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ホラー要素皆無、既視感だらけの地味超能力ウォーズ-『流星事件』

『流星事件』

面出明美/2013年/280ページ

某年3月末日。突如、日本列島上空に巨大流星群が飛来した。直後、日本全土に正体不明の衝撃波を与え、流星はすべて消滅。混乱の中、人々は自らの身に特殊能力が宿ったことを知る―。そして「流星事件」と呼ばれる異常現象から16年後。出生前であったために流星の影響を受けない「無能力者」の第1期とされる高校入学生の中に、織部流斗はいた。しかし彼には、誰にも話すことができない忌まわしい過去と、ある秘密が…。

(「BOOK」データベースより)

 

 巨大流星群を見た日本人の70%が特殊能力を発現。「一億総超能力者時代」という帯の文句はいかにも面白そうだが、本作に出てくる超能力は念動力、透視能力、発火能力などあまりにもベーシックなものばかりで、「念動力でも水や空気のようなものは動かせない」「瞬間移動のような高度な超能力は存在しない」という縛りがあり、どうにも地味である。『僕のヒーローアカデミア』のようなカオスな社会を想像していると肩透かしを食らう。

 物語は主人公の美少年がかっこいいお兄さんたちのご飯を作ったり、髪の毛をワシャワシャされたり、デコピンされたりしながら展開する。それはまあいいのだが、どこかで見たようなキャラとシチュエーションばかりなので正直退屈である。超能力を持たない世代のはずの主人公には隠された秘密が…!! って言われても「実は超能力持っているんやろなあ」としか思えないし、追い詰められた主人公が暴走して強大な超能力を発揮するのもお約束過ぎるし、「形見のクマのぬいぐるみの中に、博士が残した重要書類が隠されていた」というのも昭和の仮面ライダーかとツッコミたくなるベタさである。ホラー要素がまったく無いのも厳しく、スレた大人が読むようなシリーズでは無いという感想。

★★(2.0)

 

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