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作者の他作品キャラが乱入し大活躍してしまう百合ホラー。原作ゲームほぼ関係なし!-『零 女の子だけがかかる呪い』

『零(ゼロ) 女の子だけがかかる呪い』

大塚英志/2014年/284ページ

美しいアヤ。森鴎外訳『ハムレット』の中の詩「オフィーリアの歌」を読む彼女に、誰もが恋をした。そう、ミチも。そんなアヤがある日、姿を消した。女生徒たちは、消えた彼女に導かれるように、真夜中にアヤの写真にキスし、次々と消えてゆく。ミチはアヤの幽霊から「私の呪いを解いて」というメッセージを受け取るが―。これは神隠しなのか、それともアヤがかけた呪いなのか。女の子だけにかかる呪い、その正体とは。

(「BOOK」データベースより)

 

 女学院を舞台にした百合ホラー。「女の子だけがかかる呪い」とは、女学院でささやかれる恋のおまじないなのだが、その真実は死後に相手と結ばれる冥婚に関するものだった…ということが中盤で明かされる。
 序盤は回りくどい比喩が文章のテンポを乱しており、正直大変に読みにくい。話が加速する中盤以降は読みやすくなるのだが、作者の別作品「黒鷺死体宅配便」のキャラが唐突に参戦する(これは映画監督からの要望とのこと)。降霊者だのスーパーハッカーだの便利なキャラが続々登場、事件の黒幕から真相までを一気に暴いていってしまうのだが、ご都合主義な感じは否めない。設定や大筋は凝っているのだが、どうにも引っかかる部分が多く没入できない。

 ゲーム『零』シリーズを基にした同名映画の原作。当時のシリーズ最新作だった『零 ~濡鴉ノ巫女~』とあわせ、“水”が根底のモチーフになっている。本作自体はどのゲーム作品とも直接関係のないオリジナルで、シリーズ共通のキーアイテムである怨霊が撮影できるカメラ「射影機」は登場するのだが、あまり目立っていない。

★★(2.0)

 

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