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ある時は家族の闇をえげつなく暴き、ある時はなんちゃって怪談で脱力させる。実話怪談集の問題児シリーズ-『無惨百物語 みちづれ』

『無惨百物語 みちづれ』

黒木あるじ/2016年/273ページ

“怪異”は、私たちの日常のかたわらに潜んでいる。携帯電話に登録されていた見知らぬ連絡先。不審死が連続するアパートの一室。浴槽の下に落ちていた古びた人形。神社に奉納されていた黒い絵馬。遊園地跡の廃墟に残された観覧車。家の周囲を走り続ける足音…。違和感に一度気づいてしまったが最後、あなたも非日常へ「みちづれ」となる―。怪異に魅入られてしまった人々が遭遇した、理不尽で恐ろしい百の実体験談。

(「BOOK」データベースより)

 

 えげつなく悪意に満ちた話が多く、実話怪談集シリーズの中でもかなり好きな部類。その中でもわずか4行の超短編「第十八話 いきさき」の切れ味が凄まじい。この話、私が最恐と思っている、とある洒落怖と通じるものがある。「第九十二話 ころりさま」「第九十四話 おんりょう」は「家族」の抱える闇を暴き出す厭ぁな話で、前者は‟ころりさま”の簡潔かつ不愉快な描写が光る。こうしたおぞましい話が大半を占めているおかげで、「第七十一話 当然」「第九十七話 嘘吐き幽霊」のような脱力モノの話がかえって印象的だったり。

★★★★(4.0)

 

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