角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

作者の他作品キャラが乱入し大活躍してしまう百合ホラー。原作ゲームほぼ関係なし!-『零 女の子だけがかかる呪い』

『零(ゼロ) 女の子だけがかかる呪い』 大塚英志/2014年/284ページ 美しいアヤ。森鴎外訳『ハムレット』の中の詩「オフィーリアの歌」を読む彼女に、誰もが恋をした。そう、ミチも。そんなアヤがある日、姿を消した。女生徒たちは、消えた彼女に導かれるよ…

許容範囲ギリギリをせめぎ合う、筒井ホラーの真髄が詰め込まれた納得のセレクト-『鍵』

『鍵』 筒井康隆/1994年/269ページ 放置された机から見つかった古い鍵束。鍵に秘められた不思議な力に導かれ、甦る寒い思い出…。日常からにじみ出す幻想と恐怖を独自の感性と手法で綴る著者初のホラー短編集。 (Amazon解説文より) 著者初のホラー短編集に…

ほのぼのノスタルジーを読んでいたはずが、いきなりバトル展開に。これが癒し系ホラー…?-『古川』

『古川』 吉永達彦/2003年/198ページ 一九六〇年代初頭、大阪の下町を流れる「古川」。古川のほとりの長屋では、小学生の真理とその家族がつつましく暮らしていた。しかし、ある嵐の夜、真理の前に少女の幽霊が現れて―。ノスタルジックなイメージに満ちた…

実話怪談が散りばめられたホラーミステリ連作。表紙にたがわぬ怖さだが、主人公コンビに時にはほっこり-『首ざぶとん』

『首ざぶとん』 朱雀門出/2010年/277ページ 華道教室に通うまりかの先生・嵯峨御流正教授である龍彦の趣味は、なんと怪談蒐集。最初は引き気味のまりかだったが、龍彦の優しげな雰囲気に惹かれ、怪談蒐集の手伝いをすることとなる。ある日まりかは、「おざ…

楳図入門編として無難な1冊。大槻ケンヂとのぶっちゃけ過ぎ対談が見もの-『赤んぼう少女 楳図かずお作品集』

『赤んぼう少女 楳図かずお作品集』 楳図かずお/1994年/452ページ 屋根裏部屋に幽閉された悪魔の子タマミの、養父への激しい復讐心と、その娘葉子に対する嫉妬心への恐怖を描く表題作。呪われた家系に生まれたネコ少女の数奇な運命を描いた「黒ねこ面」他…

ひたひたと忍び寄る水怪の群れ。姿を見せない怪異がいちばん怖い-『仄暗い水の底から』

『仄暗い水の底から』 鈴木光司/2001年/242ページ 巨大都市の欲望を呑みつくす圧倒的な〈水たまり〉東京湾。ゴミ、汚物、夢、憎悪……あらゆる残骸が堆積する湾岸の〈埋立地〉。この不安定な領域に浮かんでは消えていく不可思議な出来事。実は皆が知っている…

うなぎが人を喰らいつくす? ホラーとミステリの完全融合、作者の捌きっぷりに見惚れる逸品-『うなぎ鬼』

『うなぎ鬼』 高田侑/2010年/328ページ 借金で首が回らなくなった勝は、強面を見込まれ、取り立て会社に身請けされる。社長の千脇は「殺しだけはさせない」と断言するが、どこか得体が知れない。ある日、勝は社長から黒牟という寂れた街の鰻の養殖場まで、…

出どころ不明ながらも、猛烈で純然たる悪意。心冷える実話怪談集-『怪談狩り 市朗百物語 赤い顔』

『怪談狩り 市朗百物語 赤い顔』 中山市朗/2017年/255ページ 怪談蒐集家・中山市朗が満を持して放つ、本当に怖い話だけを厳選した百物語、第二弾。逆さに連なる首を切られたカラスの死骸、お札を貼られた井戸に潜むモノ、誰もいないはずの学校に現れる赤い…

ショートショートの名手が送る、時には煽情的で時には抒情的な自選短編集-『心の旅路』

『自選恐怖小説集 心の旅路』 阿刀田高/1993年/320ページ 夢遊病? 記憶喪失? 奇妙な記憶に思い悩む私だが、原因として思い当たるのは以前食べたあの……!? 心の奥底からひたひたと怖さがつのってくる表題作ほか、軽妙洒脱な筆致で知られる著者が、全作品の…

ある時は家族の闇をえげつなく暴き、ある時はなんちゃって怪談で脱力させる。実話怪談集の問題児シリーズ-『無惨百物語 みちづれ』

『無惨百物語 みちづれ』 黒木あるじ/2016年/273ページ “怪異”は、私たちの日常のかたわらに潜んでいる。携帯電話に登録されていた見知らぬ連絡先。不審死が連続するアパートの一室。浴槽の下に落ちていた古びた人形。神社に奉納されていた黒い絵馬。遊園…

相変わらずの良セレクション。ホラーアンソロジーのスタンダードとしてもお勧め-『恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション』

『恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション』 朝宮運河(編)/2021年/286ページ ショッキングな幕切れで知られる竹本健治の「恐怖」を筆頭に、ノスタルジックな毒を味わえる宇佐美まことの図書館奇譚「夏休みのケイカク」、現代人の罪と罰を描いた恒川光太郎…

絶望的な結末が救いに見えるほどに、悲惨極まりないトラウマ作品-『灰になる少年 ~ジョージ秋山恐怖劇場~』

『灰になる少年 ~ジョージ秋山恐怖劇場~』 ジョージ秋山/1997年/393ページ 「おまえが幸せに暮らせるのも、今のうちだぜ」――。潮少年は見知らぬ男に囁かれた言葉が耳から離れない。お手伝いさんの首なし殺人事件が恐怖へのプロローグなのか!? 潮少年に迫…

「怪談の語り手」としての体験が活かされた実話怪談集。イヤさは折り紙付き-『怪談狩り 市朗百物語』

『怪談狩り 市朗百物語』 中山市朗/2016年/268ページ 「新耳袋」シリーズの著者・中山市朗が、現実世界の歪みから滲みだす恐怖と、拭いきれない違和感を狩り集める。モニターのノイズの中に映りこんだ拝む老女、六甲山を取材中にテレビのロケ隊が目撃した…

今さら感が無くも無いが、色褪せぬ名作ぞろい。人間椅子のオチは何度読んでもヒドい-『人間椅子 江戸川乱歩ベストセレクション①』

『人間椅子 江戸川乱歩ベストセレクション①』 江戸川乱歩/2008年/213ページ 貧しい椅子職人は、世にも醜い容貌のせいで、常に孤独だった。惨めな日々の中で思いつめた男は、納品前の大きな肘掛椅子の中に身を潜める。その椅子は、若く美しい夫人の住む立派…