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ナチスゾンビ満載のUボート浮上! カリブの楽園が地獄へと変わる-『ナイト・ボート』

『ナイト・ボート』

ロバート・R・マキャモン/1993年/397ページ

ブードゥーの祈りが聞こえるカリブ海。海の底の墓場から「夜の船」がよみがえる。それはかつて闘いに敗れたUボートだ。中からは無気味な物音がもれている。なにものかが潜んでいる。生物なのか亡霊なのか。楽園は無気味な気配につつまれはじめた…。いま、最も注目されるモダン・ホラーの先鋭が描く傑作長編。

(「BOOK」データベースより)

 

 カリブ海に浮かぶ楽園・コキーナ島。不発爆雷の爆発によって、深淵に沈んでいたUボートが40年ぶりに浮上する。牽引され港のドックに固定されたUボートだったが、その内部からは不気味な物音が漏れていた。まるで何かが外へ出たがっているかのような…。

 ブードゥーでお馴染みのカリブ、乗員がすべて死に絶えたはずのナチスのUボート…と来ればもう何が起きるかは明白ですね。ブードゥーの導師に呪われゾンビと化したナチスが現代に復活、怒りと恨みのままに住民たちを食い殺す。奴らの目的は再びUボートで出港し、40年前の目的を果たすこと。狂気の計画を阻止せんと奮闘するのが、ダイビング中うかつに爆雷を爆発させてUボート浮上のきっかけを作ってしまった主人公、島の警察署長、海洋考古学者のヒロイン、40年前に当のUボートと戦ったカリブ族の族長といった面々である。

 主人公と警察署長は、最初にUボート内を探索した時にゾンビを目撃しているにも関わらず「あれは幻覚だ!」とか言って酒を飲み、なんの対策もしない。ナチスゾンビを生み出した当人である導師も思わせぶりなことを言うだけで役に立たず、意味ありげに登場したUボートの元乗組員もたいした活躍は見せない。やらかした主人公がけじめを付けるというだけの話で、「カリブでナチスゾンビ大暴れ!」というあらすじから想像できる以上のことは一切起きないのだが、肉体損壊描写やゾンビ禍にさらされ地獄と化す村の情景などはなかなかドギツく、ツボは押さえている。B級の題材をB級に仕上げたという意味では予想通りの一作。

★★★(3.0)

 

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