角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。おすすめ作品等はリストから

映画版とゲーム版の設定をうまくすり合わせた『Ⅱ』を忠実にノベライズ-『バイオハザードⅡ アポカリプス』

『バイオハザードⅡ アポカリプス』 キース・R・A・デカンディード(著)、富永和子(訳)/2004年/330ページ アリスは病院のベッドで目覚めた。T・ウイルスに汚染された“蜂の巣”から生還したのが三十六時間前。ラクーンシティはアンデッドたちの街と化していた…

前作で死亡しているにも関わらず、ゲームを完全に支配下に置くジグソウの影。サーガはなおも続く-『ソウ4 ―SAW4』

『ソウ4 ―SAW4』 行川渉(著)、パトリック・メルトン、マーカス・ダンスタン(原案)/2007年/255ページ ジグソウとアマンダは死んだ。ジグソウの遺体の中から発見されたテープが再生される。「私の仕事は続く。ゲームは始まったばかりだ」。ジグソウに関わっ…

死者の金を巻き上げて鎮魂! 幽霊相手の詐欺に奮闘するお人好し主人公-『幽霊詐欺師ミチヲ』

『幽霊詐欺師ミチヲ』 黒史郎/2011年/269ページ 借金を苦に自殺しようとしていたところ、カタリという謎の男に声をかけられた青年ミチヲ。聞けばある仕事を引き受ければ、借金を肩代わりしてくれるという。喜ぶミチヲだったが、その仕事とは、失意の果てに…

映画版よりグロ描写がマイルドになったぶん、登場人物のガバさが目立つ-『ソウ3 ―SAW3』

『ソウ3 ―SAW3』 行川渉(著)、ジェームズ・ワン、リー・ワネル(原案)/2006年/167ページ 女刑事ケリーは、小学校でおこった殺人現場に呼び出される。鎖に繋がれ、爆弾で飛び散っていた死体が行方不明となっていたエリック刑事でなかったことに、胸をなでお…

人間の独創性と創造力の賜物! 悲鳴と血しぶきに彩られた赤黒い世界史-『美しき拷問の本』

『美しき拷問の本』 桐生操/1994年/235ページ 自分の意にそわぬ者を従わせるため、権力者たちが好んで用いた“拷問”と“処刑”という恐るべき罰。世界のあちこちで、人は知恵をしぼり、想像を絶する残酷な方法を編みだしてきたのだ。断頭台の露と消えた悲劇の…

シリーズ初期作のミステリ要素はノベライズとも相性良し-『ソウ2 ―SAW2』

『ソウ2 ―SAW2』 行川渉(著)、ダーレン・リン・バウズマン、リー・ワネル(原案)/2005年/218ページ ある猟奇殺人事件の捜査にあたっていた刑事エリック。その陰惨極まる殺人現場を目にした彼の頭を、ひとつの名前がよぎる。「ジグソウ」。複数の犠牲者を出…

超パワフルで超悪趣味! 臓腑と糞便と怪蟲にまみれたB級エログロ黙示録!!-『蠅の王』

『蠅の王』 田中啓文/2008年/646ページ ある遺跡で無数の赤子の骨とひとつの壷が発見された。その封印が解かれたとき、人類は未曾有の危機を迎えた。突如、東京では児童殺人が頻発する。そこには必ず虫が大量発生するという怪現象が…。その最中、ひとりの…

偉大なるデスゲーム映画の第1作目を卒なくノベライズ。原作履修済みでも退屈はしない出来-『ソウ ―SAW』

『ソウ ―SAW』 行川渉(著)、ジェームズ・ワン、リー・ワネル(原案)/2004年/183ページ 老朽化したバスルームで目覚めた二人の男。足首は頑丈な鎖で繋がれ身動きがとれない。二人の間には血みどろの自殺死体とテープレコーダー、一発の銃弾、そして二本のノ…

“犬”を縛り付ける虐待の連鎖。キャラノベルに見せかけて相当にトリッキーなミステリ-『虜囚の犬 元家裁調査官・白石洛』

『虜囚の犬 元家裁調査官・白石洛』 櫛木理宇/2023年/400ページ 残酷でおぞましい事件に隠された真実とは。衝撃的結末に、撃ちぬかれる。 穏やかな日常を送る、元家裁調査官の白石洛(しらいし らく)は、友人で刑事の和井田(わいだ)から、ある事件の相談を…

オンラインゲームのプレイヤー殺しと現実の殺人事件がリンク。言うほど「超巨大密室」ではなくない?-『超巨大密室殺人事件』

『超巨大密室殺人事件』 二宮敦人/2013年/350ページ 超人気オンラインゲーム「サンド・ランド」。仁菜の友人の照は、ゲームと現実の区別を失う程ゲームにのめり込み、ゲーム内で恋人が殺されたと泣き喚く。顔面を破壊する凄惨な連続殺人が世間を騒がす中、…

現実を侵食する5つの怪談。凶悪トリックが最後に読者を襲うメタホラー-『逢魔宿り』

『逢魔宿り』 三津田信三/2023年/327ページ 雨の日には、読まないでください。 元編集者で現ホラー・ミステリ作家の「僕」のもとに、昔仕事をしたデザイナー・松尾から連絡が入った。「小説 野性時代」に連載している連作怪奇短篇について、話したいことが…

恋のライバルがいいヤツ過ぎて困惑する主人公。ミステリとしても恋愛物としても安定の好シリーズ-『ホーンテッド・キャンパス 桜の宵の満開の下』

『ホーンテッド・キャンパス 桜の宵の満開の下』 櫛木理宇/2013年/344ページ 幽霊が視えてしまう体質の大学生、八神森司。その能力を生かし(?)、オカルト研究会で、美少女こよみに密かに片想い中。しかしオカ研には、恐怖の依頼が続々と、凍死寸前の男が訴…

連続少女殺人犯“芸術家”を追い詰める、検死官&法医昆虫学者!-『パンドラ 猟奇犯罪検死官・石上妙子』

『パンドラ 猟奇犯罪検死官石上妙子』 内藤了/2017年/336ページ 検死を行う法医学部の大学院生・石上妙子。自殺とされた少女の遺書の一部が不思議なところから発見された。妙子は違和感を持つなか、10代の少女の連続失踪事件のことを、新聞と週刊誌の記事…

芥川、鴎外、太宰、漱石…「現代ホラー」と呼んでいいのか悩む文豪揃いのアンソロジー-『森の聲』

『森の聲 現代ホラー傑作選第5集』 内田康夫(編)/1995年/290ページ 数々の名作を生んだ十一人の巨匠が、混迷の時代に神火を灯す森羅万象の世界。収録作品芥川龍之介「妖婆」石川淳「灰色のマント」泉鏡花「化鳥」折口信夫「神の嫁」川端康成「片腕」小泉八雲「青柳の…