『あかずめの匣』
滝川さり/2025年/336ページ
この呪い、回避不可能。あなた自身が「条件」を解き明かす、新感覚ホラー!
その怪異は人を閉じ込めて殺す。すべての真実をあなたは解き明かせるか。
冠村には“窒息の家”と呼ばれる廃墟があり、「あかずめ」という怪異の言い伝えがあった。
離婚を機に地元の冠村に戻った介護と育児に追われる女性、後輩達と“窒息の家”に足を踏み入れた大学院生、
ある目的のために「あかずめ」の呪いを探る高校生、代々呪いを受け継いできた赤頭家の女。
「あかずめ」に関わった4人の物語から、呪いの条件を見破り、死を回避せよ――。『ゆうずどの結末』が話題を呼んだ滝川さりによる、新たな体験型ホラー誕生!
(Amazon解説文より)
人を閉じ込めて殺すという怪異、「あかずめ」。××県の冠村には「窒息の家」と呼ばれる廃墟があり、そこに足を踏み入れた者は息が詰まって死ぬのだという…。親友の修司から「あかずめ」の話を聞いた“僕”は、のちに帰省した修司が村で窒息死したことを知る。修司はなぜ、急に「あかずめ」の話をしたのだろうか。考えを巡らせていた僕はある日、角川ホラー文庫『あかずめ』(滝川さり・著)という本を発見する。修司の不可解な死のヒントを得るため、僕は小説を読み進めていく。
「第一章 窒息の家」-認知症が悪化した母親の介護のため、冠村に帰省した奈緒子。母の介護と娘の唯奈の育児に疲れ果てた奈緒子は、村のはずれにある「窒息の家」のことを知る…。
「第二章 呪いの死者」-大学院生の友貴は悪夢にうなされていた。12歳離れた彼女の沙織、沙織に気があるらしい同じ学部の生徒たちと共に冠村に旅行した際、肝試しで入った「窒息の家」で恐ろしい体験をしたのだ。さらには、肝試しに行った生徒たちが次々と窒息死するという奇怪な事件が発生。これはあかずめの呪いなのか。呪いから逃れる手段を探る友貴だが…。
「第三章 密室のあなたへ」-女子高生の彩夏は“あいつ”を殺そうとしていた。あいつがいる限り、自分たち家族が幸せになることはない。確実にあいつを殺すため、彩夏はある「呪いの怪談」を利用することにした…。
「第四章 赤頭家の人々」-冠村の名家、赤頭家の当主が死んだ。当主が遺した遺言状をきっかけに、欲深い親族の間で醜い争いが起きる。「お前ら2人のうち、どちらかが今、あかずめに呪われているんだ」…。非情な宣告を受けた赤頭朱寿、赤頭朱臣が取った行動とは…。
作中人物とともに、作中の角川ホラー文庫を読み進めていくという構造は前作『ゆうずどの結末』に似たものがある。読者の「先入観」を戒めるかのような各章の仕掛けも程よいスパイスになっており、エピローグでの答え合わせまで気が抜けない。エンターテイメント性に溢れていると同時に、怪異に引けを取らないほどに歪んだエゴイズムの醜さと怖さを描いており、実に厭な気分になれる。
昨今の流行りでもある、体験型ホラーとしては非常に優れた構成だと思う。すべてが腑に落ちる、モヤモヤの残らない“読後感”も含めて悪意たっぷりである。この呪いの真実、貴方は解き明かすことができるだろうか。あかずめは人を閉じ込めて殺すあかずめは人を閉じ込めて殺すあかずめは人を閉じ込めて殺すあかずめは人を閉じ込めて殺すあかずめは人を閉じ込めて殺す
★★★★☆(4.5)

