『うしろ 死神と白の聖女。』
後藤リウ/2015年/257ページ
死神・宇城霊一郎との眷属契約を破って魂狩りの手伝いをやめてしまった七名子。もう死神には関わるまいと心に決めた矢先、同級生とともに奇妙な事件に遭遇してしまう…。七名子のまわりで次々とおこる不可思議な死。その原因を探るうちに、恐ろしき陰謀の渦に巻き込まれていく死神うしろと七名子が行きついた先とは!?新世代死神ストーリー、衝動高まる第3巻!!
(「BOOK」データベースより)
「迷惑な遺産」では前巻ラストで未登場だった四天王(っぽい人たち)の最後の1人、百武が登場。殺された父親から重要データを受け取った七名子のクラスメイト・潤を、広範囲の人間を30分間消し去る“メアリー・セレスト”のフォームで追い詰める。「明暗の淵」では、眠り蠅のフォームを操る刺客に電車内で襲われる七名子。相手の目的は潤の父親を殺害した時の写真を偶然撮影した少年を始末することだった。実はその少年の父は過去に七名子の命を救ったことがあり…。設定がポンポン消化される重要回。「黒いリスト」では、潤の父親が遺したリストに記載されている人物が次々と死亡していることが判明。実はハッカーだった八神、リストに名前が載っていたジャーナリストの内海の協力を得て、相手の正体がNPO法人「LAKE-M」であることが判明。七名子は宇城の代わりにミラベルとコンビを組むが、この金髪幼女死神が予想以上にポンコツであった。「白の聖女」ではLAKE-Mの本部に直接乗り込む一行。ほぼカルト教団と化していたLAKE-Mの真の目的は、信者を一斉に自殺させて魂を集め、魔界への扉を開くことだった。表紙を見る限り“白い聖女”って七名子のことかなと思っていたけど全然違ったぜ!
大きな事件は解決したものの、四天王の連中はことごとく逃げおおせているし、掘り下げが全然ないメルキオールなどまだまだ語られていない部分は多そう。「発売されていないゲームのノベライズ」という前代未聞の企画だが、なんか原作ゲームの雰囲気をしっかり味わえたような気になるから不思議なものだ。本作のコミック版はかなり半端なところで終わっているので、本書はある意味貴重な資料になるかもしれない。ちなみにゲーム版、コミック版の宇城はかなりブキミであり、文庫版イラストはずいぶん格好良く描かれている。
★★★(3.0)