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創られた“人魚”の遺体はマッドサイエンティストの仕業か? 謎の組織も登場し物語はスケールアップ-『MIX 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

『MIX 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

内藤了/2017年/320ページ

湖で発見された、上半身が少女、下半身が魚の謎の遺体。「死神女史」の検死で、身体変異に関する驚くべき事実が判明する。そして八王子西署には人事異動の波が訪れていた。新人とのやり取りに苦戦しつつ捜査を進める比奈子。「人魚」事件の背後には未解決の児童行方不明事件が関わっているようだ。さらに新たに子供の奇妙な部分遺体が発見される事件が起こる。保を狙う国際犯罪組織も暗躍し…。大人気警察小説シリーズ第8弾!

(「BOOK」データベースより)

 

 事件そのものというよりは、発見された「人魚の死体」を中心に物語が展開する巻。上半身は10歳前後の少女、下半身は魚、耳の下にはエラのようなものが作られている。皮膚には模様を彫ったかのような鱗があり、さらには全身が癌に侵されていたという。明らかに人の手が入った遺体だが、いかなる偏執狂的な人物がこれを創り上げたのか。手がかりの1つは、かつて「遺伝子異常で肉体をデザインする」という論文を記した“ドクターA”なる人物。ドクターAは果たして何者か。そして“人魚”を遺棄したその目的とは…。

 どうにも頼りない新人刑事・御子柴を加えた新生猟奇犯罪捜査班の活躍に加え、以前の事件で大掛かりなテロ行為を起こした秘密結社の正体、中島をはじめとする「センター」の面々の間で起きつつある不穏な“何か”といった伏線が明らかになってくるなど、見どころの多い巻。殺し屋を抱えた秘密結社の登場なんてちょっと話が大掛かり過ぎる気もするが、リアリティを損なわないギリギリのバランスは保たれている。

★★★☆(3.5)

 

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