角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

シリーズ

恐怖のバイオ昆虫と伝奇ミステリの食い合わせはイマイチな結果に…-『虫送り』

『虫送り』 和田はつ子/2000年/305ページ 北海道、井戸無村。そこでは生物農薬として使っていたてんとう虫が異常繁殖を始め、川魚を集団で襲うという怪現象が起きていた。そしてこの現象に疑問を持った人間が次々と怪死を遂げる。一方札幌では、虫の死骸と…

早すぎるマンネリ化、明らかなパワーダウンを感じる残念続編-『呪怨2』

『呪怨2』 大石圭/2003年/288ページ その家に関わった者は、行方不明になるか悲惨な死を遂げると言われる「呪われた家」。ホラークィーンの異名をとる女優の原瀬京子は、その家を取材するテレビの特番に出演した日の夜、交通事故に遭う。運転していた婚約…

Jホラー界で二番目くらいに有名なパワフル呪殺ヒロイン・伽椰子の誕生を描く秀逸ノベライズ-『呪怨』

『呪怨』 大石圭/2003年/314ページ 老人介護のボランティアをしている仁科理佳は、寝たきりの老婆・幸枝の様子を見てきて欲しいと頼まれる。郊外の住宅地にあるその家の中は、悪臭が漂い、ゴミが散乱していた。理佳が人の気配を感じて二階に上がるとガムテ…

作家と編集の絆が生死を超越した存在に打ち勝つ、闇のクリエイター賛歌!-『奇奇奇譚編集部 怪鳥の丘』

『奇奇奇譚編集部 怪鳥の丘』 木犀あこ/2018年/288ページ 霊が見えるホラー作家・熊野惣介は、担当編集者の善知鳥の異動話を耳にしてしまう。善知鳥本人からの説明がないまま、ふたりはいつもの心霊取材へ。廃墟の水族館に現れる巨大未確認生物や、温泉に…

その都市伝説の呪いは拡散する…! ホラー小説の金字塔に真正面から挑んだ傑作ミステリ-『ずうのめ人形』

『ずうのめ人形』 澤村伊智/2018年/464ページ 不審死を遂げたライターが遺した謎の原稿。オカルト雑誌で働く藤間は後輩の岩田からそれを託され、作中の都市伝説「ずうのめ人形」に心惹かれていく。そんな中「早く原稿を読み終えてくれ」と催促してきた岩田…

最凶怪談「八甲田山」にまつわるエピソードは興味深いが全体的にはややパンチ不足-『怪談狩り 葬儀猫』

『怪談狩り 葬儀猫』 中山市朗/2023年/256ページ 怪異蒐集家が厳選して語り継ぐ、本当に怖い怪談実話集。 コロナ禍の町で、異様な格好の男を目撃した主婦の体験が不思議な「面布」。引っ越したばかりの地で、近所で立て続けに起きた不幸と、その共通点に震…

常世をも凌駕するホラークリエイターの意地と矜持を見よ!-『奇奇奇譚編集部 幽霊取材は命がけ』

『奇奇奇譚編集部 幽霊取材は命がけ』 木犀あこ/2018年/228ページ 霊が見えるホラー作家の熊野惣介は、怪奇小説雑誌『奇奇奇譚』での連載を目指して、担当編集者の善知烏とネタ探しを続けていた。フィクションの存在のはずの怪人、さびれた大観音像の内部…

『リング』の続編という高いハードルを越え、シリーズを神話と化した医学SF-『らせん』

『らせん』 鈴木光司/2000年/432ページ 幼い息子を海で亡くした監察医の安藤は、謎の死を遂げた友人・高山竜司の解剖を担当した。冠動脈から正体不明の肉腫が発見され、遺体からはみ出た新聞紙に書かれた数字は、ある言葉を暗示していた。…「リング」とは?…

厨二妄想の少女が実体化! 実話怪談の域を超えた「拝み屋怪談」としか言い表せない一編-『拝み屋怪談 来たるべき災禍』

『拝み屋怪談 来たるべき災禍』 郷内心瞳/2017年/352ページ 虚実の境が見えなくなってしまった時、人にとってあらゆるものが、怪異となり得る危険を孕んでしまう―。現役拝み屋が体験した現世のこととも悪夢とも知れない恐るべき怪異。すべては20年以上前、…

執念深きヘビのうらみ! ヘビ少女にヘビおばさんが美少女の首筋を這いまわる!-『こわい本1 蛇』

『こわい本1 蛇』 楳図かずお/2021年/320ページ 幸せに暮らしていた沼田家の姉妹を、突然の悲劇が襲った。姉が、手足が動かなくなる原因不明の病に倒れたのだ。献身的に看病する妹だったが、姉の奇怪な行動に不審を抱き、姉の正体は蛇で、自分を殺そうとし…

