『夜見師2』
中村ふみ/2017年/288ページ
夜見師・多々良によって自身の呪いが解けた輝。屋敷に祀られている祟り神が封じられた箱の片付けを手伝っていたが、ある日、新しい箱が持ち込まれる。多々良の過去も垣間見える、感動の第2弾!
(「BOOK」データベースより)
呪いが解けてからも、夜見師・多々良克比古の助手として仕事を手伝うことになった五明輝。しかし霊に感情移入し過ぎてしまう性質は直らず、結果として多々良の身体に負担をかけることが増えてくる。自分は助手失格なのか…。輝が思い悩んでいるうち、輝を多々良に紹介した佐伯雪乃教授の甥・京也が多々良家に入り浸るようになる。妙になれなれしく、“箱の処分”にも興味を持っているらしい京也に輝は苛立ちを覚えてしまう。
そんな折、輝は箱の悪霊に身体を乗っ取られかけるという失態を犯してしまった。何度危険な目に遭っても非情になり切れない輝に対し、多々良はついに解雇を言い渡す。それを知った京也は、自分が輝の代わりに多々良の助手を務めると申し出るのだが…。
多々良と輝と京也の三角関係、屋敷に住む子供の幽霊・ホノとカゲルにまつわる箱の怨霊、夜見師の先代の使用人・野際老人、輝の妹と結婚したチャラ男、ガサツながらもいざというときには頼れる佐伯教授、多々良に大きな影響を与えたと思しき叔父・光比古など、多数の登場人物によるエピソードが含まれた第2巻。1冊できれいに完結していた前巻と比べると、シリーズものならではの広がりが出てきた感じがする。エンジンがかかってきたという感じだが、今のところシリーズは本作が最終巻。前作ともども評判は悪くないと思われるのに、残念である。物語的に多々良と輝の別れは必然であるし、その場面を見届けたかった気もする。
★★★(3.0)

