角川ホラー文庫全部読む

全部読めるといいですね。読んだ上で、おすすめしたい作品は全力で推します。

文庫版最終巻にして、メンバーの過去にまつわる話を集めた入門篇。続きはコミックスで-『黒鷺死体宅配便 5』

『黒鷺死体宅配便  5』

原作:大塚英志、漫画:山崎峰水/2009年/174ページ

死体専門のダウジング能力を持つ沼田真古人は、幼いころ、その技術を教えてもらった師匠と再会を果たす。しかしそれは悲しい別れの始まりだった――!? “お届け物は死体です”。死んだ者の叶わぬ想いや最後の願いを叶える「黒鷺死体宅配便」。さまざまな能力を持つメンバーの謎に包まれた過去を描いた、エピソードを集約。彼らの笑顔の裏に隠された悲しい過去と真実とは!? 大人気コミックの入門篇ホラー文庫版ここに完結!

(裏表紙解説文より)

 

 角川ホラー文庫版の最終巻。原作者あとがきによれば「理由はシンプルで、あんまり売れないから」とのこと(身も蓋も無い)。本編コミックスは28巻まで出ている人気作なので、まあ文庫版の需要が無かったというだけなのだろう。
 文庫版4巻まではコミックス4巻までの内容ほぼそのままだったが、この最終巻は黒鷺死体宅配便メンバーの過去に関わるエピソードを集めた特別編集版になっている。というかこれまでの巻もそういう形にするべきだったのでは。

 改めて唐津・佐々木・沼田・谷田・槙野のレギュラー陣を再紹介しつつ、新メンバーの“加入”を描く「学生街の喫茶店」。谷田と槙野の壮絶な幼児体験が明かされる「私のかなしみ」。沼田の過去の恩人との再会と別れの前後編「午前2時の鏡」「虹色のカノン」。けっきょく文庫版では詳細が明らかにならなかった、唐津に憑いている存在“やいち”に関わる重要エピソード「スタンド・スティル」の全5編。確かに本編コミックスの入門編・橋渡しとしてはこの文庫版も悪くないのかもしれない。原作者あとがきの裏話も興味深い内容だ。

★★★☆(3.5)