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怪事件の犯人は、正体不明の物の怪だった! …で終わる仰天ミステリ-『血ぬられた鏡像』

『赤かぶ検事奮戦記 血ぬられた鏡像』

和久峻三/1993年/177ページ

赤かぶ検事の相棒ともいうべき行天燎子警部補が、殺人事件の容疑者として取調べを受けた。彼女に瓜二つの制服姿の婦警が、若い女性を残虐に殺害したのだ。身に覚えのない彼女は赤かぶ検事に無実を訴えたが、さすがの検事もどうしようもない。そして同一犯人による次の事件が発生した…。神出鬼没の犯人を必死で追う燎子と検事を嘲笑って、無気味な犯人が跳梁する。書下し怪奇推理。

(「BOOK」データベースより)

 

 さまざまな文庫・新書レーベルで100巻以上刊行されている「赤かぶ検事」シリーズ、唯一の角川ホラー文庫作品である。赤かぶ検事の相棒・行天警部補に瓜二つな殺人犯が街をおびやかす。その目的は「100年前の殺人事件で逮捕されなかった逃亡犯の、生まれ変わりを処刑する」という荒唐無稽なものだった…!

 なぜ犯人は、知人でも見分けがつかないレベルで行天警部補とそっくりなのか。なぜ犯人は「生まれ変わる前の前世」を知っているのか。なぜ犯人は今になって行動を開始したのか。オカルトじみたこの怪事件にどのような真相が…? と気になって読み進めていくと、「犯人は本当のバケモノでした!」というオチに腰を抜かす。いやまあ、赤かぶ検事シリーズ全体で見れば1つくらいこういう話があっても「異色作」として片づけられるのかもしれないが、地に足の着いた怪奇ミステリを期待していると完全に肩透かしをくらう。このシリーズは初めて読んだが、行天警部補の夫の名前が行天珍男子(ぎょうてんうずまろ)というのは面白過ぎてノイズでした。

★★(2.0)

 

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