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映画にもない描写や脚本家自らの解説など、資料としては貴重な一冊-『映画版脚本集 リング リング2』

『映画版脚本集 リング リング2』

原作:鈴木光司、脚本:高橋洋/1999年/301ページ

ちまたに頻発する原因不明の突然死。呪いが込められたビデオテープの存在は都市の人々の間に急速に広まって…。映画「リング」とその最悪の続編として、さらなる恐怖をフィーチャーした「リング2」。一貫して恐怖映画を追求する高橋洋が贈る、リング・ワールドの最前線。……あなたは、最後まで生き残れるだろうか。袋とじの中で何かが起こる!

(裏表紙解説文より)

 

 映画『リング』と、その続編として制作された映画『リング2』の脚本集。後者はすでに『らせん』が映画化されている中、『らせん』とはパラレルな世界観で物語が展開していく。原作が無くノベライズもされていないので貴重と言えば貴重だ。『リング』脚本にも映画完成版からは削られた描写があるし、高橋洋自身が書く裏話も含めた解説(というか後書き)も興味深い内容。映画版『リング』は、呪いのビデオのラストにあった「呪いを解く方法」を省くという原作無視をやっており、個人的にはだいぶ気になっていたのだが、「字幕が入ると作り物らしくなってしまうから」らしい。大方予想はしていたが、納得のいく理由ではある。

 『リング2』は浅川の息子に貞子のパワーが宿って超能力者になり、能力の暴走で浅川が死亡。マッドサイエンティストみたいなのも出てきてた~いへん、という話であり、映画版だとそこそこのビックリ描写はある。ただシナリオ形式はやはり読みごたえは薄く、資料の一種でしかないなという印象。袋とじ部分も特別な仕掛けがあるわけではない。関係ないけど映画『リング』の主題歌「feels like HEAVEN」、キャッチーな冒頭部分除けばかなり明るめで改めて聴くと驚きますね。『リング2』主題歌は今井美樹で、これも全然ホラーっぽくなかった。

★★☆(2.5)

 

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