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「怪談の語り手」としての体験が活かされた実話怪談集。イヤさは折り紙付き-『怪談狩り 市朗百物語』

『怪談狩り 市朗百物語』

中山市朗/2016年/268ページ

「新耳袋」シリーズの著者・中山市朗が、現実世界の歪みから滲みだす恐怖と、拭いきれない違和感を狩り集める。モニターのノイズの中に映りこんだ拝む老女、六甲山を取材中にテレビのロケ隊が目撃した異様なモノ、無人の講堂から聞こえてくるカゴメ唄、演劇部に代々伝わる黒い子供、遺体に肩を叩かれた納棺師の体験談…。1話読むごとに、澱のような不安が、静かに、しかし確実に蓄積されてゆく―厳選した100話を収録。

(「BOOK」データベースより)

 

 怪談狩りシリーズの第1弾で、著者の中山市朗氏の「らしさ」が存分に発揮された百物語。テレビロケで起きた話や関西方面の話、芸能人がらみの怪談(藤山寛美に北野誠、ガリガリガリクソンまで)など、著者ならではの人脈を活かした怪談の数々。

 怖さで言えば第九十九話「踏切の地図」、第八十七話「死因」辺りが群を抜いてイヤな話だが、第十一話~十三話の六甲山にまつわる一連の話も不気味である。この手の百物語によくある「短いけど意味不明すぎて怖い」枠が第十四話「サイドミラー」である。ああ厭だ厭だ。

★★★(3.0)

 

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