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超能力者養成機関で起きる呪殺事件。オカルト対決を制するのは意外過ぎる人物!-『九孔の罠 死相学探偵7』

『九孔の罠 死相学探偵7』

三津田信三/2019年/288ページ

黒術師の右腕とついに直接対決!シリーズはいよいよ佳境へ!

超能力者を極秘で養成するダークマター研究所。そこでは、経費削減のため、成長が見込めない「年長組」の一部リストラが囁かれていた。そんな中、「年長組」の1人・沙紅螺が帰宅中、背後に現れた不気味な黒い影に追われる事件が発生。依頼を受けた俊一郎は、黒術師に唆された研究所関係者の仕業と考え、黒捜課の曲矢刑事らと警戒態勢を敷く。だが、なぜか新恒警部の姿が見えず、俊一郎は不安になる。待望のシリーズ第7弾!

(Amazon解説文より)

 

 超能力を持つ子供たちを育成する機関「ダークマター研究所」では、経費削減のため成長が見込めない年長組の一部をリストラするという噂が囁かれていた。年長組の沙紅螺(さくら)は「赤目を持つ恐ろしい影」に襲われたことをきっかけに、死相学探偵・弦矢俊一郎に調査を依頼する。

 研究所の年長組、そして職員を死視した結果、死相が見えたのは以下のメンバーだった。研究所所長の海松谷(みるや)、主任の海浮、予知能力を持つ沙紅螺、透視能力を持つ紗椰、テレパスの火印と阿部留の兄弟、人に幻を見せる看優、読心術を使う雛狐、サイコキネシスの使い手を自称しているが実はたいした能力ではなく男尊女卑思想で口も性格も悪いうえに親が金持ちで研究所に出資しているが最近はあまり羽振りがよくないという翔太郎、以上の9人である。真犯人は黒術師から「九孔の穴」という呪術を授かったらしく、恐怖を与えた相手を邪視することで呪殺することができるのだという。俊一郎と警視庁黒捜課が警備にあたるも、ひとり、またひとりと犠牲者が…。真犯人はいったい誰なのか? なぜ読心術や未来予知といった超能力者たちが犯人を見抜けないのか? というかこの中ではどう考えても翔太郎が怪しすぎないか? 黒捜課のトップ・新垣警部はどこへ姿を消したのか? さまざまな謎をはらみつつ、事件は前代未聞の急展開を見せる!

 

 死相を見る探偵と殺人呪術師の対決についに超能力者たちが参戦、オカルトミステリならではの展開である。とは言え「なんでもアリ」になったわけではなく、超能力も謎解きギミックの一環として適切に使われているので読んでいて作者への不信感は無い。やや短めの巻だが、いい感じの裏切りっぷりを見せてくれる真相はお見事。黒術師の側近「黒衣の女」の正体もついに明かされ、物語はいよいよクライマックスを迎える!

★★★★(4.0)

 

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