角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

浮世と常世の境界で結ばれる友情。通算17巻に及ぶシリーズの大団円!-『華舞鬼町おばけ写真館 祭りばやしと光の絆』

『華舞鬼町おばけ写真館 祭りばやしと光の絆』

蒼月海里/2019年/208ページ

浮世と常世の境界にある不思議な町・華舞鬼町。住人のアヤカシたちは那由多の写真のおかげで浮世との繋がりを強く持っていた。貧乏神のクロ助は、富むものを衰退、劣化させてしまう体質で、那由多はそんなクロ助を福の神にしてあげたいと願う。ある日、東京都心に怪しい暗雲が立ち込め、世界は闇に呑まれそうになる。那由多とクロ助は密かにケガレを集めてきた虚路と対峙するのだが―。大人気シリーズ、ついに最終巻! 

(「BOOK」データベースより)

 

 第一話「那由多と目競の思惑」では、完全にデレと化した円が狭間堂を華舞鬼町から解放してやってほしいと那由多に相談。2人はついに隣町、すなわち幽落町へ向かう…! のかと思いきや蘇芳に止められてしまうのであった。第二話「那由多と混沌の主」では、復活した虚路が貧乏神のクロ助を狙っていることが発覚。雷獣の背に乗ってスカイツリー上空で本体を展開する虚路の元へ向かう狭間堂だが、返り討ちにあい重傷を負う。第三話「那由多と華舞町のみんな」。クロ助を虚路に引き渡すタイムリミットが近づいてきたが、狭間堂はケガレに冒され動くことができない。那由多は華舞鬼町のモノノケたちと協力し、これまでに現世と結んだ縁を最大限に活かし、クロ助に東京中の“ハレの気”を集めるという最後の手段を取ることに…。

 シリーズで登場したほぼ全キャラと全観光スポットが再登場し、見事にグランドフィナーレを飾った最終巻。余話「那由多と境界の町のひとびと」ではついに幽落町の人々が華舞鬼町を訪問。いかにもファンサービス的な番外編となっている。全体を通してみれば、『幽落町』シリーズよりも話の構成や細部のリアリティなど、物語としての完成度はかなり高まっていたと思う。ホラー耐性が皆無な人向けのホラー文庫入門編としては完璧だろう。

★★★(3.0)

 

◆Amazonで『華舞鬼町おばけ写真館 祭りばやしと光の絆』を見る(リンク)◆

www.amazon.co.jp