『現代百物語 悪夢』
岩井志麻子/2012年/209ページ
奇妙な赤ちゃんの夢を見る女。モデルの女性が怯える、忌まわしい村のしきたり。留置場にただ一人いた親切な男の意外な過去。叔母を憎み、互いも憎みあう偽姉妹。もう一人の自分に電話を掛ける男。取り憑かれ要員の女。著者がタイのレストランで見た、生々しい夢…。日常からふと顔を出した奇妙な話の数数から、悪魔が見せる夢よりもおぞましい人間の闇が浮き彫りとなる。好評実話怪談シリーズ、第4弾。
(「BOOK」データベースより)
なんともまた普通なサブタイトル。序盤の6、7話くらいは相変わらずのウソつきと風俗嬢の話で「もう見た」とAC部顔になるが、以降はわりとバラエティに富んだ品ぞろえ。シリーズお馴染みのあの女性の影響からはまだ抜け切れていないのだが。
「第八話 トイレの怖い話」「第八十八話 売れない漫才師の話」「第九十七話 見栄っ張り」はなんともストレート、かつキレのいい怪談で自分好みであった。「第四十話 一番怖い話は二度ある」「第四十九話 村のしきたり」のようなえげつない話も多い。ただまあ、さすがに初期から続けて読んでいるとマンネリズムを感じなくもない。
★★★(3.0)