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「貞子と伽椰子が戦う」こと以外は映画完全無視! 最凶バトルのゴングが鳴り響く-『貞子VS伽椰子』

『貞子VS伽椰子』

黒史郎/監修・原案 白石晃士/2016年/188ページ

ホラー映画の主演を依頼された劇団員の恵子。しかし、監督が不審死、恵子は居合わせたフリーライター・小堺と共に、現場にあった「呪いのビデオ」を観てしまう。2人は貞子に呪い殺される前に、入れば伽椰子に捕まり二度と戻れなくなるという「呑む家」への侵入を決意。呪いの相殺を狙い、その顛末を映像に記録することに。撮影班が次々と姿を消していく中、ついに貞子と伽椰子が姿を現わし…。ホラーの歴史を変える最恐対決!

(「BOOK」データベースより)

 

 映画版の監督・脚本は「コワすぎ!」シリーズや『オカルト』『ノロイ』等で知られる白石晃士であり、まあ企画の時点で完全にキワモノである。小説版は映画とは一部のキャラ名が共通するくらいで「貞子と伽椰が戦う」こと以外は完全に別物。全然ノベライズではないが、映画と小説で二度楽しめると考えればお得である。貞子・伽椰子が激突する経緯は上のあらすじの通りだが、呪いのビデオを観てしまったから呪いの家に行こうという自殺の二乗みたいなバカなアイデアが名案として進んでいく、登場人物のトチ狂い様がなかなか楽しい。

 200ページ程度の中編なので、2人の戦いのゴングが鳴るまでは(本当にゴングのような音が鳴る)少々駆け足気味。大量の死者が出るもののポッと出の連中ばかりなので特に怖くはなく、「俺たちはクリエイチブに命賭けてるんだゼ!」みたいな連中がワサワサ出てきたあげく全員無駄死にしていく様は痛快ですらあります。読んだ後に何も残らない快作。

★★★(3.0)

 

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