『怪談撲滅委員会 死人に口無し』
黒史郎/2015年/274ページ
深夜の学校で行われる葬式。“参列者”の中に迷い込んだ生徒が行列の末に棺を覗くと、そこには友達の遺体が。数日後、葬式は現実になるという―。「怪談撲滅委員会」に加入した澪と雲英が次に撲滅を狙うのは、敵対する「怪談推進委員会」が作り換えた集合体怪談“深夜零時の霊柩車”。雲英が奇抜な発想と話術で怪談を論破していく一方、澪はあることに気づいて…?はちゃめちゃな“葬式”が幕を開ける!恐怖と笑い満載の学園ホラー!
(「BOOK」データベースより)
多少の痛々しさすらあった前巻と比べると圧倒的に面白くなっている。今までは屁理屈と暴言と辱めで怪談をムリヤリ鎮静させていたのが、この巻ではおもに物理的な手段で怪異に対抗している。幽霊の出る井戸はスコップで埋め、生首が現れるという首無し胸像には変な顔を乗せ、呪われたヘイケガニは鍋にして食べてしまう。このやりたい放題ぶり、オバケや妖怪を暴力で黙らせる傑作ホラー漫画『でろでろ』を彷彿とさせる。
語られる学校怪談自体もバラエティに富んでおり、ライバル敵組織「怪談推進委員会」の台頭、ゴーゴリの古典的名作『ヴィイ』の身も蓋もない新解釈、怪談は何故生まれなぜ広まるのかといったそもそもの考察など見どころは多い。超怖がりの主人公・澪が怪談に歩み寄る姿勢を見せるため、悪ふざけに終わらないのも好印象だ。2冊目にしてシリーズ最終作だが、物語自体は一段落している。
★★★☆(3.5)