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超気まぐれヒロイン・黒井ミサの魅力。『エコエコアザラク』入門編+α-『魔女地獄』

『魔女地獄 ~古賀新一傑作集~』

古賀新一/1995年/407ページ

人間は所詮、運命には逆らえないもの…悪魔に魂を売った魔女黒井ミサのまわりで次々と起こる黒魔術の邪悪な事件。恐怖と不安に引きずり込むオカルト・ホラーコミックの傑作集。

(Amazon解説文より)

 

 黒井ミサが主人公の『エコエコアザラク』のほか、その他さまざまな雑誌に掲載された怪奇短編を13編収録。

 『エコエコアザラク』からは、遺産のために謀殺された少女が意外な手段で犯人を手に掛ける「復讐」、ホトトギスに取り憑かれた女教師の顔が醜く歪む「死霊の唄」、ミサの占いがきっかけで500万円を手にした男の転落劇「ツキを逃がした男」、死んだはずのミサの妹がガマガエルの呪いとともに甦る「たたり」、憎い姉の遺骨を鶏に食べさせた女の狂気と末路「鶏を飼う女」、他人に笑われているという被害妄想を持つ男が犯した凶行と報いを描く「笑う女」、墓から抜け出し人の目玉を食べるミイラが街をうろつく「さまようミイラ」の7編。それにしても黒井ミサというキャラクター、怪異に巻き込まれただけの無力な学生であったり、事件の元凶でありつつ平気で人を殺すことも厭わない魔性の女であったりと、話の内容によってこうも立場がポンポン変わる主人公というのも珍しいと思う。特に「ツキを逃した男」、中年男性と2人きりで温泉旅行に行ったあげくその男を崖から突き落とし、再会しても平然としていたりとミサのムチャクチャぶりが際立っていて面白い。本書に収録されているぶんだけでも、『エコエコアザラク』の作風の幅広さがわかるだろう。

 それ以外の短編は、幸運をもたらす人面石のおかげで大金持ちになった一家の顛末「石化粧」、久しぶりに帰郷した夫婦の前に現れる30年前の不気味な同級生の影「妖子」、ナマコを愛する男のナマコ繁殖の秘訣「養殖」、妻の暴力に耐えかねた男が一転、亭主関白と化す「変身妻」、平凡な団地で行われるサタニズム集会の恐怖「黒バラの会へようこそ」、継母に虐待された少年と犬が迎える壮絶な最期「餓鬼」の6編。そうはならんやろの極み「変身妻」、とにかくナマコの気持ち悪さを全面に押し出した「養殖」、凄惨な展開と静かなラストシーンが染み入る「餓鬼」辺りは印象的だった。

★★★(3.0)

 

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