『新耳袋殴り込み 最恐伝説』
ギンティ小林/2015年/208ページ
心霊スポット取材チーム・殴り込みGメンが帰って来た! 大阪・通天閣のほど近くにある「首吊り廃墟」にギンティ小林と殴り込みGメンが、全3回の突撃取材を敢行する! 取材の度に起きる怪奇現象、そして明らかになる新事実の数々……。魂の凍える戦いの果てに辿り着いた、衝撃の真実とは!? 文庫化にあたって新規取材も敢行した、シリーズ最恐の心霊スポット「首吊り廃墟」完全攻略編!
(「BOOK」データベースより)
前作までのシリーズとはやや異なり、全五十話のコンパクトな構成。映画『怪談新耳袋 殴り込み! 西日本編』で登場した大阪・新世界の“首吊り廃墟”、“Tダムの第三トンネル”、“ブリーフの少年”の取材ルポとなる。さらに、首吊り廃墟に関しては本書にて追加取材を敢行。ついでに言うと電子書籍版には特典写真が収録されている。
【映画リンク↓】
映画「怪談新耳袋 殴り込み! 西日本編」【TBSオンデマンド】
首吊り廃墟とは、通天閣の周辺である新世界の飲み屋街の一角にあるという崩れかけた三階建てのビルのこと。ギンティ小林の友人、カメラマン兼デザイナーのボギー君はこの廃墟を撮影中、天井から大きな人形がぶら下がっているのに気づく。奇妙なことに、その周囲には六足の靴がぶら下げられていたという。人形の周りに靴がブラリと吊られているシュールな光景を恐れたボギーと同行者は早々に退散するが、後日その人形は本物の死体であることが発覚したという…。
この曰くある廃墟を調査するのが我らが殴り込みGメン。ボギーの同行者だったバンド“赤犬”のボーカル・ロビンの案内で首つり廃墟に突入するも、そこにはいまだ無数の靴がぶら下がっていた…。実際に靴が吊られた現場の写真も掲載されているが、これがまた物凄いインパクト。さらには空中を浮遊する怪物体も撮れ、取れ高に喜ぶ殴り込みGメンだったが、なんと映像を収めたビデオテープが消失してしまう。これも霊の仕業なのか!?(単に紛失しただけの可能性もある) 仕方なしに再度西日本に到着した彼らは、幽霊が出るという噂のあるTダムの第三トンネル、怪異“ブリーフ少年”が出るという街角、そして首吊り廃墟へのリベンジ取材へ向かうのだった。
この首吊り廃墟、これまでのシリーズで扱ってきた心霊系のスポットと比べるとやや異質で、「山の牧場」のような理不尽感が強い。首吊り死体が次々発見されるという凄惨さ、そして靴を並べて天井から吊るすという儀式めいた何者かの行為、世の中のルールから外れた異質な存在が新世界のド真ん中にあるという不気味さは確かに過去最恐レベルかもしれない。そして5年後、本書のために行われた追加取材では、新世界という街自体のディープさが新生殴り込みGメンに襲い掛かる…!
★★★(3.0)