刑事と検死官、仕事に誇り持つ2人が夫婦として暮らした数カ月。必読のスピンオフ-『サークル 猟奇犯罪捜査官・厚田巌夫』

『サークル 猟奇犯罪捜査官・厚田巌夫』 内藤了/2018年/256ページ ある事件を経て新婚生活をスタートさせた厚田巌夫と石上妙子。警察官一家惨殺事件が発生、二人は駆け出し刑事と新鋭検死官というそれぞれの立場から事件に向き合うことになった。妙子のお…

浮世と常世の境界で結ばれる友情。通算17巻に及ぶシリーズの大団円!-『華舞鬼町おばけ写真館 祭りばやしと光の絆』

『華舞鬼町おばけ写真館 祭りばやしと光の絆』 蒼月海里/2019年/208ページ 浮世と常世の境界にある不思議な町・華舞鬼町。住人のアヤカシたちは那由多の写真のおかげで浮世との繋がりを強く持っていた。貧乏神のクロ助は、富むものを衰退、劣化させてしま…

福の神になりたい貧乏神を相棒に、人助けで徳を積む新展開-『華舞鬼町おばけ写真館 消えた臨港線と缶入りドロップ』

『華舞鬼町おばけ写真館 消えた臨港線と缶入りドロップ』 蒼月海里/2019年/208ページ 異能を持つ祖父の形見のカメラは、過去の風景を写し那由多を華舞鬼町へと連れていってくれた。カメラが壊れてからは移動できずにいたが、姉のアドバイスで道祖神を祀る…

別離、邂逅、決戦、和解…最終巻っぽい展開盛りだくさんのイベント巻-『華舞鬼町おばけ写真館 夜の語り部とふっくらカルメ焼き』

『華舞鬼町おばけ写真館 夜の語り部とふっくらカルメ焼き』 蒼月海里/2019年/208ページ 「虚路は、人から忘れられそうになったら姿を現す」なぜなら忘れられるとその概念が消えてしまうから、と狭間堂から説明を受ける那由多。一方、浮世と華舞鬼町では拍…

新人作家&ドS編集者の心霊取材。創作者の胸を打つ意外なほどの熱さに痺れる-『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』

『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』 木犀あこ/2017年/240ページ 霊の見える新人ホラー作家の熊野惣介は、怪奇小説雑誌『奇奇奇譚』の編集者・善知鳥とともに、新作のネタを探していた。心霊スポットを取材するなかで、姿はさまざまだが、同じ不…

シリーズ初? のガチホラー展開。生み出された怪談が人を襲う!-『華舞鬼町おばけ写真館 灯り無し蕎麦とさくさく最中』

『華舞鬼町おばけ写真館 灯り無し蕎麦とさくさく最中』 蒼月海里/2018年/208ページ 「地下鉄の終電で降りた駅の、改札を抜けた先にある蕎麦屋は江戸の怪談『本所七不思議』の“灯り無し蕎麦”だった」不気味な動画を偶然見てしまった那由多は狭間堂に報告す…

不可解と理不尽に満ちた過去最恐レベルの怪スポット“首吊り廃墟”を追え!-『新耳袋殴り込み 最恐伝説』

『新耳袋殴り込み 最恐伝説』 ギンティ小林/2015年/208ページ 心霊スポット取材チーム・殴り込みGメンが帰って来た! 大阪・通天閣のほど近くにある「首吊り廃墟」にギンティ小林と殴り込みGメンが、全3回の突撃取材を敢行する! 取材の度に起きる怪奇…

悪行妖怪vs本所七不思議。過去からの成長も著しい第3巻-『華舞鬼町おばけ写真館 送り提灯とほっこり人形焼』

『華舞鬼町おばけ写真館 送り提灯とほっこり人形焼』 蒼月海里/2018年/208ページ 異形が跋扈する不思議な街、華舞鬼町。町の総元締め狭間堂はお盆の最終日、水路でやる灯籠流しの準備を進めていた。常世を目指す魂たちの道案内になれば、という気遣いだっ…

東京の名所を巡り、レトロな風景に想いを馳せるほのぼのアヤカシ奇譚-『華舞鬼町おばけ写真館 路面電車ともちもち塩大福』

『華舞鬼町おばけ写真館 路面電車ともちもち塩大福』 蒼月海里/2017年/208ページ 大学生の那由多は、祖父の形見のカメラに導かれるように、人外が跋扈する別世界『華舞鬼町』に迷い込み、狭間堂と名乗る青年と出会う。祖父のカメラには不思議な力があった…

霊を怒らせて心霊映像を撮れ! 実録バチあたりルポシリーズ最高傑作-『新耳袋殴り込み 第三夜』

『新耳袋殴り込み 第三夜』 ギンティ小林/2014年/333ページ 凄まじいパワーを持つ霊が出現する東京・大田区の「幽霊ゲームセンター」、関東最恐の心霊ゾーン「Y霊園」、“出る”ので有名な「Oホテル」で百物語会を開催、関西でもっともヤバい「大阪I山トンネ…

