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安定の面白さだが、目玉である“黒いバス”はもはや実話怪談ではないのでは?-『怪談狩り 黒いバス』

『怪談狩り 黒いバス』

中山市郎/2021年/272ページ

ある日突如現れる、黒いバスのような乗り物は、生者と死者の恨みを乗せて走る――今なお継続する怪異に震えが止まらない「黒いバス」他。本書収録作をまとめて読むことで恐怖が増す、本当に怖い怪談実話集。

(Amazon解説文より)

 実話怪談シリーズの第7弾。全61話。タイトルにもなっている‟黒いバス”をめぐる話が4本あり、これらは面白いかと言われれば面白いのだが、実話怪談らしさ(不条理さや理不尽さ等)がまったく無い。登場人物の心情があまりに詳細に書かれ過ぎているし、ちょっとやり過ぎ感が漂う。実話系ではないホラー連作短篇として読めば悪くないのだが…。

 黒いバス関連を除くそれぞれの怪談自体は相変わらずどれも面白い。個人的には洒落怖の雰囲気濃厚な「幽霊話ではない」がベスト。ストレートな怪談としてよく出来ている「三段壁の釣り場」、インパクト一発勝負の「ハトが出る」、その終わり方はズルいだろと思った「また潰れた」、これぞ都市伝説! な「赤いワンピース」もよかった。

★★★(3.0)

 

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