『黒鷺死体宅配便 2』
原作:大塚英志、漫画:山崎峰水/2008年/218ページ
死体の声を聞き、その依頼に応じて報酬を得る黒鷺死体宅配便。手違いから死刑囚の死体を手に入れた唐津。その死体の望みは、殺してしまった一家の、生き残った子供に会って謝ること――。そんなとき葬儀会社の経営者、楡からの電話が。死体は楡が引き取るはずのものだったのだ。社会奉仕として、裁かれ、罪を償った死刑受刑者の葬儀を行うのだという楡は、黒鷺死体宅配便との合併を提案する。その真の目的とは――
(裏表紙解説文より)
文庫版の前巻から2年越しに刊行された第2巻(遅くない?)。今回は単発読切ではなく1巻で1つの長編エピソードとなっている。「死体を蘇らせる」という反則級の能力の持ち主がいきなり出てきてビビるが、その用途が「刑を執行された死刑囚を甦らせて、被害者家族の手で再度殺させる復讐サービス」という、おぞましいモノ。どことなくスケールが小さい気もするが、蘇った死体は理性を失ったゾンビ状態なのでこういう使い方くらいしかできないのである。殺人事件被害者の復讐というテーマを扱い、とある黒鷺メンバーの悲痛な過去も明らかになるという重くなりがちな展開なのに、どことなくドライな雰囲気とユーモアが漂う作風のおかげで湿っぽさは無い。
★★★(3.0)