角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

ミッドサマーに起きた猟奇殺人事件と、女子高に潜むカルトの恐るべき真相-『聖女の肉』

『聖女の肉』

和田はつ子/2007年/215ページ

ミドサマー・イヴに起きた第一の殺人。首を切断され、逆さに吊された少女の胃の中から中世ヨーロッパの祭典でよく飲まれた祝杯ラムズ・ウールの原料が発見された。第二の殺人では、死体の前に聖スウィズンを奉るアップル・ボビングが置かれていた。中世ヨーロッパの儀式になぞらえた連続殺人事件に文化人類学者・日下部遼が挑む!戦慄のホラー・ミステリ。

(「BOOK」データベースより)

 

 食肉のように首を切断され、逆さに吊るされた少女の死体が発見された。水野刑事はいつもの如く日下部に協力を仰ぐが、水野刑事の元恋人・柏木、日下部の親友・小倉も死体となって発見される。犠牲者の周囲では「ラムズ・ウール」や「アップル・ボビング」など、中世ヨーロッパの祭典にまつわる痕跡が見つかっていた。最初に発見された少女が死亡したのも「ミッドサマー・イヴ」が行われる夏至の日だった…。

 不審な共通点はあれど、事件の調査自体は行き詰ってしまった。そんな折、日下部の大学時代の同級生・小柳幸樹から「自分が経営している聖カテリーナ女子高校の臨時講師として来てくれないか」という連絡が入る。共通の友人だった小倉の死を知り、自分の身にも危険が及ぶのではないかと危惧しているらしい。小柳には何か心当たりがあるのだろうか。日下部は聖カテリーナ女子高校へと向かうが、そこは恐るべき信仰に支配された地であった。

 

 アリ・アスター監督の映画で一気に知名度が上がった「ミッドサマー」の祭典がキーワードである。『聖女の肉』という不穏なタイトルも併せて期待値は上がるが、序盤の「謎解きのためのお膳立て」感がバリバリの不自然な展開には鼻白む。関係者の多数が主人公らの知人というのもよくある話ではあるが、少なくとも犠牲者の1人が水野刑事の元恋人である必然性は無かったのではないか。舞台が聖カテリーナ女子高校に移ってからはなかなか面白く、校長・小柳美姫子のあまりにもヤバ過ぎる授業風景や町全体を巻き込む儀式の数々など、期待していたモノがようやく出てきて盛り上がる。グロテスク描写はいつもより控えめだが。

 ラストのどんでん返しについては、あまりのスピード感に「???」となってしまった。映画『ミッドサマー』が脳に刷り込まれていたせいもあるが、カルトネタ一本で勝負してほしかった気もする。

★★☆(2.5)

 

◆Amazonで『聖女の肉』を見る(リンク)◆

www.amazon.co.jp