『新耳袋殴り込み 第一夜』
ギンティ小林/2013年/275ページ
実話怪談集の傑作『新耳袋』。そこで語られている話は真実なのか?謎の巨大施設がある「山の牧場」、自殺した女性の霊が出没する「幽霊マンション」、煙のように人が消える「天狗神社」など、絶対に“出る”といわれている最恐心霊スポットに、命知らずの男・ギンティ小林が突撃。徹底的に霊を挑発し、本当に霊が出てくるか確かめた。その恐るべき結末はいかに!?驚天動地、前代未聞の命がけ突撃怪談ルポ!!
(「BOOK」データベースより)
実話怪談集『新耳袋』シリーズで紹介された心霊スポットに体当たり取材をカマす実録ルポシリーズ。訪れる場所はいずれも最恐中の最恐スポット、当然さまざまなトラブルに見舞われるのだが、「無計画な編集者」「近所の住民からの白い目」「警官の職務質問」「レンタカー擦っちゃった」など、その内容はおよそオカルトとは程遠いもの。こんな調子で大丈夫か!? と思いきや、珍道中を繰り広げる彼らにもガチの心霊現象は降りかかって来るのであった。
まだ面白かったころの「映画秘宝」での連載がきっかけで生まれ、映画にもなった「新耳袋殴り込み!」シリーズの文庫版。あらましは『新耳袋』執筆者のひとり・木原浩勝氏による解説で詳しく書かれている。第一章ではギンティ小林と映画秘宝編集者・松崎が、山田誠二の案内で京都の怪奇スポットを巡る。第二章では『新耳袋』の中でもひときわ有名なかの「山の牧場」を取材するため、兵庫県のとある地点へギンティ、松崎、「映画秘宝」編集長・田野辺が向かう。変なサイクリング外人、妙にツユがぬるい蕎麦屋といったどうでもよい怪奇現象の末、ついに牧場に到着する一行! だがそこは全然違う普通の牧場だったらしく、見周りの人に怒られるのであった。第三章では幽霊嫌いの漫画家・ヒロモト森一を加えて京都の幽霊マンションへ突撃、今なら炎上スレスレの騒ぎをやらかして退却。第四章では『新耳袋』・「ノブヒロさん」のエピソードの元となった当の本人にインタビュー取材を敢行する。
第五章ではギンティ・田野辺・森一に加え、映画『怪談新耳袋』の山口プロデューサー、豊島監督が合流。行くと必ず呪われるという廃墟「K観光ホテル」で心霊映像撮影にチャレンジするものの、普通に怪奇現象が発生しビビリまくる一行。第六章では人が神隠しに遭うという「天狗神社」に向かう一行。杉作J太郎らも参加し、「天狗神社でエアセックスを披露」というまったく意味の分からないバチ当たり行為に挑むのだが…。
おじさんたちが大騒ぎしているだけとも言えるが、『新耳袋』シリーズのファンでなくとも軽めのホラールポとして楽しめる内容。ただガチの怪談を求めていると肩透かしかもしれない(単行本の時は「『新耳袋』の新刊かと思ったらパチモンだった」との苦情が相次いだらしい)。
★★★(3.0)
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