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メインの謎解き2つ以外はグダグダ。デスゲームマスター失格だろ!-『山手線デス・サーキット』

『山手線デス・サーキット』

藤ダリオ/2011年/256ページ

修平がふと目を覚ますと、そこは山手線電車の中。左には見知らぬ女性。2人は手錠でつながれており、首にはタイマーつきの時限爆弾が仕掛けられていた。通報すれば人質の親友が殺される。ゲームメーカーのクイズに答えて指令をクリアし東京都内の駅を駆け抜けろ! 間違えれば死が待っている――! 白昼堂々繰り広げられる、先の読めないサスペンス・ホラー。今度のラストもかなりすごい。注目を集める鬼才の最高傑作!

(裏表紙解説文より)

 

 テレビ番組「高校生クイズキング」の優勝者・朝倉修平が目を覚ますと、そこは山手線の電車の中。しかも左手側には、自分と手錠でつながれた巨乳のお姉さんが。彼女は修平の親友・内川光太郎の姉、千尋だった。さらに2人の首には、タイマー付きの爆弾が…! スマホには「ゲームマスター」を名乗る人物からメッセージが届き、ゲームのルールが告げられる。これからクイズに答えてもらうこと。間違えると人質が死ぬこと。指示があれば電車を乗り換えること。他の参加チームと連絡を取ってはいけないこと…。周囲を見渡せば、高校生クイズキングに出場していたライバルたちの姿も。彼らは皆、大がかりなデスゲームに巻き込まれたのだ。果たしてゲームマスターの目的は? 自分が巻き込まれた状況を整理しようとする修平だが、隣にいる千尋のオッパイが大きすぎて集中できない…! 千尋は大人のキスで修平を落ち着かせようとするが、ますます興奮させてしまう。電車が東京駅に到着すると、ゲームの舞台は山手線から中央線へと移行した。しかしその頃、修平には千尋がエッチなメイドに見えてきているのであった。いったいどうなってしまうのか!

 

 主人公は「クイズは得意だが性格が悪くてモテないスケベ高校生」と、「クイズでも謎解きでも特に役に立たないお姉さん」コンビという、死のうが生きようがどうでもいいキャラの組み合わせ。ある意味挑戦的な人選だ。この手のデスゲームものだと「ゲームマスターの正体」が大きな謎になったりするものだが、本作では中盤で堂々と登場してくれる。それも「すごい金持ちの天才」という典型的なキャラである。
 クイズの問題は「あだち充の代表作はどっち? ①タッチ ②キン肉マン」「孔雀で大きな飾り羽根を持っているのはどっち? ①雄 ②雌」といった、拍子抜けするほど簡単なものばかり。このクイズには、いったいどんな意味があるのか。そしてなぜゲームマスターは、わざわざ山手線を舞台にしたのか…? 作中ではこの2つが大きなメインの謎となる。仕掛け自体はユニークで、ちゃんとヒントも提示されておりなかなか面白い。
 ただ評価できるのはそこだけで、リアリティ皆無のキャラ造型や会話は読んでいてしんどいものがある。早い段階で「この運営、真剣にデスゲームやる気があるのか?」という疑問が湧いてくるため、人質が死んだとか言われても緊迫感はゼロ。ゲームマスターが修平に執着し過ぎて、他のメンバーがおざなりになっているのもバレバレだ。ラスト、修平がゲームマスターの真の正体を暴く過程もかなり強引である。なんだかなあ。

★☆(1.5)

 

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