過去を撮影するカメラで、東京に残る「人の想い」を写す。レトロで優しいアヤカシ譚-『華舞鬼町おばけ写真館 祖父のカメラとほかほかおにぎり』

『華舞鬼町おばけ写真館 祖父のカメラとほかほかおにぎり』 蒼月海里/2017年/240ページ 人見知りの激しい久遠寺那由多は大学をサボったある日、祖父の形見のインスタントカメラを、なんとカワウソに盗まれてしまう。仰天しつつビルの隙間へと追いかけるが…

探偵小説&冒険小説に乱歩流の耽美で猟奇な味付けがハマる傑作-『孤島の鬼 江戸川乱歩ベストセレクション⑦』

『孤島の鬼 江戸川乱歩ベストセレクション⑦』 江戸川乱歩/2009年/336ページ 初代は3歳で親に捨てられた。お守り代わりの古い系図帳だけが初代の身元の手がかりだ。そんな初代にひかれ蓑浦は婚約を決意するが、蓑浦の先輩で同性愛者の諸戸が初代に突然求婚…

愛が生む病、恋が育む未来。全編傑作揃いのオススメ巻-『ホーンテッド・キャンパス 恋する終末論者』

『ホーンテッド・キャンパス 恋する終末論者』 櫛木理宇/2014年/346ページ 大学祭間近の雪越大学。霊感系大学生の森司は、美少女こよみに焦れったい片想い中。しかしある日、飲み会で、高校の同級生、果那と再会する。ストーカーを撃退したいという彼女の…

山の牧場、犬鳴峠、三本足のサリーちゃん…最恐都市伝説に体当たり取材!-『新耳袋殴り込み 第二夜』

『新耳袋殴り込み 第二夜』 ギンティ小林/2013年/341ページ 傑作実話怪談集『新耳袋』で語られた怪異の現場で霊を挑発、本当に“出る”か試してみようという恐るべき突撃ルポの第2弾。今回訪れるのは、火だるまになって殺された人の霊で有名な九州最恐スポッ…

呼べば死ぬ都市伝説「マチコさん」、ひとりでに歩く人形…。怪談の真相を霊能鑑識で暴け-『ゴースタイズ・ゲート 「世界ノ壊シ方」事件』

『ゴースタイズ・ゲート 「世界ノ壊シ方」事件』 中井拓志/2012年/312ページ 霊能少女・芙癸の脳機能データを鑑識に導入して捜査を行う、警察庁科警研心理三室。今回、心理三室の研究員・夕季が乗り出したのは、女子中学生が鏡を叩き割り、全身切り刻まれた…

目撃者を死に誘う霊、左腕が起こす殺人…。怪事件を霊能力と脳科学で解明!-『ゴースタイズ・ゲート 「イナイイナイの左腕」事件』

『ゴースタイズ・ゲート 「イナイイナイの左腕」事件』 中井拓志/2011年/318ページ 警察庁科警研心理三室。ここの目的は、霊能力者とその脳機能パターンを鑑識に導入すること。現場に煙たがられながらも今回、心理三室が投入されたのは、素手で頚部を抉ると…

実話怪談の舞台となった最恐スポットを実録取材。おじさん達の悲鳴が響き渡る!-『新耳袋殴り込み 第一夜』

『新耳袋殴り込み 第一夜』 ギンティ小林/2013年/275ページ 実話怪談集の傑作『新耳袋』。そこで語られている話は真実なのか?謎の巨大施設がある「山の牧場」、自殺した女性の霊が出没する「幽霊マンション」、煙のように人が消える「天狗神社」など、絶対…

30年前の事件とまったく同じ手口の猟奇殺人。果たして模倣犯か同一犯か…?-『COPY 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』

『COPY 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』 内藤了/2018年/320ページ 鑑識官・三木と麗華の結婚式も束の間、比奈子らに事件に知らせが入った。心臓が刳り抜かれた2遺体が八王子の廃ビルで見つかったのだ。一昨日も日本橋で同様の3遺体が発見され、現場には血痕…

愛に狂わされつつも、純愛を貫き通した人々が辿る奇妙な運命-『愛の怪談』

『愛の怪談 現代ホラー傑作選第7集』 高橋克彦(編)/1999年/273ページ 歪んだ愛がこの世に産み落とした恐怖――。怪奇と幻想に潜む人間の“愛”に光を当てた異色のホラー傑作選。三橋一夫「駒形通り」香山滋「木乃伊の恋」城昌幸「道化役」梶尾真治「玲子の箱宇宙」澁澤…

水怪が起こす連続死事件。生徒と教師が一丸となって怪異に対抗する青春ホラーミステリ-『水域 -転校生3-』

『水域(アクエリアス) -転校生3-』 森真沙子/1999年/301ページ かつて無数の死体が流れ着く異界の地であった下町・深川。歴史研究部に属し、深川に魅せられる咲子の周囲で、女生徒たちが次々に不可解な自殺を遂げる。事件を追う咲子は、送り主不明のCD‐ROM…