『タスケテ…』
島村洋子/2002年/189ページ
人気アイドル、橘リリカのスタンドイン(替え玉)として暮らす藤村しのぶ。彼女もまた、芸能界の頂点に立つことを夢見た少女だった。そんなしのぶの過去を知らないリリカは、無邪気に彼女の心を逆撫でしていく…。嫉妬、憎悪、怨念…女性の本質的な狂気を現実と虚構の狭間から描いた戦慄のサイコ・ホラー。
(「BOOK」データベースより)
アイドルになるため熊本から上京してきた藤村しのぶ。努力はしていたもののなかなか芽が出ず、カリスマアイドル・橘リリカのスタンドインとして日々を送っていたが、恋人に振られたリリカが自殺。事務所は死んだのはしのぶということにして、しのぶをリリカ本人として活躍させることにしたが、リリカ=しのぶの周囲では怪奇現象が続発。「タスケテ…」という声が聞こえたり、死んだリリカ本人の顔が二重になって画面に映ったり…。これはリリカからのメッセージなのだろうか?
上の解説にはサイコ・ホラーとあるが、わりとストレートな心霊モノ。自殺したと思われていたリリカだが、実はしのぶが…という意外性の無い展開である。終盤、「しのぶはまだ死んでいない」と信じる母親が橘リリカのマンションまで会いに行くのだが、なぜか神がどうこうという話になり、マンションの管理人とリリカのマネージャーの首が引きちぎれて飛んだのち、神の裁きがリリカの悪霊としのぶ本人を打ち倒し、最終的には「母の愛とわけのわからない光」(原文ママ)のおかげで助かってよかったねという結末。何がどうしてこうなったのかよくわからない。いったい何を読まされていたのだろうか。タスケテ…。
★★(2.0)