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序盤からモダンホラー展開フルスロットル。未解決部分をきっちり消化した理想的な続編-『魔女たちの長い眠り』

『魔女たちの長い眠り』

赤川次郎/1997年/293ページ

人間って、本当に馬鹿だわ。見当外れのことでわざわざ、私たちを駆り立てて…。人間が私たちに勝てるわけがないのに―。夜が降りてきた。暗がりが町を大きな翼で包みこむ。静かで平和に見える町の背後で起こる動機不明の連続殺人事件。誰が敵で誰が味方か。狂気と憎悪と混乱が渦巻く中で、人間の想像を超えた恐るべき何かが動き始めた!闇と血が支配する「谷」の秘密とは?戦慄のサスペンス・ホラー。

(「BOOK」データベースより)

 

 前作『魔女たちのたそがれ』のその後を描いた続編。前作ラストで明らかになった「吸血鬼」の一族と、連中にそれぞれの思惑で立ち向かう人々との戦いがメインになっている。前作で深い因縁が生まれた刑事の小西、吸血鬼を殺害するため独自に活動する男たち、彼らに吸血鬼と間違われて殺されかけた女性たちが、誘拐された小西の孫を取り返すべく「谷」へと向かう。
 今回はかなり早い段階で吸血鬼の存在を明らかにしており、ミステリ寄りだった前作と比べてモダンホラーの雰囲気が濃い。前作でちょろっと出てきた医師、怪しい存在感を出していた警官なども印象的な活躍を見せてくれる。吸血鬼への対抗策はかなり安易な気もするが、決着はしっかりと付き前作から引きずっていたあれこれも解決、オチも見事に決まっており続編としては申し分ない。一点気になるのが、前主人公の津田がまったく出てこない、というか存在すら語られないこと。非常にあっけない退場をしたので活躍フラグかと思っていたのに!
 前作と本作のストーリーを基にしたアドベンチャーゲームがスーパーファミコン等で発売されており、そちらではオリジナルとは異なる複数の結末が明らかになるようだ。原作を読んだ今遊んだら意外と楽しめるかもしれない。特に前作はハッピーエンドとは程遠い結末だったし…。

★★★☆(3.5)

 

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