『予言 J-HORROR THEATER』
林巧(原作:つのだじろう『恐怖新聞』)/2004年/234ページ
J HORROR は、ついにここまで到達した!
娘の死を予言する新聞を目にした男。それが現実になった日から想像を超えた悪夢がはじまる。念写を行う霊能力者や特殊能力をもつ少年。未来は変えられるのか? 調査を続ける男が出会う恐怖を描く映画ノベライズ。
(Amazon解説文より)
『感染』とともに、「Jホラーシアター」と銘打たれて公開されたホラー映画のノベライズ。ちなみにJホラーシアターシリーズは『感染』『予言』のほか『輪廻』『叫』『怪談』『恐怖』があり、すべて角川ホラー文庫でノベライズ化されているが、ぶっちゃけ「日本のホラー」以外に共通点は無い。
妻の綾香、5歳になった娘の奈々を連れて母方の実家に帰省中だった里見英樹は、東京へ帰る途中、立ち寄った電話ボックス内で奇妙な新聞を見る。‟19日の午後6時ごろ、帰省帰りの自家用車に大型車が突っ込む”。今日は19日、時刻は午後5時57分。記事の続きにはこう書かれていた。”女児犠牲に”、‟亡くなった里見奈々ちゃん(5)”。これは何だ? 悪い冗談か? 訝しむ英樹だったが、猛スピードの大型ダンプが停まっていた車に向かっていき…。
娘を失った英樹と綾香は離婚し、英樹は非常勤の国語教師として、綾香は心理学研究室でそれぞれの毎日を送っていた。だが英樹の前に、再びあの「新聞」が姿を現す。未来の悲惨な事故や事件を予言する不吉な新聞が。英樹と綾香は、この現象を「恐怖新聞」と名付けた研究者・鬼形礼の行方を追う。そして英樹はついに、列車事故の犠牲者として綾香の名前が載っている恐怖新聞を読んでしまう…。
読むと100日寿命が縮まるという、恐怖新聞に憑かれた人々の悲惨な末路を描くなんとも後味の悪い作品。寿命が縮む理由については、本作では「新聞に書かれた予言をついつい書き写して疲労困憊してしまうため」と描写されている。
終盤はタイムリープものとなるが、ここは理屈もへったくれもない、説明を放棄したような展開である。というか「そもそもなんで恐怖新聞が届いたの?」とか「鬼形と英樹でペナルティが全然違うのはなんで?」とか、映画の時点でかなり脚本にムリがあるというか適当なのでもうしょうがない。ただ、この無情なラストはノベライズの「ある意味しつこい描写」でなければ成し得なかっただろうと思う。本当に救いがない。原作の『恐怖新聞』からしてけっこう容赦のない話ではあるが。
★★★(3.0)