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肉体ではなく意識に感染するウイルスの恐怖。よくあるバイオハザードものに一捻りのスパイス-『感染 J-HORROR THEATER』

『感染 J-HORROR THEATER』

塚橋一道/2004年/155ページ

その病院は建物の老朽化に加え、経営危機から薬や備品が圧倒的に不足している状況が続いており、多くの患者が、生死の境をさまようことが日常と化していた。医師や看護師たちの精神と肉体も限界に達しようとしていた頃、些細なことから医療ミスによる死亡事故が発生する。外科医の秋葉と内科医の魚住は保身から事故の隠蔽を決断するが、そんなとき内蔵が融け始めた奇怪な急患が担ぎこまれてくる…。

(「BOOK」データベースより)

 

 特に話題にならなかった企画、「Jホラーシアター」の第1弾上映作品をノベライズ。感染すると体がグズグズの緑色粘液になって溶けてしまうウィルスが病院内に蔓延してウギャー、という大変わかりやすい話。…かと思いきや、実はこのウィルスは飛沫や体液ではなく「意識」に感染するという設定が途中で明らかになる。よくあるバイオハザードものに一捻り加えた展開には素直に感心してしまった。なるほど、確かにJホラーである。

 どちらかというと、序盤で描かれる逼迫した病院の状況がウィルスよりも恐ろしいかもしれない。慢性的資金不足からくる絶望的な人手不足、ブラック労働から来るギスギスした人間関係、パワハラ、医療ミスの隠蔽…どこまでも救いが無くて最高。

★★★(3.0)

 

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