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怒涛の新キャラと設定追加で飽きずに読めるが、これ次巻で完結するの!?-『うしろ 放課後の王国。』

『うしろ 放課後の王国。』

後藤リウ/2015年/248ページ

謎だらけの死神・宇城霊一郎の眷属になった高校生の七名子。死神の手伝いは不本意だが、隙をついて魂狩りを阻止しようと心に決め、うしろと行動を共にする日々だ。他の死神チームとも知り合い、うしろたちの仕事のしくみを知るうちに、七名子は自分の住む「まほろば市」に怪異事件が集中して起きていることに気づく。新世代死神ストーリー、風雲急を告げる第2巻!!

(「BOOK」データベースより)

 

 相変わらずスピーディな展開で読みやすい一方、展開の都合の良さに物足りなさも感じる。ジュニアノベルの読者層を想定しているのならこれくらいでよいのかもしれないが(それにしては人が死に過ぎな気もするが)。
 今回も全4話構成。魂の色を見ることで、他殺・または自殺を考えている人間を判別できるようになった主人公・七名子は、死神・宇城と共に魂集め(実質お悩み相談)に精を出す。「罪なき罰」ではパワハラ監督に悩まされるサッカー部キャプテンを、「願いのチカラ」では息子を轢き逃げで失った母親を、「権力の蜘蛛」では古株議員の策謀に陥った若き市長を、「放課後の王国」では意中の人にフられたクラスメイトの「魂と引き換えの願い」を叶えることになり、全部の事件にフォーム(魔物)が関わっているのでこれを退治するわけです。
 事件そのものにはあまり深みは無いのだが、毎話のようにゲスト以外の新キャラや新設定が追加されるため、飽きずにスイスイ読める。キャラはとにかく多く、前巻で顔見せしたミラベル・伊織の死神と眷属コンビ、暗躍するうろんな男・青天目に加え、今巻では無口な眼帯少女・四宮、イケメンだがクイズオタクでコミュ障の転校生・八神、宇城と反目しあう死神・メルキオールとその眷属であり戦闘狂の数馬、青天目や四宮と席を共にするガイコツのような男・三廻部と、思わせぶりなだけの人物も含めてドカドカ出てくる。この辺りは本当、未発売になったゲームのイベントをここぞとばかりに詰め込んでいるかのような充実ぶりだ。というか次の巻が最終巻らしいが、ホントに完結するのだろうか。

★★★(3.0)

 

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