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読むと呪われる角川ホラー文庫『ゆうずど』が、読者に最悪の結末をもたらす!-『ゆうずどの結末』

『ゆうずどの結末』

滝川さり/2024年/304ページ

「こんな結末は耐えられない」絶対に読んではいけない、禁忌の本が誕生。

こんな結末は耐えられない――。
大学に入学して3か月、菊池斗真はサークルの同級生・宮原の投身自殺を目撃してしまう。死因に不審な点もなく遺書もあったことから、彼女の死は自殺と断定された。
宮原の死から数日後、菊池は同じサークルに所属する先輩の日下部から、表紙にいくつかの赤黒い染みがある本を手渡される。それは、宮原が死の瞬間に持っていた小説らしい。
「ゆうずど」というタイトルの小説は角川ホラー文庫から刊行されている普通のホラー小説で、特に宮原の死と結びつけるような内容は描かれていなかった。
しかし、本を読んだ日下部はその翌週に自殺をしてしまう。
そして日下部の死後、なぜか菊池の手元には「ゆうずど」の本が現れていた。
何度捨てても戻ってくる本。そして勝手に進んでいく本に挟まれた黒い栞。自分にしか見えない紙の化け物。
菊池は何とか自らに迫る死の呪いを回避するために、ある手段を講じるが――。

その■■を、絶対に読んではいけない。
あなたの身に恐怖が迫る、新感覚ホラー誕生!

(Amazon解説文より)

 

 読んだものは“紙の化け物”に呪われて死ぬ…と噂される小説、『ゆうずど』(著:鬼多河りさ)。1999年に角川ホラー文庫から刊行された『ゆうずど』を読むと、勝手に“黒い栞”が結末にむけて移動したり、全身に白い紙を貼りつけた女の幻覚を見たりといった怪奇現象に襲われるのだという。最終章は読む人間によって変わり、その人間は結末に書かれた通りの死に方をする…。『ゆうずと』は何度捨てても呪われた人間のもとへ戻ってくるが、中には読んでもまったく呪われない人間もいるらしい。この本に込められた呪いの実態は何なのか。ごく普通の会社員。文芸サークルの大学生。引きこもりのオカルトマニア。いじめっ子に復讐したい小学生。除霊師と共に‟ゆうずど”と対決する男。角川ホラー文庫好きのブロガー(まるで私のようである)。『ゆうずど』を読んだものは皆、最悪の結末を変えるべく抗うのだが…。

 

 読むと呪われる本、というオーソドックスな題材をパーフェクトに調理した快作。作品全体に散りばめられた仕掛けも楽しいが、各章の主人公が迎える‟結末”がどれもこれもイヤな展開で素晴らしい。最悪も最悪、最悪の見本市であり、グロテスク描写一切無しにここまで気分を悪くさせてくれる著者の筆力には恐れ入る。本書は決してギミック頼りの本ではなく、個々のエピソードの高い完成度がよりギミックが引き立たせているのだ。しかも、読者をも巻き込むメタな雰囲気も漂っており…。

 だが安心して頂きたい、呪われた本はあくまで鬼多河りさの『ゆうずど』であり、滝川さりの『ゆうずどの結末』ではないのだから。ましてや、角川ホラー文庫の新刊が出るたびに本屋に駆けつけるような貴方なら呪われる心配はないはずである。また、本書に限っては電子書籍よりも物理本を手に取ってほしい。なぜなら、

 

 

 

 

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