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全部読めるといいですね。

出どころ不明ながらも、猛烈で純然たる悪意。心冷える実話怪談集-『怪談狩り 市朗百物語 赤い顔』

『怪談狩り 市朗百物語 赤い顔』

中山市朗/2017年/255ページ

怪談蒐集家・中山市朗が満を持して放つ、本当に怖い話だけを厳選した百物語、第二弾。逆さに連なる首を切られたカラスの死骸、お札を貼られた井戸に潜むモノ、誰もいないはずの学校に現れる赤いジャージの少年、深夜の霊園からかかってくる電話……。「霊感はない」と断言する著者が、曰くつきのログハウスで行なった怪談会の顛末や自宅で遭遇した怪異も収録。日常の風景がぐらりと揺らぎ、忌まわしいものが忍び寄る――。

(「BOOK」データベースより)

 

 怪談狩りシリーズの中では、今のところ最恐の1冊ではないかと思う。純粋な悪意をもった正体不明の何か、の影が色濃い話ばかり。

 「第二話 首吊り人形」「第七十八話 四人目の落札者」「第八十二話 コレクター」の人形コレクターS子さんの話といった人形怪談がえらく怖い。クライマックスに向かう終盤の話も粒ぞろいで、土着の呪いホラーの変化球「第八十四話 婿探し」、洒落怖的にシンプルかつ無惨な「第八十八話 鉄扉の門」、すべてが「気のせい」で片付くのに妙に気持ち悪い「第九十二話 たすけて」、起きる怪異があまりにも盛りだくさん過ぎる「第九十三話 美女の脚」などが忘れがたい。

 序盤、その霊的な鈍感さから霊能者に呆れられるほどだった作者の中山氏が、専門学校の生徒たちと「曰くつき」のログハウスに泊まった際の騒動を語る「第十六話 噂のログハウス」「第二十四話 再訪」までの一連の話はなぜか微笑ましい。なんだそのオチは。

★★★☆(3.5)