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相変わらずキレのいい実話怪談集だが、同じ人物の話をコスり過ぎでは…?-『現代百物語 生霊』

『現代百物語 生霊』

岩井志麻子/2011年/224ページ

普段から恨みを買っていた不良女の交通事故。共依存する母子がお互いに抱く心の闇。いじめっ子の少年が落ちた陥穽。相性の悪いアシスタント同士の意外な関係。妻子ある男に恋した姉妹の相剋。実話になってしまった創り話。そして著者の肩に四十肩のように重くのしかかる生き霊……。意識、無意識のうちに身内や他人に対して抱く想念が、嫉妬や恨みとして顕在化するとき、生き霊となるのか? 大好評実話怪談第3弾!

(「BOOK」データベースより)

 

 見開き2ページで完結する、超短編実話怪談集の第3弾。今回も全体的にキレのいい話が多く、予想外過ぎる幽霊が出てくる「第二話 笑いと恐怖」、ウソの話を書いてしまった実話怪談作家が遭遇する怪奇という「ソレ書いちゃっていいの?」な掟破りの一編「第二十八話 創作から生まれた実話」、喫茶店でたまたま耳にした児童虐待の話が急転直下のオチを迎える「第八十二話 復讐の竹の物差し」などが印象的だった。

 面白いことは面白いのだが、前巻に引き続き「作者の人生に多大な影響を及ぼしたウソつき女」の話が頻出する。「第一話 嘘つき女が隠したかったこと」をはじめとして同一人物(と思われる)の話が何度も出てきて、それがまたどれも異常過ぎて笑っちゃう話ではあるのだが、いくらエピソードが尽きない人物とは言えちょっと多すぎる気がする。岩井先生に取り憑く「生霊」、今後の巻でも出てくるのだろうか…。

★★★☆(3.5)

 

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