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食品偽装、家族の認知症、早すぎた埋葬…恐怖の質が生々しすぎる厭話シリーズ第4弾-『忌談4』

『忌談4』

福澤徹三/2015年/208ページ

誰もが知る有名ブランドショップで封印された怪異(「九つの御守り」)。凄惨な事故現場、押し潰された車体から発見されたのは(「手」)。吐き気を催す食品偽装の実態(「よだれ肉と注水牛肉」)。SMバーで知りあった女の躯は皮膚が削られていた(「傷」)。東京の街角で配られる不気味なナンパメモ(「メモを渡す男」)。美男子の顔がひと眠りした後、怪物に(「再生」)。あの世もこの世も恐ろしい、読むだけで気分が悪くなる大人気シリーズ第4弾!

(「BOOK」データベースより)

 

 “実話怪談”を拡大解釈した身近過ぎる厭な話がてんこ盛りのシリーズ第4弾。棺や火葬場で息を吹き返す、いわゆる“早すぎた埋葬”をされた人々の悲惨な結末「蘇生」。一時期やたら話題になった(そして多分完全に解決していない)中国のずさんな食品管理「よだれ肉と注水牛肉」。認知症で人が変わってしまった祖母「徘徊の果て」。ルポルタージュ系列の話のキツさは過去シリーズ一かもしれない。
 “怪談なのかなんなのかよくわからない話枠”もカオス度が高く、すべてが偶然・勘違い・いたずらで片付けられるはずなのに不気味極まりない「卵と紙ひこうき」「それだけの話」、なぜかストーカー体質の人を惹きつけてしまう女性の体験談「ビー玉」辺りは煙に包まれたような気分になるが、この説明のつかなさがなんともリアル。

★★★☆(3.5)

 

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