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人間の独創性と創造力の賜物! 悲鳴と血しぶきに彩られた赤黒い世界史-『美しき拷問の本』

『美しき拷問の本』

桐生操/1994年/235ページ

自分の意にそわぬ者を従わせるため、権力者たちが好んで用いた“拷問”と“処刑”という恐るべき罰。世界のあちこちで、人は知恵をしぼり、想像を絶する残酷な方法を編みだしてきたのだ。断頭台の露と消えた悲劇の王妃たち、魔女狩りの犠牲となった女たち、ドラキュラ伯等の暴君たち……。ギロチンや火あぶりなど、歴史上名高い拷問・処刑方法をも詳しく収録した、めくるめく戦慄の拷問世界!!

(Amazon解説文より)

 

 4つの章に分かれる世界の拷問・処刑史。「Ⅰ 拷問」では歴史上の為政者・権力者たちが意に沿わぬ者に行った熾烈な拷問について、「Ⅱ 処刑」ではジャンヌ・ダルクやマリー・アントワネット、マタ・ハリにアイヒマンといった人物の処刑前夜・処刑後に関するエピソードが語られる。「Ⅲ その歴史」では魔女狩り・ギロチンの歴史、「Ⅳ その種類」では吊るし刑や四つ裂き、電気椅子といった拷問・処刑の手法について記されている。

 やはり面白いのは拷問に関するエピソードで、「いかにして人に苦痛を与え、尊厳を破壊するか」について、ここまで情熱を持ち、工夫を凝らすことができる人間の悪意と残忍さには感服する。ドラキュラ伯ことブラド・ツェペシュの壮絶さも印象深いが、いちばん多くの項目を割かれているのが「生き血風呂」や「鉄の処女」などで知られるエリザベート・バートリーで、あの手この手のバラエティに富んだ侍女いびり殺しが凄まじい。まあ、この手の本をサラリと暇つぶしのために読むような手合いに言うことではないだろうが。

★★★(3.0)

 

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