以来、彼女の周囲では不気味な心霊現象が続発する。死んだ息子が彼女に何かを訴えようとし…

乱歩、鏡花、荷風、芥川…。文豪たちが誘なう幻想の魔都!-『東京怪奇地図』

『東京怪奇地図』 森真沙子/2001年/230ページ そっちに行ってはいけない。燃え上がる磔の女、水底に引きずりこまれる男、神隠しの無闇坂。鮮烈なヴィジョンが宵闇の中に浮かび上がる。乱歩、鏡花、荷風、龍之介…が、幻視した物語が時間を逆流し今ここに甦…

隠れキリシタンの地にキリスト降臨の奇跡。神父コンビがついに日本へ!-『バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達』

『バチカン奇跡調査官 原罪無き使徒達』 藤木稟/2015年/400ページ 熊本・天草において、真夏日に大雪が観測され、天空に忽然と巨大な十字架が浮かび上がった。時期を同じくして近隣の海で遭難した海洋冒険家は、こう語ったというー「美しい黒髪の天使に救…

さよなら粘膜ワールド。戦争の狂熱は去り、バトンは次代へと託される-『粘膜大戦』

『粘膜大戦』 飴村行/2026年/317ページ 大戦下、各地の戦況が膠着し、苦境を強いられる帝国陸軍。起死回生を図るべく軍部が画策したのは、占領下にある東南アジアの小国ナムールの王族アロ族のマテル姫に一斉蜂起の号令をかけさせることだった。だがそれに…

謎が解けるたび事態が悪化。戦地よりもグロテスクな、どろどろの欲望渦巻く怪事件!-『粘膜探偵』

『粘膜探偵』 飴村行/2018年/320ページ 戦時下の帝都。14歳の鉄児は憧れの特別少年警邏隊に入隊した直後、先輩のとばっちりを受け謹慎処分となってしまう。汚名返上に燃える彼は、巷で噂の保険金殺人事件を解決するため独自調査に乗り出すが…。軍部の思惑…

癖強キャラたちの真実も明らかに。笑いと残酷の粘膜ワールドを深掘りする短篇集-『粘膜戦士』

『粘膜戦士』 飴村行/2012年/304ページ 占領下の東南アジアの小国ナムールで、大佐から究極の命令を下された軍曹。抗日ゲリラ、ルミン・シルタと交戦中、重傷を負い人体改造された帰還兵。複雑な家庭事情を抱え想像を絶する悲劇に見舞われる爬虫人好きの無…

戦争が固く結んだ馬鹿兄弟の絆を、現世のしがらみが捻じり引き裂いた…!-『粘膜兄弟』

『粘膜兄弟』 飴村行/2010年/480ページ ある地方の町外れに住む双子の兄弟、須川磨太吉と矢太吉。戦時下の不穏な空気が漂う中、二人は自力で生計を立てていた。二人には同じ好きな女がいた。駅前のカフェーで働くゆず子である。美人で愛嬌があり、言い寄る…