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多少地味ながらも王道の怪談実話集。実物の心霊写真はインパクト有-『怖の日常』

『怖の日常』

福澤徹三/2016年/234ページ

ひとり暮らしの部屋で、深夜パソコンに向かっていると背後から聞こえる奇妙な音…その正体に震撼する「カタカタ」。朝起きるたび、数が増え深くなっていく引っ掻き傷に、じわじわと追いつめられていく「傷」。実在の事故物件をめぐる、不穏なシンクロニシティ。併せて読むと怖さが倍増の「残穢の震源から」「三つの事故物件」等、全62話を収録。日常に潜む忌まわしさと恐怖を端正な筆致で炙り出す、正統派の怪談実話集。

(「BOOK」データベースより)

 

 著者お馴染みの実話怪談集だが、特定のコンセプトはなく少々地味。エピソードも全体的に小粒というか、「単なる“イイ話”話やんけ」みたいなモノもある。とは言え気になる話ももちろんあり、小野不由美『残穢』にまつわる作者自身のエピソード「残穢の震源から」、原因不明の奇妙な写真を実際載せてくれている「ゆがんだ写真」、怪異の実際を想像してみるとインパクトがすごい「蛍」「応接室」(前者は笑っちゃうけど後者は普通に怖い)、支離滅裂な手紙の文面がイヤ過ぎる「赤い紙」などは印象的だった。

★★★(3.0)

 

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